富士時報
第67巻第6号(1994年6月)
統合化制御システムMICREX-lX特集
井手 紘一
井部 成身,萩原 春嬉
1990年代の産業界での最大の話題は、リエンジニアリングである。リエンジニアリングがめざすところは、国際競争力の強化であり、そのためのコスト消滅、すなわち、設備の集約化による高効率生産システムの構築である。この課題を解決する手段の一つとして、統合化制御システムが注目されている。本稿では、情報・制御システムの一般技術動向、顧客ニーズ動向を踏まえ、統合化制御システムの具備すべき要件についての概要を紹介する。
生駒 雅一,吉田 徹
統合化制御システムMICREX-IXは、プロセス制御分野、情報処理分野の状況を踏まえて開発したシステムである。基本的アーキテクチャは1987年に発表した従来の分散形制御システムMICREXのものを継承しており、ハードウェア,ソフトウエアなどの資産を継承しながら、次世代へ向けての進化を取り込んでいる。本稿では、このMICRET-IXのシステムアーキテクチャ、ならびにその要素技術について紹介する。
笹野喜三郎,田ノ下 勝,本巣 博之
富士電機は、1992年にEIC統合化制御システム(MICREX-IX)を発表した。このMICREX-IXにおいて、プラントの監視・操作を行う際にオペレータとプラントの接点となるのが統合オペレータステーションIOS-2500である。
本稿では、オペレータに快適な監視操作環境を実現したヒューマンインタフェース装置であるIOS-2500について、高解像度CRT、マルチウィンドウ機能、タッチオペレーション機能などの特徴を述べる。
早川 広明,上田 克則
ここ数年、コンピュータ、情報処理の分野では「オープン化とダウンサイジング」の大きな流れがある。プロセス制御分野でもこの時代の流れのなか、技術開発を進め、統合化制御システムMICREX-IXを発表した。MICREX-IXの基本コンセプトであるEIC統合の特徴の一つである「コンピュータ連携機能」について、強化、拡充を図った。この詳細について紹介する。
西川 彰,坂上 浩一,小山 哲雄
EI統合コントロールステーションICS-2500は、MICREXで培われた電気制御技術と計装制御技術をシステマチックに融合し、さらに共通のハードウェア、ソフトウェア、および共通のエンジニアリングで真のEI(電気、計装)の統合を実現したコントローラである。
本稿では、ICS-2500の特徴、機能、仕様などについて紹介する。
清水 康雄,古山 仁則,小林 茂洋
テレメータ・テレコントローラとは、回線(日本電信電話(株)専用線、電力線、私設線など)を介して遠方のセンサ情報を収集したり、遠方に置かれた機器を遠隔制御する装置のことであり、広域化、多様化、分散化する制御システムのなかで、より柔軟な対応が要求されている。このような要求にこたえるため、汎用的なコントローラを素材としたテレメータ・テレコントローラを開発したので概要を紹介する。また、MICREX-IXシリーズとしてのテレメータ・テレコントローラ機能をユーザーの要求別に紹介する。
石川 徹男,手嶋 敬三,池戸 弘泰
統合化制御システムの実現のためには、従来、電気制御用と計装制御用とに分かれていたプロセス入出力装置を統合することが一つのポイントである。また、高度化、高効率化するプラント操業に対応するために、入出力装置、さらにはセンサや操作端などのRAS情報、設定情報などをオペレータステーションから把握することも重要になる。本稿では上記目的を意識した入出力装置として、MICREX-IPUを紹介する。また、二重化、フィールドバス対応など今後の展開についても併せて紹介する。
田中 春樹,安東 伸彦
情報・制御システムの高機能化・複雑化の傾向に伴い、エンジニアリングの内容も急速に大規模化・複雑化してきており、エンジニアリング業務の負担が急増している。こうした状況を打開するための一つの有効な方法は、エンジニアリング業務の機械化であり、これまでにもさまざまな試みがなされている。
本稿では、これまでの統合化制御システムにおけるエンジニアリング環境の現状を概観し、その課題および課題克服のための基本的アプローチおよび将来展望について述べる。
中野 正人,小山 深
MICREX-IXのMMI(マンマシンインタフェース)システムを構築するソフトウェア開発支援ツールとして、FPROCES-Mを開発した。
FPROCES-Mは、電気・計装などの分野ごとに異なる監視・操作機能を統一的にサポートする。また、マルチウィンドウ、マウスによる分かりやすいユーザーインタフェースを採用した。
本稿では、MICREX-IXにおけるMMIシステム構築機能とその特長について述べる。
吉田 裕,和田 宏行,丸山 吉晴
コントローラサポートツールFPROCES-Cは、コントローラのアプリケーションソフトウェアの設計・試験・保守を支援するソフトウェア製品であり、パーソナルコンピュータ上で動作する。この製品は電気制御と計装制御を最適な表現で記述できるEI統合化ツールであり、MMIサポートツールと共通の環境下で動作する。ビジュアルで分かりやすいユーザーインタフェースを持ち、エンジニアリング効率をアップする機能を備えている。本稿では、このコントローラサポートツールの機能、特長などを紹介する。
石橋 景二,寺田 哲,北谷 保治
MICREXシリーズとして培ってきた保守技術を、新製品のMICREX-IXではさらに機能拡張を行った。
本稿ではMICREX-IXで現実している保守関連の技術を説明し、保守業務における課題を解決する方法としてのメンテナンスパネルの事例と、遠隔保守システムへの接続を紹介する。
東 尚巳,渡辺 芳彦
LPGは、わが国の主要なエネルギー源の一つとして、国民生活に密着し産業界全般と深いかかわりをもつ重要資源である。特に、環境保全が国家社会の大きな課題となっている折から、クリーンエネルギーとして需要増大が予測されている。
本稿では、鹿島液化ガス共同備蓄基地への納入事例をもとに、富士電機独自の光技術と最新のCPU,DCSを融合した、LPG備蓄基地の計装制御システムについて紹介する。
松本 祥一,赤荻 達也,丸山 良介
統合化制御システムMICREX-IXを東京都有明清掃工場に納入したので、その概要を紹介する。特に、工場を統括管理するための電気・計装設備については、最新鋭の特長ある機器(大容量モールド変圧器、インテリジェントコントロールセンタ、高分散形DCSなど)で構成している。さらに国内最大規模のごみ管路収集システムも同時に納入したので概要を述べる。
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注
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