富士時報
第71巻第10号(1998年10月)
光フィールドバス特集
新 誠一
黒岩 重雄
次世代のプラント計装制御・情報通信システムの共通インフラストラクチャとしてフィールドバスが期待されている。富士電機は光ファイバ式フィールド計装システム「FFI」の経験をベースに,国際標準化活動に多くの貢献をしてきた。現在,この国際規格に基づく光フィールドバス機器・システムの開発を進めている。本稿ではこれらの展望と富士電機の取組みについて説明する。
松平 竹央
国際標準のフィールドバスが実用化の局面を迎えるなか,富士電機の光フィールドバスも発売の時期を迎えようとしている。本稿では,富士電機の光フィールドバスへの取組み,光フィールドバスシステムの構成機器や特長,光フィールドバスの採用による経済的効果など,光フィールドバス全般に関する概要を紹介する。
辻 伸彦,神崎 昇,吉田 豊
光フィールドバスの実用化のためには,低損失の光スターカプラ,高発光効率のLED-PD一体化素子と光トランシーバ回路,および低消費電力で動作可能な通信制御用LSIが必要である。富士電機はこれら主要コンポーネントの開発を行い,光フィールドバスの国際標準化活動と製品化展開による普及を積極的に促進している。本稿ではこれら主要コンポーネントの技術と特長について紹介する。
伊藤 悦郎,伊美 雄二,郡司 琢巳
光フィールドバスでは,入力機器として圧力・差圧発信器や温度発信器,出力機器として光/空気圧変換器などのフィールド機器があり,これらの多くは内蔵のバッテリを電源とする自律分散の構成をとっている。圧力・差圧発信器は,電気式発信器FCX-Aと同じ検出部を用いて高精度化を実現している。光/空気圧変換器はAOファンクションブロックを実装し,設定値入力を変換して空気圧を出力する。温度計としては,1点用の温度発信器および最大8点を入力とする多点温度変換器が用意されている。
笹野喜三郎,伊藤 徹
光フィールドバスに対応したFOCUS(Fuji Open Control Universal System)の概要について紹介する。FOCUSはパーソナルコンピュータを応用したオープンな統合化制御システムであり,小規模システムから適用可能で,規模,用途に応じた自在なフィールドバスシステムを構築できる。光式,電気式両方のフィールドバスを使用可能なほか,コントローラ,光フィールドバスの幹線などを冗長化することができ,信頼性の高いシステムを提供できる。
渡部 好三
フィールドバスの信号の伝送路として光ファイバを使用し,耐ノイズ性,安全性など光信号の持つ優れた伝送特性を生かしたものが光フィールドバスである。富士電機はフィールド計装における光伝送技術に関し,10年以上の実績と豊富な経験を持っている。本稿ではそれらの経験を踏まえ,光フィールドバスの工事について設計から施工,試験までを概説する。
垣堺 健,池田 卓史
フィールドバス協会で仕様開発を進めている光フィールドバスプロファイルの概要について紹介する。光フィールドバスの規格は1995年11月にIEC1158-2Amendment-1として承認され,その後,フィールドバス協会の光フィールドバスワーキンググループ内で仕様開発を進め,1998年5月,光フィールドバスプロファイルとして正式に配付された。
-LPG・原油備蓄基地への適用-
東 尚巳
光ファイバ式フィールド計装システム「FFI」の特長は,広域なエリアで危険物を扱う石油製品備蓄基地の要件仕様と合致するため,各ユーザーの評価が高く,多数の納入実績がある。本稿では,LPG備蓄基地と原油備蓄基地への納入事例を紹介する。これらの基地では,現場計器にFFIを全面的に採用しており,光による本質的な安全性と工事や管理の合理性を実現している。
-空港給油設備への適用-
庄林 直樹
年々増え続ける航空需要に応じ,国際空港の整備が進み,新東京国際空港の拡張(第2旅客ターミナルビルの建設,パイプラインの送油能力増強),関西国際空港の開港と大きなプロジェクトが完了した。これらの空港の航空機給油設備の計装システムとして,光ファイバ式フィールド計装システム「FFI」を納入している。航空機燃料に関連する計測を行うため,現場機器は防爆構造であることが必要であり,無線機によるノイズ,雷サージにも影響を受けないため,FFIは非常に適したものである。
-油槽所,製油所オフサイトへの適用-
石田 紘三,小林 益之
光ファイバ式フィールド計装システム「FFI」は,ノイズ・雷・防爆への対応,省線化などのニーズにこたえるシステムとして注目を浴びており,その特長を生かした多数の納入実績がある。本稿では,FFIの納入事例として,(1)油槽所への光計装の適用,(2)製油所オフサイトへの光計装の適用を紹介する。
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注
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