富士時報
第69巻第8号(1996年8月)

夢が実現した壁掛けテレビ

内池 平樹

富士電機のICの現状と展望

目黒  謙

富士電機のICは高耐圧技術によるパワーIC分野(自動車、電源、ディスプレイなど)、センサ内蔵技術によるオートフォーカスICや圧力センサ分野などに展開されている。特長としては、バイポーラ、SiゲートCMOS、C/DMOS、Bi-CMOSの高耐圧技術、高密度実装に適したバンプ技術などがあげられる。今後は高集積化やパワー回路の取込みの方向にあり、システム化技術と放熱設計技術の重要性についても言及している。

高耐圧ICプロセス技術

多田  元,北村 明夫

ディスプレイ分野や電源分野など多くの分野に用いられる高耐圧ICのプロセス技術を紹介する。高耐圧デバイスの素子分離にはpn接合分離技術や自己分離技術を用い、デバイスの微細化およびプロセスの簡略化により高集積で低コストなプロセスを達成した。本稿では、スイッチング電源用との650V級プロセス、DC-DCコンバータなどを用途とする60Vプロセス、PDP駆動用ICなどを用途とする150V級プロセスの3種類について、その特長を述べる。

スイッチング電源用パワーIC

佐藤  満,手塚 伸一

スイッチング電源は小形・軽量・高効率などの特徴から、各種電子機器に幅広く使用されている。富士電機ではこれまで各種スイッチング電源制御用ICを製品化してきたが、より一層の小形化・低価格化の市場要求に対応して、今回パワーMOSFETと制御回路を一体化したスイッチング電源用パワーICを開発した。これにより、大幅な外付け部品の削減が図れる。本稿では開発したパワーICの概要について紹介する。

同期整流方式DC-DCコンバータ用IC

野村 一郎,佐藤  満

CPU、メモリなどのディジタルLSIの動作電圧が従来の5Vから3.3V以下へ移行しつつあるため、その直流電源であるDC-DCコンバータにおいて、出力電力に対するダイオードの電力損失の割合が増大して、電源の効率が低下する問題がある。富士電機では、ダイオードの代わりにMOSFETを整流素子として使用する「同期整流方式」により、3.3V以下の出力に対し、95%程度のきわめて高い効率が得られる制御IC「FA3616E」を開発したので、その概要を紹介する。

液晶ディスプレイ用IC

佐野  功

情報・通信・OA関連機器の表示部などに使用されている液晶ディスプレイは、情報伝達の手段、マンマシンインタフェースとして広範多岐にわたって応用されている。本稿ではキャラクタ表示タイプの小形液晶パネル表示用コントローラドライバICを取り上げ、表示容量の多様化に対応して製品の系列化を図ったので、その特長、主要特性、応用例などの概要を紹介する。

カラープラズマディスプレイドライバIC

重田 善弘,多田  元

プラズマディスプレイパネル(PDP)は、大画面化が容易であること、応答速度が速いことなどの理由により、大画面壁掛けテレビ用表示デバイスの最有力候補と考えられている。富士電機では、すでに高耐圧技術を用いたモノクロームのPDP用ICを量産しているが、それに続き世界に先駆けてカラーPDP用ICを開発し、製品化した。本稿では、アドレスドライバICおよびスキャンドライバICの特長・主要特性について述べる。

高機能オートフォーカスモジュール

田中  誠,榎本 良成,森  賢一

カメラの自動焦点に用いられるオートフォーカス(AF)モジュールに適用した逆光対策技術、迷光対策技術について紹介する。逆光対策技術は、AFIC内部で、逆光部分の高輝度データを除外して被写体像データを得られるようにした。また、逆光対策技術は、AFICチップ表面にブラックマスク(黒色の反射防止膜)を形成し入射光の反射を防止するようにした。

高耐圧DC-DCコンバータ

逸見 徳幸

近年、個人レベルでの医療への関心が高く、医療費の増加が著しい。それに伴い、医療機器の需要も増加している。これらの医療機器に求められることは、患者に危害を与えないことであり、特に患者との接触が必要となる機器は、患者を感電から保護するために安全規格を満足しなければならない。このたび、これらの医療機器での使用を考慮し、入力-出力間の耐圧がAC2.5kV以上を満足し、IEC601の基礎絶縁に準拠する絶縁形DC-DCコンバータを開発したので、その概要を紹介する。

急速充電器

城山 博伸,吉田 泰樹

近年、二次電池の進歩により、携帯形機器が普及している。これに伴い、二次電池用充電器のニーズも高まっている。一方、国内の製造物責任(PL)法やヨーロッパのEC指令に見られるように、製品の安全性は世界的な関心事である。今回、イミュニティ試験などにより、より安全性を高めた急速充電器を完成させたので、その概要を紹介する。

1チップ集積形圧力センサ

加藤 和之

半導体圧力センサは自動車用、民生用、計測用などの分野で実用化されており、近年、新用途への適用により市場は拡大しているが低価格化の要求はより強まっている。富士電機は1992年からセンシング部および信号処理回路を1チップ上に集積化した圧力センサを量産してきており、パッケージや特性を系列化し、多岐にわたるユーザーの要求にこたえてきている。この1チップ集積計圧力センサの特長、設計、構造、特性仕様についての概要を紹介する。

エアバッグ用半導体加速度センシング素子

斉藤 和典,上柳 勝道

自動車用エアバッグシステムの大衆車への普及に伴い、高性能、小形、安価な半導体化速度センサへの要求が高まってきている。富士電機では、富士通テン(株)と共同で、マイクロマシニング技術を応用した卍(まんじ)形4本はり構造、8個のひずみゲージ方式、およびスクイーズフィルム効果の流体設計によってガラス+シリコン+ガラスの3層構造からなるエアダンピング機構をもつ半導体化速度センシング素子を開発したので、その特長、構造、特性いついての概要を紹介する。

ICの品質保証

片岡 孝三,小山 幸男

ICの品質保証に関して、基本的な考え方を新製品企画、開発、設計から納品まで4段階に分けて説明し、そのなかで重要と考える事柄について述べる。その一つは、ICの故障解析と故障メカニズムであり、ICの故障モード、故障原因の一覧表、およびそれらの代表写真を示す。もう一つは、品質信頼性の維持向上を図るための解析データの源流へのフィードバックであり、これらについて内容を説明する。

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