富士時報
第60巻第6号(1987年6月)

富士時報 表紙

プログラマブルコントローラ(PC)応用特集

特集論文

プログラマブルコントローラ応用の現状と今後の課題

吉田 昌弘,梅里 泰正

富士電機のプログラマブルコントローラ(PC)の応用の経験の内から、PCの特長を生かした使い方として、PCのネットワーク機能を利用した制御システムの構築、高速DDC(Direct Didital Control)、及び物の流れの制御などを紹介した。今後、更に高度に情報化された自動化システムへのPCの応用については、ネットワークの通信プロトコル標準化、及びソフトウェアの生産・保守を体系的に行うために、現在の各種のソフトウェア表現とマシン語の中間に汎用性のある中間言語の設定が必要である。

電力システムへの応用

斉藤 哲夫,福冨 孝一,青木 仁弥

近年、プログラマブルコントローラ(PC)の信頼性や保守性などが向上するにつれて、電力システムの分野へもPCが大幅に採用されるようになった。ここでは電力の代表的分野である火力発電所、水力発電所及び変電所について、一次調整機能(ガバナ、AVR)へのPCの適用(最新技術)や、変電所制御・MMI(マンマシンインターフェース)への適用例を中心にその概要を紹介した。

産業プラントへの応用

豊田 耕作,大内 茂人,小田 孝一

鉄鋼、製紙プラントなど産業プラントへのプログラマブルコントローラ(PC)の応用は、PCの高性能化に伴い、次第に普及の度を早め、現在ではプラント制御に欠かせない重要な地位を占めるに至っている。このような状況のもと、最近の産業プラントへのPC応用がどのように行われているかその概要を紹介した。

加工・組立産業への応用

小井土義行

近年、工場のFA化、FMS化の進展により、プログラマブルコントローラも単一機械の制御から複数の機械やライン全体の制御へと用途を拡大してきている。
本稿では、富士電機のプログラマブルコントローラMICREX-Pシリーズの応用として、設備監視システム及び生産管理システムを紹介した。

物流システムへの応用

高橋 是道

各方面で自動化が急速に進展してゆく中で、物流システムに投入されるプログラマブルコントローラ(PC)についても、PCを単体システムとして投入されるのではなく、縦横のシステムが連係した複合システムとして投入される場合が多くなっている。
ここでは、その複合システムの一般的なシステム概要を示し、PCの応用の全体像を述べ、自動倉庫システムと無人車システムについて具体例を挙げ、PCに求められる機能と推奨できる使い方を説明した。

バッチプロセスへの応用 配合飼料工場の自動化システム

平林  悟

同一の製造ラインで多品種の製品を製造しているバッチプロセス工場では、コンピュータ及びプログラマブルコントローラ(PC)などを用いた合理化システムの導入が活発に行われている。
本稿では、配合飼料工場における富士電機の自動化システムの構成と機能について紹介した。制御機能の中枢を1か所集めた集中監視制御方式を採用し、設備機械の自動運転と生産計画、配合表の管理、日報・帳表作成など、工場管理業務を含めた合理化を図っている。

上下水道計装制御システムへの応用

守本 正範,鈴木 孝洋,占部  昇

上下水道設備のプロセスオートメーションシステムとして、現在では分散制御システムが主流の時代となった。すなわち、プログラマブルコントローラ(PC)は単独装置からシステム化へと発展してきた。
新形PC(MICREX-F)の出現によって、分散制御システムは、従来の設備単位の分散化からきめ細やかな分散化ができ、直接制御レベルで水平・垂直分散した制御システムが実現できる。
本稿では、上水道の濾過池設備への適用例をもとに利点を紹介した。

多機能コントロールセンタの開発と分散制御システムへの応用

末光  修,中原 泰男,福島 正人

プロセス制御における近況は、コンピュータの導入と伝送技術の進歩により、コンピュータへの情報提供を容易にしている。
しかし、現状操作盤とローカルステーション間の情報伝送については、配線方式などの制約が依然としてあり、システムの保守性、拡張性、経済性の効果の限界となっている。
多機能コントロールセンタは、これらのニーズにこたえるために開発したものであり、これにより中央集中監視の情報量が充実されより高度の監視制御システムや予防保全などへの進展が期待される。

新聞仕分け装置制御システムへの応用

清水 恒治,佐藤  寛

新聞印刷システムの発送機器の一つである新聞仕分け装置の制御システムを、MICREX-F200とマンマシンコトローラPMS-050を適用して開発した。これは「新聞仕分けデータの編集、新聞仕分け状況のモニタ、編集データのプリントアウト、新聞仕分け装置の制御」を行うものであり、扱うデータ量はMICREX-F200の内部で10k語、補助メモリを含めると64k語にもなっていながら、MICREX-F200の機能を十分に活用して、実行処理時間0.05秒/スキャンを達成している。

ボウリングオートスコアリングシステムへの応用

高松 弘光,小俣 昭浩

汎用プログラマブルコントローラMICREX-Fシリーズを用いて、ボウリングオートスコアシステム"Fesra-100"を開発した。
本システムは、プロセッサFPK205をホストとし、その監視操作端末ユニット(PMS-050)を各レーン及びフロントに設置してデータ伝送ラインTリンクで結んだ分散制御システムで、メッセージ通信を有効に利用している。本稿では、この"Fesra-100"システムの概要を紹介した。

機器組込形コンポーネントとしての応用

里村 行祥,林崎 君男,相馬 浩志

PCはあらゆる産業のオートメーション、FMS及びFAを構成する設備の中に組み込まれ、制御の中核として欠かせないものになっている。本稿では、社内外に納入した装置の実績の中から、特に、PCの特長である、パソコン通信、大容量メモリを利用したデータ処理、Tリンクによる制御盤の分散装置及び高速スキャンタイムと信頼性について、事例をもとに紹介した。なお、事例は試験装置、移載装置、塗装装置及び検査装置の四つの異なったフィールドから選出した。

普通論文

蒸気タービン用高信頼度ディジタル式電気油圧ガバナ

渡会 裕一,西田 和実,曽我 修司

火力プラントの自動化、蒸気タービンの新形化(油圧ガバナを装備しない弁個別制御方式)に対処するため、信頼性、制御性、保守性に優れたディジタル式電気油圧ガバナを開発した。
ハードウェアとしてはMICREX-F500を使用し、全機能をソフトウェア化した。主制御装置は三重化し、中間値選択、2 out of 3回路を採用することで信頼性の向上を、また自己診断、故障診断機能を充実し、カードの活線着脱、プログラムの可視化を可能にすることで保守性の向上を図った。

ビル管理用コンピュータシステム

河田 哲生,宮崎 幸宏

最近のビル管理システムに対する要求は、省力化、省エネルギー化にとどまらず、インテリジェントビルに代表される高機能、多機能化や、大規模24時間稼動ビルのように大容量で高信頼性というように多方面にわたっている。
このような状況に伴いコンピュータシステムの導入が盛んであるが、ビル管理システムとして納入した例を基に、その特長、機能を解説した。

編機用制御装置

菱沼 正勝,松田  洋

工業用編機は、靴下やセーターなどニット製品を編む機械であり、構造上丸編機と横編機に分類される。これら編機は、当初すべて機械的制御により編成が行われていたが、ファッションニーズの多様化、個性化、高級化に伴い電子的制御が積極的に導入されてきている。
このための制御装置には、当初部分的に汎用PCの適用が試みられたが、最近では機械との一体化、専用機械化、ニットCADとの結合などから専用PC化が図られている。

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