富士時報
第70巻第11号(1997年11月)

情報技術の進展と社会への影響

斎藤 信男

計測・制御技術の動向と展望

福本 武也

パーソナルコンピュータはPA,FAでも使用可能となり、情報・制御システムのHCI用OSとしてWindows NTの利用が拡大している。オープンネットワークによりフィールドから経営までのシームレス結合のシステムが可能となった。開発中のFOCUSはフィールドバス接続とProfibus経由のインテリジェントコントロールセンタ接続が可能であり、オープンなEIC統合化システムを構築できる。DCSの発達とともに計測機器は機械組込用が主流となり、温度調節計のニーズは小形・高機能へと移ってきた。環境問題のクローズアップとともに環境測定分析装置、ダイオキシン対応分析装置が伸びている。  

光フィールドバスシステムの展開

神崎  昇,松平 竹央,郡司 琢己

情報・計測システムは、グローバル化の進展・高付加価値化のマーケットニーズを受けてフィールドバスの国際標準化がIECを中心に進んでいる。富士電機はIECに光フィールドバス規格を提案し、規格化に貢献するとともに(1995年11月に国際規格化)、機器開発に取り組んでいる。本稿では、1997年10月から石油メジャーのシェルとともに実施する光フィールドバスのフィールド実証試験に適用するシステムおよびフィールド機器の特長・開発仕様について紹介する。  

オープン統合化制御システムFOCUS

井上 芳範,吉田  裕

パーソナルコンピュータを使った計測制御システムの形態は小規模システムからクライアント・サーバシステムまで広い展開が求められている。近年の厳しい経済環境や低速する設備投資のなかにあって、高度な監視制御システムを低コストで実現することが求められている。ライトサイジング、ライトセレクションのコンセプトに基づき開発されたオープン統合化制御システム「FOCUS」の基本構成、特長および応用事例を紹介する。 

計測機器分野の新技術

中野 昌芳

計測機器の分野では、性能、機能の向上に加え、多様なアプリケーション対応、トータルな経済性の重視などが要求されてきており、富士電機はこれらのニーズに対応するための商品開発を進めている。ここでは、新たに開発した小口径フランジ発信機、超音波流量計、電磁流量計、温度調節計、インクジェット式記録計、赤外線ガス分析計についてその概要を紹介する。 

鉄鋼分野向けオープンシステム

大池 克幸,吉川  肇

鉄鋼分野のコンピュータシステムでは、24時間稼動できる信頼性の確保と、円滑な操業を維持するためのリアルタイム性の確保が重要なポイントとなっている。また、世の中のオープン化の流れは鉄鋼分野にも及んでおり、生産性の向上と保守の容易性などにより、積極的に導入されつつある。富士電機ではこうした厳しいシステム要件のなかでオープン化のニーズにこたえるため、データベース、HCI、開発環境などの各種ミドルウェアを提供している。本稿では、こうしたオープン化ミドルウェアの概要、機能、特徴について紹介する。

プラントシミュレータのごみ焼却設備への適用

中谷 一彦

ごみ焼却設備は、設備の大形化、複合化、高機能化が進むなか、設備を効率よく安全に運転するために分散形制御システムが導入されている。運転員の非定常運転やプラント異常時運転など、迅速な対応が要求され、運転員の訓練の問題がクローズアップされてきた。本稿では、富士電機の分散形制御システム(MICREX-IX)を使用した最近のごみ焼却計測制御システムとワークステーションを使用したプラントシミュレータを紹介する。

運転支援システムの石油分野への適用

東  尚巳,植草  誠

石油業界では、装置運転およびオフサイトのDCS化や情報化が行きわたり、製油所の操業面では高度な自動化・省力化が進められてきた。しかし、システムの伸長とオペレータ負荷低減は必ずしも一致せず、膨大な情報量からのプラント状況認識、異常原因究明、回避策決定はオペレータの判断に依存している。富士電機では、このような属人的な業務を支援するために、運転支援システム商品を開発してきたので紹介する。

マルチメディア携帯端末システムの適用

飯野 光俊,田中  優

プラント設備機器の高機能化、高性能化、高信頼化の進展とともに、設備の保全業務もより複雑化している。プラント操業維持の観点からは、これらの設備の故障時に的確な判断を短時間で行う必要がある。今回、小形軽量の可搬形情報端末装置と無線システムを組み合わせ、(1)巡回点検機能、(2)映像伝送機能、(3)ホワイトボード機能、を備えたマルチメディア携帯端末システムを開発したので、システムの内容と応用システム例を紹介する。

超高解像度ビジョンシステムFAY-1000

福田 和彦

加工精度や実装密度が高くなるに従い,完成品の目視検査は不可能になり,画像処理技術を適用した高精度の自動外観検査が不可欠となってきている。富士電機では,超高解像度ラインセンサカメラと独自の濃淡処理技術やパターンマッチング技術を組み合わせたFAY-1000 を開発した。FAY-1000 の主要用途としては,(1)容器外面印刷検査,(2)シート検査,(3)半導体検査,(4)フラットパネルディスプレイ検査,(5)曲面ワーク検査,などがある。本稿ではその概要を述べる。

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