富士時報
第73巻第5号(2000年5月)
産業ソリューション特集
高橋 輝男
吉田 純一,中島 千尋
富士電機は,「お客様の立場に立って考え,お客様の価値を創造し高めること」をコンセプトとするソリューションを体系化し, 「Solution_MEISTER」として商品化している。Solution_MEISTERではフレームワークと呼ぶ手法により,全体最適の視点に立った課題の抽出と課題解決の方法を設計する。このフレームワークに基づきSCM,ERPによる基幹情報系からMES,制御システムによる現場の管理・制御系,さらに物流系に至るまでを,最新の情報技術(IT),ネットワーク技術および現場技術を駆使し実現する。
田中 春樹,吉田 清
日本におけるバブル経済崩壊以後,「ものは良いものを作りさえすれば売れるもの」という考えはまったく通用しなくなった。各企業は急速に発展した情報技術(IT)を利用し,生き残りをかけ,安定的発展のためのあるべき姿の模索,そしてその実現を求めることとなった。本稿では,企業活動の基本である価値の創造を広義な製造ととらえ,そのあるべき姿の提示とその具体化手法に関するソリューションの基本的考えを論ずる。
岩田 誠也
今日,製造業,流通業ともに,価格破壊の波を受けて構造改革を迫られている。各企業ともに生産性を追求していくなかで,次第に物流コストの増加が目立ち,その大幅なコストダウンを行ってきた。しかし,従来の物流改善では商品の低価格化に追いつけず,抜本的な改革の必要性に迫られている。本稿では,生産・販売・物流一体となったロジスティクスとその戦略立案のフレームにテーマを絞り,ロジスティクスビジネスへの取組みについて紹介する。
土屋 和広,菅井 賢三
富士電機ではサプライチェーンマネジメント(SCM)ソリューションプロバイダーとして,お客様の価値創造のために,導入コンサルティングから実際のSCMソフトウェア導入までをサポートした幅広いメニューを用意している。SCMソフトウェアとしては,i2テクノロジーズ・ジャパン(株)やバーンジャパン(株)の製品を展開している。また,SCM構想企画コンサルタントとして,期待効果シミュレーションを含め,導入ステップに応じたメニューを準備してお客様のSCM構築を支援している。
鈴木 實,岡嶋 英治
バブル崩壊以降の日本経済低迷のなか,企業を取り巻く環境が大きく変化してきている。各企業とも,企業活動全体を効率よくスピーディに,そして,企業環境の変化,顧客ニーズの多様化に柔軟に対応するために,戦略的企業経営の仕組み作りのインフラストラクチャーとして,ERP(Enterprise Resource Planning)への移行を図っている。本稿では企業の基幹業務のコアとなる,基幹システムのパッケージソフトウェアであるERPソリューションを説明するとともに適用例を示すことで,基幹業務再構築の考え方を述べる。
及川 弘,加藤 知一,田中 優
製造業においてSCM(Supply Chain Management)を構築する際,MES(Manufacturing Execution System)の役割は非常に重要である。SCM,ERP領域において,いくら最適システムを企画し,実際にSCPソフトウェアを導入しても期待されるSCM効果は限定される。富士電機はSCMソリューション,ERPソリューション,ロジスティクスソリューションと連携することで生産現場指向型のSCM構築を念頭に,長年培った生産現場ノウハウをMESソリューションとして集約し,提供する。
濱口 聖児,下津 慎治
運送会社は単なる荷物の輸送だけでなく,情報システムを核に,荷主に対して高付加価値サービスを提供する企業に生まれ変わろうとしている。本稿では,陸運大手企業に対して提供したソリューションを数例紹介する。具体的には,基幹システムを包括する大規模ネットワークシステム,端末をオープン化するエミュレータ,ターミナル内荷役作業を合理化する荷物自動仕分けシステム,トラックの運行状況の監視システム,そして意志決定支援ツールとして地図を応用したシステムである。
高橋 一仁,清水 工
食品業界を取り巻く環境は,ここ数年で大きく変化している。 HACCPをベースとした品質保証,安全性の確保および消費行動の変化(個性化,多様化など)に柔軟に追従するビジネスモデルの構築が企業経営上の大きな課題になっている。本稿では,食品の安全性(IE&HACCPコンサルティングフレーム)と消費者を起点とした流通インフラストラクチャー(SCMシステム構築 の考え方)にテーマを絞り,食品流通ビジネスへの取組みについて紹介する。
森 良一,河田 康晴,福島 康博
従来から工場内の努力目標であった製造リードタイムの短縮や,仕掛り在庫の圧縮にとどまらず,原料・資材調達メーカーや営業部門(納入顧客の需要予測)との情報共有化のなかで,より一層緻密(ちみつ)な製造現場のシステム作りが求められている。調達・製造・出荷配送の流れのなかで,製造現場が果たすべき製造設備合理化と情報一元化の構築について,富士電機が取り組む製造物流ソリューションの概要を紹介する。
高橋 美克,福島 勉,金塚 厚樹
富士電機は,(株)シタシオンジャパンおよび朝日アーサーアンダーセン(株)と共同で,消費者の購買行動を説明するさまざまな次元の評価因子を統合的に分析し,企業における商品開発・需要予測の作業が効率的に行われるように支援する「マーケティング分析システム」を開発した。本システムでは,商品を心理的視点および物理的視点から各評価因子に要素分解し,さらに各種多変量解析処理を実行することで,より精度の高いマーケティング分析・予測が可能となる。
及川 弘,大池 克幸,植草 誠
保全活動の合理化が生産活動の根幹と位置づけられる状況にある。保全技術・ノウハウの共有化・伝承,信頼性・安全性・経済性の確保,計画的かつタイムリーな保全の実施,設備の増設・改造・変更の容易性の確保など,保全活動に求められる要件は数多い。これらの要件に対し,保全情報のスタティックな管理のみならず,現場情報のリアルタイム収集による傾向分析・解析などによる予防保全, 点検業務の合理化などトータルな保全ソリューションを提供している。
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注
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