富士時報
第66巻第3号(1993年3月)

教育の場から思う

荒井 聰明

汎用受配電機器の現状と展望

高松  巖,喜多村忠雄

受配電制御システムは、工場やビルがその機能を果たすうえで不可欠な設備である。また、高度情報化社会の進展と配電制御システムの高度化、複雑化などに伴い、電力供給の信頼性要求がますます強まっている。富士電機は、このようなシステム向けの配電制御用機器に関して、これら市場ニーズにこたえるべく新商品開発に努めてきた。本稿では、これらの機器の主要機種である高低圧遮断器、開閉器、保護継電器、自動力率調整器、変圧器および各機器をネットワーク化したFI-Netなど最近の新製品について紹介する。

高圧真空遮断器 MULTI・VCB

大澤 雪雄,橘内 正光,細野  隆

高度情報化社会における電力供給設備の信頼性向上の要求が高まるなかで、高圧遮断器の高信頼化の要求および設備保守技術者の減少への対応がますます増大してきている。
富士電機は、これら市場動向や市場ニーズにこたえるべく、高い安全性・信頼性に加えて、使いやすさ、保護協調の取りやすさを図った遮断器を開発した。
本稿では、その特徴、構造、試験結果などについて概要を紹介する。

インテリジェント真空遮断器

小林 敏夫,國分多喜雄,秋田  治

高品質電力の安定供給および設備保守技術者減少への対応という観点から、系統信頼性の向上、予防保全、メンテナンスフリー化などへの要求が高まってきた。そこで標準の自動真空遮断器に予防保全機能として、真空度低下監視機能、主回路端子部の異常温度上昇監視機能、および引外しコイルの断線チェック機能を追加し、さらに状態監視、制御などの情報の授受を行う伝送機能などを付加したインテリジェント真空遮断器を開発した。
本稿では、その仕様、機能の概要について紹介する。

最近のヒューズ付高圧交流負荷開閉器

藤沢 浩昭,小林 和典,石川  熙

キュービクル式高圧受電設備のJIS(C4620)の改正に合わせ、主遮断装置に使用するヒューズ付高圧交流負荷開閉器の絶縁バリヤについて小形化、取付け性向上の目的からモデルチェンジを行った。
また、ヒューズ付高圧交流負荷開閉器の適用負荷容量を広げる目的から、開閉器に搭載する限流ヒューズの定格電流を75Aまで拡大した。
本稿では、これら規格の改正などを含む最近の技術動向を取り入れた富士電機のヒューズ付高圧交流負荷開閉器について紹介する。

新形モールド変圧器と新系列

村瀬 啓文,森谷  廣

昭和50年、富士電機は、日本国内で初めてモールド変圧器を実用化した。以来、市場から高い評価を得て多くの実績を積み重ねるとともに、市場ニーズにこたえるモールド変圧器の開発、系列化を行ってきた。このたび、最新の設計技術、生産技術を結集して、一次巻線と二次巻線とを同時一体注型した新形モールド変圧器を開発した。また、モールド変圧器の系列整備を行った。
本稿では、これらの概要を紹介する。

究極のモジュール化を実現したツインブレーカシリーズの完成

内田 直司,井出 安俊,山地 宏昭

富士電機では、先に30~225Aフレームの配線用遮断器と漏電遮断器の外形寸法を統一したツインブレーカを発売した。今回、この上位機種である400~800Aフレームについて、内装付属装置を後取付け可能な完全カセット化とし、より高度なフレキシビリティ性を実現させたスーパーツインブレーカを開発した。これにより、富士電機のツインブレーカシリーズは、30Aから800Aフレームまで、主要フレームがすべてそろうことになり、複雑化する低圧配電盤および制御盤への柔軟な対応と盤のトータルコストダウンにより一層貢献ができる。

