富士時報
第66巻第8号(1993年8月)
自動販売機・特機特集
廣田 薫
井上 恵司,平尾 憲一
平成4年末、日本における自動販売機および自動サービス機の普及台数は547万台に達した。これは、「国民22人に1台」の割合に相当し、自動販売機先進国のアメリカの「40人に1台」をはるかにしのぐ世界一の普及率である。自動販売機に対する最近のニーズとしては、更新需要を中心として、(1)環境保全対応、(2)自動販売機1台あたりの売上高向上、(3)オペレーション効率の向上、などが挙げられる。本稿では、これらの、ニーズに応じた最近の富士自動販売機を紹介しながら若干の将来展望について述べる。
木村 幸雄,上田 治幸,丹羽 雅夫
缶自動販売機は新規の設置場所の確保が難しく、置換え需要が主である。また、缶自動販売機の維持費用の大部分は冷却・加熱装置と蛍光灯に要する電気代である。さらに商品の補充や保守の人手は年々不足してきている。このようななかで、より強力な販売ツールとなるように、本体・扉・制御を一新した「Sシリーズ」を開発した。Sシリーズでは、お客様から寄せられた要望や意見をベースに「使いやすさと省エネルギー」を追求し、シンプルデザイン化、省スペース化、省エネルギー化、省力化、標準化などを具体化した。
小田 威夫,宮尾 哲也,阿部 順一
屋外設置が主流となる缶自動販売機は、普及台数の増加に伴い、社会的に設置環境について目を向けなければならない状況にあり、道路へのはみ出し設置を解消する薄形化の要求が増えてきた。
このような市場ニーズにより、奥行寸法を500mm以下におさえた薄形で、しかも、サービス作業の場合にも薄形としての効果を発揮するスイングハッチ扉を搭載した缶自動販売機の新シリーズを完成した。
本稿では、新シリーズの特長と主な構造について紹介する。
大森 明,槙田 幸雄,渋田 博士
自動販売機は、ユーザーである飲料メーカーやオペレータにとって有効な販売手段として、なくてはならないものとなってきている。その反面、自動販売機を取り巻く環境は年々厳しくなってきており、多くの課題を抱えている。
本稿では、自動販売機が抱えている課題の対応として、(1)冷却・加熱制御の電子化、(2)省エネルギー制御、(3)自動販売機POS、の開発を行ったのでその内容について紹介する。
冨永 博,海野 覚,宇野 嘉夫
近年、冷凍食品は、味の良さが認められてきたことと、電子レンジの広い普及により大きな伸びを示している。
このようななかで、料理人の不足などから、レストランに取って代わり、いつでも手軽に温かなグルメ料理を、無人で提供できる自動販売機が望まれてきた。
そこで、冷凍保存した食品を、硬貨受付後に急速解凍および加熱して販売する方式を業界ではじめて開発した。
本稿では、その主な特長と構造および制御について紹介する。
高木 利夫,濱本 賢一,郡浜 英一
消費者の味覚の高級化、本物志向はますます高まり、レギュラーコーヒーを販売できるカップコンビネーション自動販売機の人気が高まってきた。このたび、市場ニーズに基づき、短時間で、本物の味が良いコーヒーを抽出できる新形コーヒーブリュア機構を開発し、搭載したカップコンビネーション自動販売機を完成させた。本稿では、コーヒーブリュアを主体に特長、仕様、構造について紹介する。
大塚 義則,井上 正喜,奥村 英明
「調和と主張」をデザインコンセプトとした屋内専用のインテリアシリーズ自動販売機の開発を行った。主な特徴は、(1)カップ・缶・ペーパーパック・たばこ自動販売機の4機種フルラインデザイン構成、(2)デザイン基本は、どんなインテリアにも調和しやすく、高級感も演出できるシンメトリック(門形対象形状)構造、などである。なお、本シリーズ機は、平成4年度「グッドデザイン商品」選定とともに、自動販売機として初めて「オフィス・店舗部門」の部門賞輝いた。
太田 春夫,西脇 正剛,繁田 雅信
カップ自動販売機のレギュラーコーヒー抽出技術を応用し、オフィスに適用したワゴンタイプのコーヒーサーバを開発した。
本稿では、(1)開発の背景とポイント、(2)特長、(3)仕様、(4)構造について紹介する。
桐沢 功明,横森 伸二,堂面 俊則
通貨関連機器は、自動販売機への搭載を目的として、開発されてきたが、最近では、自動販売機以外の分野にも使用できる機種の要求が多くなってきた。
そこで、今回、釣銭容量を増大した「FH形コインメック」、また多用途に使用可能な「小形硬貨選別機FREAシリーズ」、さらに自動販売機にも遊技市場にも対応できる「紙幣識別機BVIIシリーズ」を開発したので紹介する。
川瀬 誠治
スーパーマーケット間の競争は激しさを増している。販売商品のエブリディロープライス実現のために、店舗用設備はイニシャルランニングメンテナンスを総合したローコストと、機器の信頼性向上が必要となってくる。このような背景から、生鮮食料品の鮮度保持性能や、商品の買いやすさ、選びやすさ、展示性、演出性などのさらに向上した機器の開発と、冷凍機や設備機器とトータルに管理するシステムの充実が図られなければならない。
平田 賢二,中川 覚,山田 英司
近年、スーパーマーケット業界では商品ロス低減のための高鮮度維持、展示性、省力化が求められている。そこで、「やさしさ新標準」をコンセプトにスーパーマーケット向け「エクセレントV2形オープンショーケース」を開発した。主な特長は次のとおりである。
(1) マイコンコントローラを全機種標準装備し、負荷の状況や設置環境に応じたきめ細かな鮮度管理を実現した。
(2) 除霜時のヒートショックを低減するために、除霜をファジィ制御する業界初の「ファジィノンデフロスト機」を開発した。
亀谷 伸彦,武者 裕之,伊藤 達郎
近年、コンビニエンスストアでは弁当・惣菜(そうざい)の売上げが急増している。そこで、コンビニエンスストア向けオープンショーケースとして、省スペース、展示性、演出性、冷却性能の向上を目的に超薄形多段オープンショーケースを一新し、9型式をシリーズ開発した。主な特長は次のとおりである。
(1)細かい商品アイテムに対応した棚分割と上段から透視できるガラス棚の採用により演出性を向上させた。
(2)エバポレータ、ファンの下部集中配置により操作性を向上させた。
福井 一夫,田中 敏美,後藤 幹生
カード応用システムとして、オフィスビルカードシステム、スキーリゾートゲートシステム、社会カードシステムの三つを採り上げ、特にオフィスビルカードシステムでは、駐車場管理システムについて、スキーリゾートゲートシステムでは、開発のポイントとシステムの特長について、社会カードシステムでは、ICカードターミナルとその応用について、システムの概要と個々の機能、構成コンポーネントについて紹介する。
山下 智弘,日江井政一,西山 章雄
ホテルベンダシステムは、客室冷蔵庫とフロントマシンにより構成され、フロントにおいて販売データを自動計算し、売上伝票の発行と集計を行う。また、豊富なオプション機能により、市場要求に対応している。
本稿では、システムの概要と、今回フルモデルチェンジしたNVシリーズおよびフロントマシンの仕様、特長について紹介する。
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注
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