富士時報
第67巻第10号(1994年10月)
ClM・情報制御システム特集
特集論文
第三次産業革命と次世代生産システム
熊谷 貞俊
CIM・情報制御システムの動向と富士電機の対応
川田 正治
コンピュータのダウンサイジング、オープン化、ネットワーク技術の進展により、パーソナルコンピュータ(パソコン)とワークステーションがコンピュータシステムのシステム形態を「集中処理」から「分散処理」へ大きく変えようとしている。各企業の情報処理システムの構築場面においても、パソコン、ワークステーションを活用したクライアント・サーバシステム(CSS)が大きな成果を上げ始めており、CSSを含め分散処理システムへのニーズは大きい。本稿では富士電機の分散処理CIMシステムについて紹介する。
電子機器メーカーにおける基幹業務オープンシステム
高橋 優之,小田 浩充,佐藤 豊茂
コンピュータのダウンサイジング、オープン化、ネットワーク技術の進歩によりシステム形態が集中処理から分散処理へと変わってきている。生産管理システムにおいても、パーソナルコンピュータ(パソコン)の高性能化とソフトウェアの充実により、ユーザー自身でのソフトウェア開発、保守が可能になってきた。本稿では、工場の基幹業務の合理化をパソコンを活用して実現したシステムについての事例を紹介する。
インバータ工場における分散形生産管理システム
佐藤 貞尚,市川 進
市場の変化に敏感に対応し、顧客の満足度を高めるために「短納期化」と「無在庫化」の相反する生産管理の課題を解決して、「顧客の必要な時期に、必要な商品を、必要な台数だけ生産する」仕組みをリエンジニアリングの手法でUNIXによるクライアント・サーバ方式により分散化を実現した。本稿では次の3点について重点的に述べる。
(1)製販統合ロジスティックスCIM
(2)CIMによる生産座席予約システム
(3)上記を推進するサブシステムとしての「MRP」と「DRP」
回転機工場における製造準備ネットワークシステム
古市 一義,深瀬 満男,兼久 将一
回転機工場の組立準備部門で、現品管理、組立前加工工程管理、組立指示、搬送指示、梱包(こんぽう)予告などを、パーソナルコンピュータを利用したネットワークシステムとして作成した。本システムは既存のパッケージソフトウェアを最大限に活用し、低コスト、短期間で開発したものである。本稿ではその概要を紹介する。
バッチ制御用銘柄管理システム
伊藤 泰夫,吉野 稔,山地 智文
変種変量生産を行うバッチプラントでは、生産銘柄の切換、新銘柄の追加が頻繁にあり、計測制御システムも柔軟に対応できなくてはならない。本稿では、シーケンスを機能ごとに分類し、階層構造にすることで作成保守が容易に行えるバッチ制御用銘柄管理システムについて述べる。
コイルヤードコンピュータシステム
賀好 栄治,津田 宗,相馬 寛
日新製鋼(株)呉製鉄所の、コイルヤードFA化にあたって導入した、コンピュータシステムを紹介する。システムは操業の省力化、異材防止による品質向上、操業者の安全性向上、ビジネスコンピュータからのダウンサイジングを目的として構築されたものである。システムは大きくデータベース系、マンマシン系、搬送指示系の三つの処理系に分かれ、これらの機能を4セットのコンピュータで分散して管理する方式とした。また、精整ラインのスケジューリング、物流予測などの機能には、AIMAX-CによるAI処理も導入した。
エピタキシャルウェーハ製造工程におけるFA管理システム
北爪 哲夫,猪又 優,土井 敏生
製造部門の自動化、機械化のなかにおいて、生産性向上、品質を確保するために運転方式の決定、製造基準の設定、運転率の調整など、作業者による高度の判断が重要となってきている。
本稿では、エピタキシャル製造部門において、生産性向上、標準化のため、複雑な製造条件、品質条件をシステムが判断し、操作員への最適な作業方法を指示する。コンピュータ利用の作業支援システムを紹介する。
商社における配送センターシステム
成島 剛史
近年は販売ルートにおける流通コストの低減化が、流通業界の重要課題となっている。特に、流通の中間段階に位置する卸売業者、商社などにとっては、生き残りのための絶対条件であり、これに対応するため、大規模配送センターの建設が各所で進んでいる。
本稿では、商社に代表される流通系の配送センターを、メーカー系の配送センターと比較することによって、その特徴を明らかにして、センターを管理・運用する情報システムに必要とされる機能と特徴を述べる。
情報制御システム用各種コンポーネント
徳永 良一
FA情報システムを構築するためには、通常のOA情報システム用のコンポーネントと、生産現場の環境や業務に適したFA情報システム用コンポーネントとうまく組み合わせることが必要である。本稿では次の3商品について紹介する。
(1)FAターミナル
(2)ピッキング表示器
(3)統合図面管理システム
普通論文
特別高圧需要家向け電力系統運転支援システム
小出 哲也,広瀬 文彦,佐藤 厚志
特別高圧需要家の電力系統が複雑化、高度化していくなか、合理化、省力化の推進により、操作員の負担は増大している。これに対応するための電力系統運転支援システムの紹介を行う。電力系統故障支援機能として、事故解析・復旧操作支援のエキスパートシステムの構築を行い、事故の確実な把握と復電時間の短縮を図る。エキスパート構築支援機能として、(1)系統情報作成機能、(2)事故シミュレーション機能、(3)ルール確認支援機能を装備し、ユーザーとの親和性の高いシステムになっている。
-
注
-
本誌に記載されている会社名および製品名は、それぞれの会社が所有する商標または登録商標である場合があります。著者に社外の人が含まれる場合、ウェブ掲載の許諾がとれたもののみ掲載しています。