電子式ツインブレーカ

登坂 浩明,渡辺 克己,小山 秀樹

インテリジェントビルをはじめとして高度にコンピュータ化されシステム化の進む現在、電力の安定供給にはきわめて高い信頼性が要求されている。電子式ツインブレーカはツインブレーカのコンセプトを継承し、さらに最新の電子技術により高度にインテリジェント化された配線用遮断器、漏電遮断器で、事前警報・表示、各種調整機能などにより電力の安定供給に寄与するものである。
本稿では電子式ツインブレーカの特長、機能についてその概要を紹介する。

静止形保護継電器

小林 敏夫,柴田 和郎

高度情報化社会においては、電力の安定供給が強く求められており、電気設備で発生した異常を速やかに検出し、確実に遮断して波及事故を防止する必要がある。保護継電器(OCRなど)は、その役目を担う重要な機器の一つである。
一方、エレクトロニクス技術の進展はめざましく、保護継電器においても電子化が進んでいる。
これらの背景から、汎用の静止形保護継電器の商品化を行った。
本稿では、その概要について紹介する。

新形自動力率調整器

高崎 靖夫,佐藤  実,内田 勝久

契約電力の実量値決定方式の低下に見られるような切迫した電力事情などから、再度、省エネルギー対策の気運が高まり、自動力率調整器の需要増大が予想される。本稿では、このたび開発した自動力率調整器の概要を紹介する。特長は次のとおりである。
(1)数値ダイレクト入力で計算不要な設定方式
(2)100V、200V回路に共用できるワイドな電圧入力、操作電圧定格
(3)等容量群、異容量群ともに最少の開閉回数でコンデンサ制御
(4)逆極性入力時の配線替えが不要な極性誤り診断・極性反転機能

制御回路用超薄形サーキットプロテクタ

林  英雄,小塙明比古,金子 良一

機械制御用の制御盤は、機械の大形化、高機能化に伴い複雑化、大容量化している。これに伴い制御盤の小形化、標準化の動きが急速に高まっている。制御盤のこうしたニーズに対応する超薄形の新形サーキットプロテクタ(CP30F形)の商品化を行った。
従来品に対して取付スペースを縮小しながら遮断性能を向上させ、かつ同一品でAC/DC回路両用を実現した画期的なものである。
本稿では、新形サーキットプロテクタの狙いと、特長、仕様、構造、および適用について概要を紹介する。

FI-Netシステム

鹿野 俊介,福田 雅臣,藤巻 正昭

FI-Netは、ビル、工場などの普通高圧・低圧電気設備の監視・制御・保護において多重信号伝送により、情報通信システムが容易に構成できるように開発された機器およびシステムである。受配電機器、制御機器、計測機器などの標準の機器に容易に伝送機能を付加し、経済的な情報通信システム化が可能である。
本稿では、これらの商品の概要とその特長について紹介する。

工事電源用分電盤制御監視システム

五十嵐保久,丸林 雅美,藤巻 正昭

工場や建設現場における高低圧電気設備に対し、単体機器の高機能化、高信頼性化(インテリジェント化)とともに、省エネルギー化、電力の安定供給などを狙いとして、これらの設備の情報ネットワークへの組込み要求が今後ますます求められる。
このような状況のなかで、建設現場などの電機設備の系統機器を対象とした監視・制御などが、どのように行われているかについて、「工事電源用分電盤制御監視システム」を例に紹介する。

設置面積を大幅に縮小した変圧器一体形受配電設備

片山 勝彦,小倉 邦雄,小塙明比古

受配電制御システムの新しい形として、従来、高低圧受配電盤、主変圧器がおのおの独立して設置されていたものを主変圧器を中心として高圧・低圧側を複合一体化した画期的なものを開発した。
この設備の構造は、複合機能を持つ高低圧遮断器ユニットを変圧器と一体となるよう形成されたフレームに固定したもので、配電盤を必要としない特長がある。この設備を開発した狙いは、据付面積の縮小、工期の短縮、トータルコストの低減を図ることであり、今回の開発でその効果がほぼ実証された。

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