富士時報
第60巻第11号(1987年11月)

富士時報 表紙

レーザ応用機器特集

レーザにかける夢

中井 貞雄

レーザ技術の現状と展望

中野 勝夫

加工用レーザの中で、現在使用されているNd:YAGレーザと炭酸ガスレーザの市場の予測について検討を行った。この中で5年後には現在の5倍近いレーザ加工機が、それぞれの特長を生かして使用されることを考え、現在の主要2レーザの比較の上に立って、今後急速に応用分野が拡大するであろう固体レーザの技術的なバリエーションと、技術開発の課題について述べた。

100W級YAGレーザ発振器

城所  勲,新妻 正行,長嶋 崇弘

YAGレーザ刻印装置の発振器としては、50Wのものが主に使用されている。しかしより高出力の発振器が必要となるケースもあり、100W発振器を開発した。この発振器はマルチモード発振ではあるが、エネルギー強度分布がビームの中央部に集中しており、しかもビーム広がり角が小さいので、刻印性能が優れている。また、レーザはんだ付け用の発振器として、CW発振効率の高いモデルについても紹介した。

レーザ加工技術

今村 清治

レーザ加工は、高エネルギー密度熱源の特徴を生かして広く応用されるようになってきた。
本稿では、現在、主流を占めるYAGレーザと炭酸ガスレーザによる加工技術の動向を紹介する中で、新しい加工技術あるいは、今後実用化が期待されるものなどについて、若干基礎的な説明も加え、応用例をあげて述べた。

レーザ刻印装置

青山 春夫,折笠 親一,植田  進

レーザ刻印は、レーザの一応用分野として既にいろいろな方面で実績をあげており、今後、更に普及、用途の拡大が期待されているレーザ刻印は、非接触、かつ高速であり、そのうえ微細刻印も鮮明に行えるので、従来の印刷、打刻、エッチングなどの方法に比べ、格段の特徴を有している。
本稿では、富士電機のレーザ刻印装置をレーザの種類と刻印方法とから分類して紹介し、それぞれの原理、特徴、導入例などを紹介した。

レーザはんだ付け装置

青山 春夫,宮本 信幸,川村 浩徳

最近の電子技術の急激な進歩に従って、部品の実装についても高密度化、超小型化、多機能化に対する要求が高まり、これにマッチするものとして、局部加熱、非接触性、高エネルギー密度及び高い操作性などの特長をもつレーザはんだ付け装置LASERMATE-SDを開発・商品化した。本稿ではその概要、仕様、構成、特長、適用にあたっての留意点及びその適用例について紹介した。その中で、特に表面実装のポピュラーな電子部品であるフラットバックICへの適用例について詳述した。

レーザ用電源装置

新妻 正行,鯉江 和裕

レーザ発振装置の性能はその電源の性能により大きく左右される。
本稿では最新のレーザ技術、パワーエレクトロニクス技術による各種レーザ用電源装置(連続励起YAGレーザ用、パルス励起YAG・ガラスレーザ用、アルゴンレーザ用、炭酸ガスレーザ用)を紹介し、その回路、特長、特性などについてのべた。

レーザ加工装置用CAD・制御システム

三次 正宏,中村 光宏,白水 康之

大出力レーザを利用した各種レーザ加工機が普及しているが、これらの加工機において、操作性、稼働率、FA化対応などの向上が求められている。このような背景からCAD、制御、通信などの複合機能を持ち、複数の加工機への適用を目指したレーザ加工機用CAD・制御システムを開発した。このシステムは富士電機の産業用コンピュータL25を利用したもので、1台のコンピュータでCADとマシン制御、通信、搬送制御を並行処理することができ、汎用性と多機能が特長である。

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