富士時報
第73巻第2号(2000年2月)

統合コントローラ「MICREX-SX」特集

制御システム技術の発展に期待する

関口  陸

適用拡大が進む統合コントローラ「MICREX-SX」

井手健一郎,富沢 敬一,野口 正幸

MICREX-SXシリーズは,発売以来1年半を経過して,その時代を先取りしたコンセプト,高速処理を生かした新たな分野への適用,時代のニーズにマッチしたオープン性により,好評を博してきた。また,さらなる適用拡大に向けて,ハードウェアレベルの機能拡充だけでなく,ソフトウェア的あるいは使い勝手という面からも機能向上を図ってきている。本稿ではその概要および適用例を紹介する。

操作性を向上させたローダ「D300win Ver.2」

濱田 明秀,山田 正志

D300winは,日本国内では初めてプログラマブルコントローラ(PLC)を本格的支援対象としたIEC61131-3準拠のプログラム開発支援ツール(ローダ)である。バージョン1では,発売以来,多数のユーザーからの要求を取り込みながら,引き続き機能・性能アップを行ってきたが,今回,それらを集大成し,最新のWindows技術を用いて大幅に操作性を向上させたD300winバージョン2(D300win Ver.2)を開発した。本稿では,D300win Ver.2の主な特長を紹介する。

統合コントローラ「MICREX-SX」のモーションコントロールへの適用

相田 忠勝,井田 貴士,富永 保隆

MICREX-SX(SX)の走行切断機械への適用を想定し,同期運転精度の検証結果と,制御内容について紹介する。SXシステムによる走行切断機能では,SPH側の定周期処理で同期運転演算を実行し,モジュールへ位置の指令を行っている。また,特殊切断機械への適用では,回転軸と直線軸の2軸組合せの位置決め運転を紹介している。本例ではSPHの高速な浮動小数点演算機能で三角関数演算を実行しながら位置決め動作を行っている。

ブロックエンジニアリングによる制御ソフトウェアの開発効率向上

福住 光記,島田 喜秋

MICREX-SXシリーズでは,統合プログラム支援ツールD300winにより,国際規格言語IEC61131-3の採用,プログラムの部品化,構造化プログラミングの導入など,制御プログラム作成効率向上のための革新的な開発環境を提供してきた。このなかでも,ファンクションブロック(FB)による制御プログラム再利用の仕組みは,制御プログラムの生産性を飛躍的に高める可能性を秘めている。本稿では,FBを階層的に用意し,この組合せにより制御プログラムを構築していくブロックエンジニアリングの考え方について紹介する。

プログラム自動生成ソフトウェアパッケージ「SCマトリクス」

福住 光記,比留川賢二

プログラマブルコントローラ(PLC)の高性能化に伴い,制御ソフトウェアも複雑化・大規模化が進んでおり,制御ソフトウェア作成効率向上が求められている。このようなもとで開発されたのが, プログラム自動生成ソフトウェアパッケージ「SCマトリクス」である。工程歩進制御に関する運転方案を,Excel 97のワークシートに表形式で記述し,記述したフォーマットのままでモニタできるなどの特徴がある。本稿では,プログラム自動生成ソフトウェアパッケージの概要について紹介する。

統合コントローラ「MICREX-SX」システムにおけるFAアプリケーションソフトウェアとの連携

中村千登世,武田 義孝

近年の製造業では,柔軟で,効率がよく,低コストなFAアプリケーションを構築する際に,さまざまなベンダーの優れた技術・製品を組み合わせる方法が増加している。また,同時に,FAシステム向けの標準化も進められている。本稿では,製造業の現状を踏まえ,MICREX-SXシステムにおけるFAアプリケーションとプログラマブルコントローラ(PLC)システム間のデータ連携の例を紹介する。

ソフトウェアPLCのリアルタイム拡張

松田  洋,森  泰二

パーソナルコンピュータ(パソコン)技術の発展により,制御分野においてもパソコンを使ったオープンなコントローラが普及してきた。従来,管理系に主として用いられていたソフトウェアPLC(プログラマブルコントローラ)について,パソコンや汎用OSの多くの有益なリソースを利用しながら,機械制御に適した処理速度を得るための技術動向とその製品技術を,汎用OSのリアルタイム拡張とリアルタイムOS適用の二面から紹介する。

拡大するSXバス接続機器

川島 重雄,山田 隆雄,小高 秀之

SXバスは従来の内部バスの機能とフィールドバス機能を持つ富士電機独自のバスシステムで,複数のプロセッサや機械装置内に分散配置されるディジタルおよびアナログI/O,ならびにプログラマブル操作表示器やサーボ装置などインテリジェントな機器を1本のケーブルで接続できる伝送速度25Mビット/秒,伝送距離25mのシリアルバスである。本稿では,新たに開発した最大伝送距離を局間で1km,総長で32kmまで拡大できるSXバス光コンバータとSXバスの高速伝送性能と多彩な通信機能を生かした各種周辺機器群について紹介する。

IEC準拠プログラミング教育機材

永田 康則

プログラマブルコントローラ(PLC)プログラムの開発効率や可読性の向上,保守性向上を目的として国際規格IEC61131-3が制定され,さらにJIS B 3503として規格化されたが,日本国内に限ればまだ広く普及しているとは言い難い。富士電機ではIEC言語普及のため,各種IEC言語普及セミナーや技術セミナーの開催,あるいは啓蒙用テキスト類を発行している。ここでは,MICREX-SXの技術セミナーで使用する研修用機材,および技能五輪にて使用された機材,さらに,1999年10月に発行したIEC関連図書について紹介する。

統合コントローラ「MICREX-SX」の機械制御分野への適用

島田 喜秋,吉崎 久之

一般産業機械は多品種少量生産,品質の向上,生産タクトの向上など,ますます高機能・高性能な制御が要求されてきている。MICREX-SXはこうした市場要求にこたえるために開発した汎用プログラマブルコントローラであり,IEC言語を搭載した高速・高機能なコントローラである。
本稿では,機械制御への適用例として,搬送機械への適用,半導体製造装置の移載装置への適用および耐久試験装置への適用例を紹介する。

統合コントローラ「MICREX-SX」の鉄鋼設備への適用

横田 廣幸,乳井 直樹,渡辺  悟

鉄鋼プラント分野では,製品品質の向上や安定操業,省力化などの高機能,高付加価値に関する強い要求があり,これらの要求を満足させる制御機能は,従来専用プログラマブルコントローラ(PLC)により実現してきた。
本稿では,鉄鋼プロセスラインの一つであるシヤーラインの自動選別装置に,従来の専用PLCに代わり,汎用PLCであるMICREX-SXシリーズを適用した事例と,従来のシステム構築方法の違いについて紹介する。

統合コントローラ「MICREX-SX」の分散制御システム「パートナー」への適用

町田 善信,寺田 隆夫,宮崎  栄

パーソナルコンピュータと汎用プログラマブルコントローラ(PLC)をベースとした分散制御システム「パートナー」のループ制御PLC,デマンド監視制御・力率制御PLCとしてMICREX-SX(SX)を採用した。ループ制御PLCでは,SXの大幅な処理性能向上により,従来機種と比較し2.5倍の高速化が実現できた。さらに,1:1ウォームスタンバイ冗長化構成により高信頼なシステムとすることもできる。SXのデマンド監視制御・力率制御PLCでは,小規模電力ロガー「パートナーJr.」への適用を紹介した。

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