富士時報
第63巻第2号(1990年2月)

配線用遮断器・漏電遮断器特集

配線用遮断器・漏電遮断器特集に寄せて

中野 弘伸

配線用遮断器・漏電遮断器の技術動向と新シリーズの開発

高松  巌,阿部 汎雄,神達 健之

電気設備の高度化、多様化に伴って、給電信頼性の向上、保守の省力化、国際性への対応などが求められており、これらをいかに経済的に実現してゆくかが課題となっている。低圧配電の主要機器である配線用遮断器・漏電遮断器に関して、最近の動向と課題を述べるとともに、今回、これらにこたえるべく、225Aフレーム以下の富士オートブレーカ・漏電遮断器の新シリーズを開発したので、その基本となる設計思想、開発のねらい、ならびにその特長などについて紹介する。

究極のモジュール化を実現したツインブレーカ

小塙明比古,井出 安俊

富士電機では、1990年代へ向けて、新しい発想による配線用遮断器および漏電遮断器の新シリーズ「ツインブレーカ」を開発した。
ツインブレーカは、世界で初めて配線用遮断器と漏電遮断器の外形寸法を完全に統一したものである。その結果、富士電機では、30Aフレームから255Aフレームまでの遮断器の大きさの種類を、15種類から7種類へ大幅に集約した。ツインブレーカは、より複雑化する低圧配電盤および制御盤へ柔軟に対応できるばかりでなく、盤のトータルコストダウンにも寄与できる。

ツインブレーカを実現した技術開発

山崎  誠,潮崎 克郎,中村  司

ツインブレーカは配線用遮断器と漏電遮断器を完全統一モジュール化するという画期的なコンセプトのもとに開発された。この開発は従来の設計、評価、製造技術を集大成し、さらに先鋭化するなかで実現した。本稿では高限流遮断器技術、各部構成要素の極小化技術、高信頼性のしゅう動接触技術、モールド材料の高度化技術など、ツインブレーカの開発を支えた幾つかの新技術について紹介する。

ツインブレーカの機能を高める付属装置

朝日 信夫,古川 国幸,佐藤 一彦

配線用遮断器や漏電遮断器では、従来から使い勝手の向上や安全性の向上、接続、操作のバリエーションを豊富にする多様な付属装置が取り付けられている。今回、ツインブレーカの本体開発と同時に、付属装置についても大幅な改良を実施した。主な特長は次のとおりである。(1)配線用遮断器、漏電遮断器間の付属装置の安全共用化により、生産、流通、選定の各面での簡素化が可能。(2)電子制御機器との組合せ使用への対応。(3)豊富な絶縁補助部材による安全対策の充実。(4)コンパクトリモート操作装置。

配線用遮断器の使い方

内田 直司,山沢 茂夫

保護システムに適した機器を正しく選定すると同時に、機器を上手に使いこなし、信頼性の高い保護システムを構成することが必要である。
そのためには配線用遮断器(MCCB)の構造面、性能面などの特徴を把握するのが大切である。
本稿ではツインブレーカのデータのデータを例に、配線用遮断器の選定、保護システムの構成方法などの概要を紹介する。

漏電遮断器のインバータ回路への適用

井出 安俊,中村  司,小山 秀樹

インバータは、昭和55年の第二次オイルショック以降急速に普及し、現在ではより広範囲な分野に適用されている。これに伴い、漏電遮断器の適用においては、高周波漏れ電流による不要動作に留意しなければならないという新たな適用上の問題点が生じてきた。
富士電機ではこの問題について適用検討を進め、高周波領域での安全性を考慮した特性改善を行うとともに、漏電遮断器とインバータを組み合わせた実器試験のデータを基に、インバータ回路適用時の感度電流選定基準を確立し、選定時の便宜図っている。

電子式配線用遮断器の新系列

登坂 浩明,田畑  進,小塙明比古

近年、OA機器や自動化設備の広範な普及に伴い、電力の安定供給がますます重要視されている。配線用遮断器においても動作をあらかじめ警告する事前警報機能など高機能化が求められている。
この要求にこたえるため、電子式富士オートブレーカをシリーズ化した。新シリーズは、電子式富士オートブレーカのメリットを最大限に発揮させるために適用分野ごとに、電子式モータブレーカ、電子式ツインブレーカ、SA-E形シリーズ、パワーブレーカの4系列で構成した。

本誌に記載されている会社名および製品名は、それぞれの会社が所有する商標または登録商標である場合があります。著者に社外の人が含まれる場合、ウェブ掲載の許諾がとれたもののみ掲載しています。