富士時報
第62巻第12号(1989年12月)

道路関連技術特集/水力発電技術特集

機電一体+土機一体=草新技術

大橋 秀雄

道路関連技術特集論文

道路施設と富士電機

関口 一夫,笹本 利治

高速道路には、安全かつ円滑な交通を確保するため、種々の施設が設置されており、各々が重要な役割を果たしている。これらの施設は、道路の延長、社会の複雑化などにより高機能化を求められている。
本稿では、道路施設分野における富士電機のこれまでの実績と今後の取組みについて概要を紹介する。

道路用遠方監視制御設備

豊田 匡彦,松本  紳,小池 秀和

高速道路の共用延長が伸び、道路の管理がますます重要となってきている。遠方監視制御設備は、管理の集中一元化の中枢として、信頼性、マンマシン機能の充実が図られてきた。
ここでは、遠方監視制御設備の概要と動向について紹介する。

道路トンネル用電気集じん機設備

長滝 清敬,天利 健一,田中 賢勇

道路トンネル用電気集じん機設備は、近年、トンネル換気の維持コスト、建設コスト低減の有力な武器として注目を浴びつつある。
本稿では、電気集じん機システムの開発経過、システム構成、及び今後の技術課題について、その概要を紹介する。

道路トンネル換気制御

市原 敏克,伍島  亮,中村 彰吾

縦断道路建設から横断道路建設へと移行することによる道路トンネルの増大に伴い、トンネル換気制御が一層重要視されている。
本稿では、トンネル換気制御の概要と富士電機での実施例及びシュミレーションでの検討例を紹介する。

道路用電源設備

松本  紳,新保  茂

道路用電源設備は、インターチェンジ、トンネルなどの施設に設ける照明・情報板・換気・防災・通信設備などに電源を供給する重要な設備である。電源設備は受配電設備、自家発電設備、無停電電源設備から構成されている。
本稿では受配電設備を中心に、計画と施工のの実際と技術動向を紹介する。

道路トンネル用計測設備

伍島  亮,大久保次男

道路分野では、安全で快適な車の交通を支援するため、管理費節減や予防保全のためにいろいろな計測設備が使用されている。
本稿では、そのうちの主な設備についてその概要を述べ、富士電機で製作している機器を紹介する。

水力発電技術特集論文

流体力学研究設備の近代化

川島 正巳,村田 幸雄

国内、国外の流体力学研究設備の大部分は、計測の自動化を行っている。しかし、ラボラトリーオートメーションを導入して、性能測定装置の自動校正、始動から停止まで含めた運転の自動化を実施している例はほとんどない。今回、老朽化した設備の近代化にあたり、性能測定装置を更新し、測定制度を更に向上させるとともに、ラボラトリーオートメーションを導入し、実験の省力化、スピードアップ、データ処理の自動化を図ったので、その概要を紹介する。

超低落差大形バルブ水車のキャビテーション特性

久保田 喬,塚本 直史

ランナ直径が落差を超えるような超低落差大形バルブ水車のキャビテーションの発生状況、特にその垂直分布を模型キャビテーション試験結果とランナの三次元流れ解析とから推定する方法を述べた。更に、このキャビテーションの垂直分布を考慮に入れた新しいキャビテーション特性換算方法を説明した。以上により、従来ほとんど検討されていなかった超低落差大形バルブ水車のキャビテーション特性を、その模型試験結果から高信頼度で予測することが可能となった。

バルブ水車の高比速度化

木本  裕,大和 昌一

近年、低落差水力地点の採算性が見直されてきている。低落差発電所の建設においては、土木建設費が大きな割合を占めるため、水車を高比速度化し、水車本体の大きさを小形化することが極めて重要な課題となっていた。富士電機では早くから低落差水力発電所用の水車機種としてバルブ水車の開発を行ってきた。前述のような背景により、最近では特に水車特性の高比速度化に取り組んできたのでその成果の概要を紹介する。

プラスの吸出し高さで運転可能なカプラン水車の開発

鈴木 良治,大隈 譲二

中部電力(株)笹戸発電所向けにキャビテーション特性の優れたカプラン水車を開発した。本発電所は既設フランシス水車を8枚羽根カプラン水車に更新するもので、既設の建物の吸出し管を流用するため、吸出し高さがプラスとなった。新ランナは、従来より羽根を長くするとともに、羽根面上の圧力分布の最適化を図り、コストアップを招かずにキャビテーション特性を改善した。新ランナの性能は模型試験によって検証され、プラスの吸出し高さで運転可能なことが確認された。

水車発電機のメンテナンスフリー化技術

氏家 隆一,倉島 昭介,小野 辰雄

水力発電のメンテナンスフリー化の要求は、特殊な立地条件による保守の困難さ、人件費高騰などの影響から近年特に高まりを見せている。
本稿では水力発電所のメンテナンスフリー化に大きく貢献できると考えられる富士電機の技術の中で、近年開発し、実記適用に入ったヒートパイプ軸受、空冷軸受、固定子巻線のスロット内支持方法などの技術について紹介する。

エポキシレジンコイル絶縁システムの寿命診断

井池 政則,辻村 輝雄,村岡 政義

富士電機はエポキシレジンコイルを日本で最も早く実用化した。30年を経た初号機のエポキシレジンコイルの諸特性を調査することにより寿命診断にどう生かせるか述べた。またコンパウンド絶縁に比較してエポキシレジンコイルの優位なことを測定データで示し、現在行われている絶縁診断での問題点もピックアップした。更に現在開発実施されている新しい寿命診断の方法にも言及している。

水力発電所用制御装置のディジタル化

斉藤 哲夫,三村 英明

水力発電所用制御装置は、プログラマブルコントローラ(PC)の発達により、発電機励磁制御機能、水車調速機能など、一次調整機能をも包含した「総合ディジタル制御装置」の適用へと発展している。ここでは、東北電力(株)本道寺発電所及び日本海発電(株)片貝南又発電所へ納入した「ディジタル制御装置」の概要を主体に最新のディジタル制御装置の動向を紹介する。

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