富士時報
第62巻第10号(1989年10月)
汎用FAセンサ特集
特集論文
多様なニーズにこたえる新円中形高周波発振形近接スイッチ
高橋 文人,野寺 俊夫
各種生産設備のFA、FMS化の普及に伴い、検出スイッチは年々高機能化が要求されてきている。富士電機ではこの市場ニーズに対応すべく、性能、機能、使いやすさの向上を図った新円柱形近接スイッチPE 1、PE 2シリーズを開発した。
本稿ではこの中から、近接スイッチ検出面と検出物体との距離設定が容易に行えるようにした安定動作表示灯付直流二線式近接スイッチと、溶接機などのスパッタに対しても安心して使用できるようにしたスパッタ対策仕様近接スイッチについて紹介する。
使いやすさを向上した新形光電スイッチシリーズ
長谷川喜吉,坂之上健一,菅原 聡
各種産業界におけるFAの高度化、大規模化に伴い、FA用センサには、(1)予防保全への対応、(2)種々の電源条件への対応、(3)検出対象の拡大、などがより一層求められてきている。
今回、これらの要求に対し、検出異常を未然に予知し警報出力を出す自己診断機能付光電スイッチシリーズと、交直両用で広い使用電圧範囲を持ち、鏡面体検出機能を備えたフリー電源光電スイッチシリーズを開発した。本稿では、開発の背景及び機能、特長、動作などについて紹介する。
密着取付可能な外部制御機能付超音波スイッチ
美麗賢次郎
従来から自動ドアなどに用いられていた広指向角形超音波スイッチに対して近年、小さな物体の検出が可能な狭指向角形超音波スイッチがFA用として開発され、FA用のみならず、各種産業用、土木用、農業機械用などにも適用されている。
富士電機では、検出距離30cm、1m、6mの狭指向角形の超音波スイッチ、及び超音波距離センサの開発を完了するとともに、密着取付をしても相互干渉を防止できる外部制御機能付超音波スイッチ、及び超音波距離センサを開発したので紹介する。
FAバーコードリーダ
池田 文幸,辻 伸彦,三谷 重一
バーコードリーダシステムはPOSをはじめとして物流や生産の現場に導入され、情報処理のツールとして脚光を浴びている。特にFA分野において、多品種を同一生産ラインで造り分けるなどフレキシブルな生産方式の実現のために、ものと情報の一元化、工程単位での分散制御などに有効な手段である。
本稿では、FA用途をねらいとして、パーソナルコンピュータを使わずにバーコードリーダシステムが構成できる、今までにないバーコードリーダについて紹介する。
電子カムコントローラ
篠原 久次,月花 正志,長島 富夫
各種自動組立機械の角度制御において、従来の機械式カムスイッチでは、角度設定・調整・メンテナンスなどの取扱い上で煩わしさがあった。富士電子カムコントローラは、角度設定などをプログラム化することによりこれらの問題を解決したもので、主な特長は次のとおりである。(1)、23点の出力プログラムを4パターン設定可能。(2)分解能は1°で、1回転当たりの出力回数は10回まで可能。(3)富士電機独自の磁気式アブソリュートエンコーダを採用。(4)表示角度保持、ティーチング、回転方向切換など各種機能付。
通信機能付イメージセンサ
野沢 充広,中島 信一,小川 啓次
PJ1-E20形イメージセンサをベースに、RS-232-Cシリアルインターフェイスを備えた通信機能付イメージセンサPJ1-E20C形を開発した。通信機能処理用として専用CPUを使用し、本体に組み込むことで従来の機能・性能を損なうことなく、計測データの出力(読出し)、各種動作条件、判定条件の設定、変更が自由に行え、段取り換えが容易に行える。
普通論文
高機能・高信頼性のスーパータイマST4Pシリーズ
福島 興人,佐々木昭治
最近の制御機能はエレクトロ二クス技術の発展を背景に、機器の高機能化、小形化、高信頼性化が図られ、各種産業分野の自動化、省力化、システム化に幅広く使用されている。
時間制御を行うタイマにおいては、高精度、高機能化の要求に応じて、マルチレンジ式の電子タイマが市場の大多数を占めるようになってきた。
今回、操作性・経済性に優れた新スーパータイマST4Pシリーズを開発したので、概要、特長、特性などについて紹介する。
プログラマブル操作表示器(POD)
宮田 隆,山水 英貴
