富士時報
第63巻第6号(1990年6月)
UPS特集
正田 英介
定由 征次,星 敏彦,美斉津 陽
情報化社会の進展とともにUPS(無停電電源装置)の需要は拡大を続けている。富士電機は「顧客とともに高い信頼性をクリエイトする」をフィロソフィーとしてUPS事業を展開し、顧客の理解と評価を得てきた。富士電機は最新の半導体技術、制御技術、品質管理技術などを駆使し、多様化する市場ニーズに対応したワイドな製品系列化を行い、提供している。今後の技術動向として、設置場所の制約の開放、負荷との親和性、信頼性と保全性、高調波抑制、UPSの方式などのニーズに対して、その対応シーズの動向を解説する。
福田 英治,青山 謙司,保坂 一喜
高度情報化社会の進展により、都市銀行などではグローバル化されたシステムに良質な電力を供給するため、大規模なUPS(無停電電源装置)システムが採用されている。このようなシステムでは、常に高信頼度を最優先し、3655日24時間無休のシステム構築が重要となる。
そこで、本稿では上述したような高信頼度・大規模UPSシステムを構築するための特に重要な検討項目を紹介するとともに、いくつかの大規模UPSシステムの実施事例を通して富士電機の豊富なノウハウを紹介する。
黒木 一男,谷津 誠,藤倉 政信
高周波スイッチング技術を適用したUPS(無停電電源装置)の技術開発は、ここ数年、小容量機が中心であった。この間電力用半導体、なかでもMOSFETやIGBTなどの高速スイッチング素子の性能向上と電流容量増大に伴い、順次容量の大きなUPSへと適用が拡大されつつある。
今回富士電機では、スイッチング素子としてIGBTを用い、高周波スイッチング技術を適用した出力容量75~200kVAの三相UPSを製品化した。本稿では、仕様、特長、回路構成、構造および試験結果を紹介する。
山形 繁男,一木 敏,清水 敏久
高度情報化社会の進展に伴い、コンピュータの導入は多岐にわたり、コンピュータに対して電源の安定供給のため、UPS(無停電電源装置)が使用されている。
本稿では、主回路にパワーMOSFETを使用した富士電機の新系列中容量UPSの特長、標準仕様、回路構成を中心に述べる。
本UPSは小形、軽量、低騒音を実現し、コンピュータ室やオフィスなどへの設置を可能とした。
加護谷隆己,篠原 潤一,柴山 國夫
小形コンピュータ応用機器の普及・拡大に伴い、ミニUPS(無停電電源装置)の需要が急速に高まっている。最近、この種のUPSには、出力特性の高性能化に加えて、入力側の特性改善も求められるようになっている。
富士電機ではこれらのニーズにこたえて、高周波スイッチング整流回路と高周波PWMインバータ回路を組み合わせ、優れた出力特性を持つと同時に、高調波をほとんど含まない高品質の入力電流を流す小形で高性能なミニUPSを開発した。本稿では、その仕様、特長、回路構成および特性を紹介する。
大久保秀法,松原 正剛,菊地 充
高度情報化が進むなかで、コンピュータは社会の隅々にまで普及し続けている。コンピュータなどに適用されるUPS(無停電電源装置)は、特に高い信頼性と長期にわたる高品質の維持を要求されている。このためUPS用モニタ装置を開発した。このモニタ装置は、産業用マイクロステーション(L25)を使用し、メンテナンスの高度化、予防保全の充実化、故障復旧の早期化を可能にした。
松良 正則,高野 安人
本ビルは、オンラインコンピュータビルとして建設され、365日24時間稼動のビルとして運用されている。本稿では、このような稼動条件のコンピュータシステムを支えるUPS(無停電電源装置)および受変電設備の構成、機能などについて設備事例をもとに紹介する。併せて、関連設備のコージェネレーションシステムおよび中央監視設備の概要についても紹介する。
小端 伸二,木田 和幸,安田 哲夫
今回開発した空港用400Hz電源装置は、パワートランジスタ方式の静止形である。特徴は、高効率、高信頼度、保守が容易であることはもちろん、ケーブルドロップ補償機能、入力瞬時停電保護機能、そして入力高調派電流対策の12相整流方式を採用していることである。
また、整流器設備を1か所に置き、多数の400Hzインバータを分散配置した直流入力形400Hz電源装置も開発したので、併せて紹介する。
荒井 範弘,木戸口秀隆,田中 正則
近年、計装設備へのコンピュータ導入が急速に進展し、計装用電源に対して、出力電圧のひずみの低減や低騒音化、小形・軽量化といった要求が強い。こうした背景から、MOSFETモジュールを採用して高性能化を図った計装用新形単相CVCFを開発した。
本稿ではその特長、仕様、回路構成、および試験結果について紹介する。
清水 敏久,篠原 潤一,山田 隆二
近年、需要が急速に増大しつつあるオフィス設置用のUPS(無停電電源装置)には、電気的性能の向上に加え、小形・軽量化、低騒音化、低価格化が求められている。
富士電機では、これらの要求にこたえるために、高周波技術を適用したUPSの基礎研究を行っている。
本稿では、最新の高周波技術を適用した高周波リンクDC-DCコンバータ式UPS(三相50kVA出力)と高周波リンクサイクロコンバータ式UPS(単相10kVA出力)の試作・研究例を紹介する。
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注
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