富士時報
第68巻第7号(1995年7月)

電源・センサ・プロセス制御用半導体特集

「こころ」へのアプローチ

金原  粲

電源・センサ・プロセス制御用半導体の現状と展望

目黒  謙

富士電機の半導体製品のなかから電源用半導体として、高速スイッチングに適したMOSFET、IGBT、高速ダイオード、サージアブソーバ、制御用IC、ハイブリッドICを紹介する。また、センサ・プロセス制御用半導体として、ホトセンサを内蔵したオートフォーカスカメラ用IC、圧力センサを内蔵したワンチップ形圧力センサ、プロセス制御用のフィールドバス通信制御用ICを紹介する。

力率改善回路用パワーMOSFET

山田 忠則,新井 利浩,小林  孝

電力系統に接続される機器の高調波障害の対策として、法的規制が始まろうとしている。高調波障害の対策として、スイッチング電源技術を応用した力率改善回路が急速に普及し始めている。富士電機では、この動向に併せ、力率改善回路に最適な専用設計を行ったパワーMOSFETを開発した。本稿では、この力率改善回路用パワーMOSFETについての概要を紹介する。

UPS用半導体デバイス

五十嵐征輝,百田 聖自,丸山 力宏

コンピュータシステムのダウンサイジングが進行し、これらの電源であるUPSに対する小形・軽量化、高性能化の要求が高まっている。これらの要求に対応するためには、電源回路を構成する電力半導体デバイスの性能向上が不可欠であり、現在では、高速スイッチングが可能であるIGBTの適用が進んでいる。本稿では、UPSと半導体デバイスの技術動向について述べ、富士電機のUPSに適用されている半導体デバイスを紹介する。また、特に今回開発した新第三世代IGBTの特長についても紹介する。

電源用ダイオード

岩原 光政,桜井 敬二,堀内 康司

スイッチング電源は、あらゆる電子機器に適用され、小形化、高効率化、低価格化などの要求に加え、省エネルギー、高調波ノイズ対応といった機能的にも重要な電源設計項目が新たに要求され、そこに使用されるダイオードへもさらなる特性向上が望まれている。富士電機では、この市場ニーズに対し、ショットキーバリヤダイオード、低損失超高速ダイオード、またこれらのダイオードを搭載した表面実装形パッケージと、市場要求に合致した製品を開発・系列化してきたので、その概要を紹介する。 

セラミックサージアブソーバ「ゼットラップ」

藤岡 一夫,井川  修,佐々木和則

電子機器および装置の半導体化は、従来に増してサージ電圧、ノイズなどの過渡現象による誤動作や破壊の危険性をもっており、これに対応できるサージアブソーバの要求が高まっていた。富士電機では市場の要求にこたえるため、酸化亜鉛を主成分としたセラミックサージアブソーバ「ゼットラップ」を独自の技術で開発し、市場への展開を図ってきている。ゼットラップの概要と適用方法について紹介する。

スイッチング電源制御用IC

有村 健一,野村 一郎

スイッチング電源は幅広い用途に用いられており、技術的にも小形化、高効率化、安全性の面で着実に進歩している。富士電機ではこの動向に沿って制御用ICに求められる特性および機能を付加したスイッチング電源制御用ICの系列化を進めている。本稿では、新しく系列化したカレントモード制御用IC FA5321Pの各種の付加機能を紹介する。さらに、このICを使用した力率改善用のスイッチング電源制御回路を紹介する。

DC-DCコンバータ制御用IC

野村 一郎,有村 健一

携帯機器の発展に伴い電子機器の小形・軽量化,高効率化が従来以上に強く求められている。本稿では、特に高効率化の観点から、富士電機のDC-DCコンバータ制御用ICについて、MOSFET駆動とオンオフ機能のアプリケーションを中心に紹介する。

高効率DC-DCコンバータ

逸見 徳幸,高宮 喜和,米田  保

近年、ノート形パーソナルコンピュータ、携帯電話機のようなバッテリー使用の携帯形機器の小形・軽量化、長時間動作化の要望が著しい。そこに使用されるDC-DCコンバータに対しては、小形、高効率、汎用性が求められる。そこで、今回QFP内にパワーMOSFETおよび制御回路部を内蔵し、外付け部品を少なくし、さらに取扱いが容易で自動搭載が可能な、小形かつ高効率のDC-DCコンバータを開発したのでその概要を紹介する。

高調波規制対応の急速充電器

城山 博伸,吉田 泰樹

商用の電源を利用する機器では、そこで発生する高調波電流が問題となっている。実際、EUでは高調波電流の抑制が1996年1月1日から規制化され、対応が必要となる。高調波規制への対応は、アクティブフィルタ方式などが提案されているが、今回はチョークインプット方式によって高調波規制に対応した急速充電器を完成させたので、その概要を紹介する。

オートフォーカスモジュール

泉  晶雄,西部  隆

カメラの自動焦点に用いられるオートフォーカス(AF)モジュールについて、その機種系列、原理、構成について紹介する。本製品は、ホトセンサ、量子化部、演算部をワンチップに集積したAFICにストレートタイプの光学系を組み合わせたもので、IC上に被写体像を結像させて距離を検出する。また、(1)パッシブ方式のため測距限界なし、(2)小形、(3)ユーザーでのAFIC・光学系の調整不要、(4)所定範囲の任意の方向を測距可能(多点測距)、などの特長を有している。

ワンチップ集積形圧力センサ

加藤 和之,酒井 利明

半導体圧力センサは自動車用、民生用など広い分野で実用化が進められており、それに呼応してセンサメーカーにより高機能化、多機能化が推進されている。富士電機はセンシング部および信号処理回路をワンチップ上に集積化した圧力センサを製品化した。超小形、超軽量、高精度など多くの特長を持ち、自動車用をはじめ多くの分野での適用が期待される。その特徴、構造、応用についての概要を紹介する。

フィールドバス通信制御用LSI「FRONTIER-1」

吉田  豊,鹿島 雅人,三添 公義

本稿では、次世代のフィールド機器用ディジタルネットワークとして、国際的な規格化が進められているフィールドバスの物理層をワンチップ化したLSIを紹介する。本LSIは、高耐圧Bi-CMOS技術を用い、通信制御を行うモデム回路と、バスにインタフェースするトランシーバ回路から構成されている。 

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