生産設備の自動化が進み、制御分野でのプログラマブルコントローラの適用拡大に伴い、マンマシンインタフェースに対する要求が、操作主体からモニタ及びメンテナンス主体へと移り変わりつつある。
富士電機では、操作パネルの設計、製作、配線作業をパーソナルコンピュータ上で行うという新しい概念を導入した、プログラマブル操作表示器(POD)を開発したので、概要を紹介する。
超電導MRイメージング装置VISTA-E50システム
川口 博巳,大友 寿郎,藤田 満
所要の要素技術からシステム技術までを一貫して開発することにより、小形、軽量、高画質の医療用画像診断装置として超電導MRイメージング装置VISTA-E50システムを実現した。
本稿では、装置の開発コンセプト、特性、特長、諸元、設置計画などについて概説するとともに、高画質を実現するためのキーテクノロジーである高周波回路、高周波(RF)コイル、こう配磁場コイルなどの一体化設計について述べる。
超電導MRイメージング装置
小野 春雄,植田 和雄,石田 紘一
MRイメージング装置(MRI)は、新しい無侵襲の画像診断装置として普及期を迎えた。MRIの静磁場発生用磁石としては超電導磁石が主流であり、この磁石の高性能化、小形化、低コスト化、低運転コスト化などの要請が強くなっている。本稿では、富士電機で開発したアクティブシールド磁石の仕様及び性能のほか、特長である省スペースの効果についてセルフシールド磁石との比較を示す。また、クライオスタット開発経緯、特長、信頼性などのほか、こう配磁場システム(電源、コイル)の特長についても概要を述べる。
超電導MRイメージング装置
丸山 智弘,田辺 欣也,下嶋 秀樹
超電導MRイメージング装置VISTA-E50用コンピュータシステムの特長、構成、概要仕様について紹介する。このシステムは、撮像制御用及び画像処理用の2個の独立したコンピュータから構成される、分散形マルチマイクロプロセッサシステムである。機能分散とともに機能に応じた分散設置方式をとることにより、撮像、画像処理を同時に実行でき、専用の設置スペースも不要にした。256×512の収集データに対する再構成演算は、1.8秒で処理できる。外観は、「やさしさ」を基本とするデザインとした。
超電導MRイメージング装置
中峠 史朗,飯野 光俊,福田 和彦
VISTA-E50は、コンパクト、軽量、省スペース、省エネルギーなどのシステム特長のほかに、高画質、高速イメージング、自動調整による高い患者スループット、AI(人工知能)技術を採用した操作の簡単化など、ソフトウェアも重要な特長である。
本稿では、VISTA-E50のシステムソフトウェア、並びにアプリケーションソフトウェアについて、各々の機能・特長について紹介する。
画像管理システムEFPACSシリーズ
平沢 悌二,武笠 稔,平松 純一
富士画像管理システムEFPACS(イーエフパックス:Effective Fuji PACS)は病院内で発生する多量な画像データを効率的に集中管理するシステムである。高度なイメージ技術による高速検索、高速表示によってマルチモダリティによる画像管理、画像の保管、教育などを協力にサポートする。また、システム規模によりEFPACS-500、EFPACS-1000シリーズがあり、ビルディングブロック方式で最適なシステムが構築できる。本稿では本システムの特徴、機能などについて紹介する。
画像管理システムEFPACSシリーズの適用事例
土屋 泰則,青木 誠,山畑 昇
病院内で毎日発生する多種多量な画像データは、煩雑な管理が必要で、多大な労力と時間を費やし、保管場所の問題も発生している。これらの問題を解決する画像管理システムEFPACSシリーズは、導入目的や病院規模、画像保管形態などに合わせてシステムを構築でき、画像の有効利用や画像保管スペースの削減、画像管理の迅速化と効率化を図ることのできるシステムである。
本稿では、EFPACSシリーズを構成する各システムの適用事例をあげながら、適用のポイントなどについて紹介する。
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注
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