富士時報
第64巻第11号(1991年11月)
プログラマブルコントローラ特集
関口 隆
富沢 敬一
プログラマブルコントローラは機能、性能、機種の品ぞろえ、信頼性など、ハードウェアに関してはかなりの評価を得られてきている。しかしながら、CIM化をはじめとして、機械会相互の接続が一般化してきている現在、命令語やツールの互換性、標準化に対する要望が強く求められ始めた。また、マニュアルやアフターサービス、機器の取扱いやすさなど、大きい意味のソフトウェアに対する要求も大きい。PC-JIS化、ネットワークのIEC対応など積極的な対応が始まった。
青山 豊,高橋 健二,藤田 和弘
マイクロコンピュータ専用機化などの傾向が見られる機械制御分野のニーズにこたえる汎用プログラマブルコントローラ(PC)FLEX-PC Nシリーズを開発した。「機械ごとの個別仕様にジャストフィットするフレキシブルなPC」 を基本コンセプトに、(1)クラス最高レベルの入出力応答、繰返し誤差の極小化機能、(2)I/O 1点単位で要求仕様にこたえられる新方式「I/Oフリーロケーションセレクション機能」、(3)ユーザーが自社の機械制御に必要な独自の命令をセットできる「ユーザマクロ機能」など個々の機械の要求にフレキシブルにこたえる各種機能を備えている。
石井 靖,長谷川 淳,金児 久志
プログラマブルコントローラの主な適用分野である機械制御分野では、高速化、小形化、入出力仕様や点数へのきめ細かな対応が強く求められている。FLEX-PC NB シリーズは、N シリーズの最下位機種に位置づけられ、高速化・小形化はもとより、「I/O フリー」ロケーション・セレクション機能を搭載し、前述の幅広いニーズにこたえるべく開発された。本稿では、NB シリーズの特長・仕様について概要を紹介する。
濱田 明秀,吉田 哲也,藤村 典生
プログラマブルコントローラ(PC)の適用分野のなかで、機械制御分野で特に要求されるプログラムの高速演算処理、高速入出力処理、容易な故障解析手段などにこたえたPCとして、高速・大容量のNS、NSクラスの機能をコンパクトに収めたNJについて、その高速処理や柔軟なシステム拡張性を確保した方法、マンマシンインタフェースなどについて概要を述べる。
また、機械制御分野における要求に対して、規模、機能上から見て最適のシステム構成が提供可能であることを紹介する。
福井 行夫,八ツ田 豊
FLEX-PC Nシリーズは、ハードウェア、ソフトウェア両面ともフレキシビリティに富んだプログラマブルコントローラ(PC)である。本稿では、ソフトウェア面のフレキシブル機能である、マルチ言語・ユーザマクロ機能について紹介する。
マルチ言語機能とは、同一ハードウェアで、ユーザーの使い慣れたPCとプログラミングツールを提供する機能である。
ユーザマクロ機能とは、プログラムの標準化、再利用などを容易に実現し、プログラム開発期間の大幅な短縮を図る機能である。
福井 行夫,松本 雅好
プログラマブルコントローラ(PC)の新しい言語要素として、複雑な制御内容を、より簡単に分かりやすく表現できるシーケンシャルファンクションチャート(SFC)が規格化されようとしている。SFCの開発に際しては、その特長であるプログラムの構造化の容易性、制御内容の可視性を最大限に活用できる操作環境を追及し、さらにデバック効率を向上させる各種の機能を搭載した。
本稿では、FLEX-PCのSFCの特長、仕様、機能などを紹介する。
大森 重信,井城 元栄
プログラマブルコントローラ(PC)はFAやFMSの中核としてすでに広く普及しているが、プログラム言語、ツールの操作環境などはPC各社まちまちである。ユーザーはプログラム開発効率、メンテナンス性などの面から、使用するPCを絞り込んだり、ツールの仕様の共通化を図っている。FLEX-PCではマルチ言語を採用し、各操作環境に合わせたツールの提供を可能とした。本稿では、このコンセプトに基づいて開発した3種類のローダについて、その仕様、性能を紹介する。
角田 哲男,池嶋冨美夫,斉藤 豊
最近のプログラマブルコントローラ(PC)の動向として、システムの高度な情報化および柔軟なシステム構築を図るためのネットワークがきわめて重要な手段となっている。Nシリーズは機械制御向けのPCであり、ネットワーク階層としては下位にあたる領域を対象としているが、この分野においても、製造業界全体の流れから必然的にCIM化の対応が迫られている。Nシリーズでは「機械制御分野にジャストフィットするネットワークシステムの提供」を基本コンセプトとして、ネットワークシステム製品の品ぞろえを図っている。
相田 忠勝,桜井 博
サーボモータやステッピングモータを使用した精密位置決めシステムでは、位置決め制御用として数値制御(NC)装置などの専用位置決め装置、周辺制御用としてプログラマブルコントローラ(PC)の2種類の制御装置を組み合わせて使用する場合が多かった。しかし、一般産業機械分野では、NCまでの機能を必要としないものも多く、コスト面などを考慮したPC用位置決め装置への要求が強くなっている。本稿では、これらPC用位置決め装置の動向、システム参考例、およびサーボモータの動向について述べる。
相田 忠勝,石井 靖,小松 賢
高精度位置決めを行う機械制御用の動力源として、ステッピングモータやサーボモータを使用するものが増えてきている。その市場ニーズに合わせ、FLEX-PC用の位置決め装置7機種のシリーズ化を行っており、その仕様、機能、用途について紹介する。7機種の位置決め装置は、用途別に下記3型式に分けられる。
(1)SVA型:サーボ2軸制御用アナログ速度指令出力
(2)SVP型:サーボ/ステッピングモータ用高速パルスレ列出力
(3)SM型:ステッピングモータ用パルス列出力
大前 明則
今日、生産設備におけるプログラマブルコントローラ(PC)の役割は重要で、それに伴う操作パネルのモニタ、メンテナンス主体への要求に富士電機は、汎用の操作パネル、プログラマブル操作表示器(POD)でこたえてきた。
今回、制御システムの重要な課題である小型化、省線化をさらに推し進めることを目的として、PC機能をPODに内蔵し、1台で機械の制御から監視、操作設定をも可能にしたPC機能付PODを開発したので、その概要について紹介する。
井城 元栄,望月 伸昭
プログラマブルコントローラを核とした自動化システムの設計において、プログラム開発、作図作業が設計工数の大部分を占めており、設計効率の向上するため作図作業の合理化・省力化が求められている。富士電機では、CADメーカーとのタイアップにより、自動化システム用CADシステムをサポートした。これにより初期工程から承認出図までの一連の作業を効率よく進めることができる。
五十嵐保久,奥井 得博
近年、プログラマブルコントローラ(PC)の処理能力が向上するにつれ、高速で複雑な制御が要求される機械制御の分野にも、従来のカスタムコントローラによる制御以外に、PCが大幅に用いられるようになってきている。このような状況のなかで、機械制御分野へのPCの応用が、どのように行われているかを「ロール鋼板の断熱材貼付連続加工システム」へのNJシリーズの適用例で紹介する。
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注
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