富士時報
第67巻第7号(1994年7月)

放射線機器・管理システム特集

放射線管理測定雑感

浜田 達二

放射線機器の現状と展望

山口 清治,楠戸 豊士

放射線機器をモニタ、総合機器、応用計測器に分類し、それぞれの需要動向、技術動向について述べる。
ここしばらくは原子力発電所の新増設は少ないが、更新需要、原子燃料サイクル施設関連の需要があり、需要全体としては微増の傾向にある。技術動向としては、コンピュータを含めたシステム化の傾向が一層進むとともに、個々の機器についても高機能化、インテリジェント化が進むと考えられる。 

放射線センサ

花房 龍治,石倉  剛

各種の放射線センサを検出原理により分類し、そのなかで特徴的な半導体検出器とプラスチックシンチレーション検出器を中心に紹介する。半導体検出器としては60℃まで使用可能な高温対応のエリアモニタ用と、2,000mm2の有感面積を有するダストモニタ用について、またプラスチックシンチレーション検出器としては625mm×520mmの有感面積を有する汚染モニタ用について、それらの構成、動作原理および特性を述べる。

個人被ばく管理システム

田辺 健一,明石 倫雄

原子力発電所では、厳重な放射線管理がなされており、なかでも放射線業務従事者の被ばく管理は最も重要な業務であり、きめ細かな管理が行われている。本稿では、厳密な被ばく管理に対応し、かつ管理業務を合理化した富士電機の個人被ばく管理システムについて紹介する。本システムは、スーパーミニコンピュータと被ばく管理設備の連帯により、必要な情報を最適な形で提供できることを特長とし、被ばく管理業務の高度化を実現している。 

放射性物質表面汚染検査装置

青山  敬,皆越  敦,長谷川 透

原子力発電所では、被ばく線量の低減や汚染拡大防止のため、管理区域を設定している。管理区域から退出する人や搬出する物品は、表面の放射性物質の付着の有無を表面汚染検査装置により検査されている。富士電機では、顧客のニーズをもとにこれらの装置の改良を重ねてきている。本稿では、体表面汚染モニタをはじめ、表面汚染検査装置のなかで代表的な物品搬出モニタ、ランドリモニタ、さらに体内汚染検査装置のホールディカウンタの概要を紹介する。 

放射性廃棄物管理システム

河野 悦雄,東舘 孝道,渡辺 道人

低レベル放射性廃棄物ドラム缶の搬出、輸送に関連したドラム缶検査装置とゲートモニタについて紹介する。ドラム缶検査装置ではドラム缶全表面のふき取りによる表面汚染密度測定と検出器走査による表面線量当量率測定および高速形高純度Ge半導体検出器とプラスチックシンチレータによるドラム缶内放射能濃度測定を迅速に行う。また、ゲートモニタは屋外の厳しい温度、降雪環境下で船舶からのレーダ障害を受けることなく短時間にドラム缶搭載車両の表面および1mにおける線量当量率測定が可能である。

原子力施設周辺の放射線監視システム

藤本 敏明,安友 克美,花房  高

原子力施設の設置にあたっては、施設周辺の状況把握のために空間γ線量率などの測定が必要であるとともに施設を中心とした広範囲の地域で放射線モニタリングが実施されている。本稿では、富士電機が受注し、1994年4月から運用を開始している日本原燃(株)再処理施設周辺の放射線モニタリングシステムの構成・データ処理について紹介する。

原子力施設内の放射線監視システム

鈴木善二郎,酒巻  剛,今井 光宏

原子力施設では、放射線による被ばく防止のため、エリアモニタやダストモニタを設置し、作業環境を正確に把握し、放射線防護上の適切な措置が講じられている。富士電機ではこれらの放射線モニタを多く納入してきているが、最近、半導体検出器を用いて、小形化、高信頼性、高感度な装置のニーズをもとに新形エリアモニタ、ダストモニタを開発したので紹介する。特に多点式ダストモニタシステムはリアルタイム処理、連続監視、予測処理などの機能を持っており、放射線管理の高度化ニーズを十分満足している。

放射線管理システム

武内 信義,百瀬太美夫

原子力発電所などの放射線取扱施設では、従来から各種放射線計測機器して放射線管理業務を人間系で実施してきた。しかし最近は、これらの機器とコンピュータをリンクさせ、総合的な放射線管理システムを構築することにより放射線管理業務の省力化、合理化、厳正化を図ってきている。本稿では、富士電機が納入してきた種々の放射線管理システムについて、特に、放射線管理コンピュータ側にたって人間系の処理を代行する機能、放射線管理区域、入退域制御、各種帳票出力などの特徴を紹介する。

核融合実験用放射線監視システム

大林 治夫,小平 純一,松野  清

大型ヘリカル装置(LHD)での高温プラズマ実験に適した新しいタイプの放射線監視システムを開発し、土岐地区に設置した。検出器からの信号が短時間に急増する場合をバーストとして識別する回路をスケーラ部に組み込み、バーストが検地されると、速い時間変動に対応できるモードで放射線量が詳しく記録される。複数の内どれか1台がバーストを検地すると、システム全体がバーストモードになる。バーストのない通常の状態では、ゆっくりした時間変動に対応して、バックグランドレベルを常時測定する。

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