富士時報
第66巻第6号(1993年6月)

特集論文

水泳と流体力学

水野 明哲

社会システムの展望

関口 一夫

平成2年6月に閣議決定された向こう10年間430兆円公共投資に基づき、21世紀に向けて「より豊かな生活大国」をめざす国の方針が明らかになっている。これを実現するには、その基盤となる社会システムに期待するところが大きい。
本稿では、社会システムについてその位置づけ、環境と分野、および技術と動向について展望する。

レジャー施設向けカードゲートシステム

田中 敏美,吉富喜一郎,高橋 佳史

レジャー施設において、カードゲートシステムが注目を浴びている。このゲートシステムに使用するプリペイドカードには、金銭情報のほかに、経営上必要とされる券種情報、利用可能施設情報などが記録されており、事業者サイドの入出場口などにおける施設管理の合理化に貢献している。一方、施設利用者サイドには、カードの持つキャッシュレスの利便性がある。本稿では、システム構成と各構成機器などを紹介する。

ごみ処理制御システム

松本 祥一,金子  弘

近年、清掃工場は発電設備が付帯された大形化、複雑化している。発電設備を持った清掃工場の納入実績と制御システムについて述べる。また、複数の清掃工場間のネットワークと最適運用システムおよびごみ収集・輸送の合理化を図ったごみ空気輸送システムを新たな環境ビジネスとして紹介する。

道路システム

寺野 哲浩,野口 幸洋,望月 謙治

高速道路の供用延長の計画がさらに加速される状況になっており、安全かつ円滑な交通を確保するため、種々の施設の増加が見込まれる。それに伴い、これらの施設には電子技術を核としたより高度な機能、性能が求められている。
本稿では、橋とトンネルに対する適用例、新分野への取組みについて概要を紹介する。

病院システム

大木 裕二,吉川 修二,坂口 伸一

医療の高度化と病院の使命から、昼夜を問わず設備機器、システムの停止が許されないため、電気設備の安全性、信頼性の確保がますます重要になってきている。
本稿では、(1)設備監視制御システムをミニコンピュータで冗長化した事例と自動制御、(2)電源設備の安全供給システム、不燃化技術、高調波対策、および(3)予防保全をめざしている活線絶縁抵抗監視装置について紹介する。

河川・港湾システム

藤原 正裕,柄沢  隆,山本総一郎

河川、湖沼、ダムなどの河川流域および港湾、臨海地帯の保全と社会活動を確保するためには、水害、高潮に対する安全性を確保する必要がある。
このために監視業務の効率化とデータの有効利用が必要になってくる。
本稿では東京港高潮海岸防災施設と河川排水機場を例にとり、現状と将来について紹介する。

空港用電源システム

阿部 俊幸,吉田  均

新東京国際空港に納入した次の電源設備の事例を中心に述べる。
(1)中央冷暖房施設用66kV受変電設備
(2)6kV系予備発電設備
(3)A~F開閉所
(1),(3)では完全二重化システムを、(2)ではディーゼル発電装置とガスタービン発電装置の並列運転を紹介する。

社会システム向け中央監視システムSOINS

黒田 昌幸,山畑  昇,小倉  靖

公共施設においても高度情報化時代を迎え、省エネルギー、省労か、管理の広域化を目標とした総合管理システムが必要で、その中核を成す監視制御システムはより一層の使いやすさと高性能で高い信頼性が要求される。富士電機では施設規模に応じたシステムが自由に構成でき、使いやすい表示と操作、要求される管理レベルに合った伝送処理、データ処理を可能とし、増設などの拡張性、故障時の早期復旧まで考慮した高信頼性システムをSOINSシリーズとして系列化した。本稿では、シリーズの特長、機能などについて紹介する。

普通論文

ガス遮断器の遮断現象解析

杉山 修一,小出 英延,甲斐 慎一

絶縁および電流遮断性能に優れた六フッ化硫黄(SF6)を用いたガス遮断器(GCB)に対する解析のうち、遮断現象解析は遮断性能にかかわる最も重要な解析であるにもかかわらず、アークや高温のガス流、遮断器の動作を相互作用も含めて解析する必要があり、解析可能な範囲は限られていた。しかし、最近のコンピュータや解析技術の進歩などにより、このような複雑な解析も可能となり、GCBの開発に大いに役立っている。本稿では、最も利用されている遮断動作解析、気流解析および耐電圧特性の測定方法について紹介する。

大容量遮断器の合成試験技術

岩井 弘美,磯崎  優,昆野 康二

六フッ化硫黄 (SF6) を用いたガス遮断器は小形、高信頼度化と大容量化の進歩がめざましく遮断性能を検証する試験技術も改良が重ねられている。特に、検証設備を補い、しかも実系統の遮断現象に合致した合成試験技術の重要性と短絡試験のうち、単相合成試験、三相合成試験 (非有効接地系統用および有効接地系統用) および進み小電流遮断用合成試験技術について紹介する。

パルス状超大電力の発生

宮本 昌広,彦坂 知行,山田  守

大電力を短時間に発生し、それを伝送、制御し、種々の形態で利用するパルスパワー技術の最近の進展はめざましい。この本質は大きなパワーを空間的、時間的にきわめて小さな領域に圧縮、集中することにある。このためには、利用するエネルギー(パワー×時間)を可能な限りパルス化された大パワーに整形することが必要となる。本稿では、パルス電源として爆薬を使用した爆薬発電方式の実験結果を主体に、回転蓄積式のコンパルセータの概要と強磁性体磁心を使用したパルス電力整形装置について述べる。

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