富士時報
第73巻第12号(2000年12月)

電気はいつでも手に入れることができるのか

森安 正司

火力・地熱発電設備の現状と展望

赤尾 武彦,西崎 泰博

富士電機は,1955 年に火力事業をスタートして以来,439 ユニット(20,758 MW )の蒸気タービン設備の受注実績がある。また得意分野の一つである地熱発電の分野では,世界をリードしているといえる。ドイツ・シーメンス社とは協力関係を一層強化して,超々臨界圧大型蒸気タービンのみならず,ガスタービンおよびコンバインドサイクル発電にも取り組んでいる。火力発電は今後とも重要な電源であり,富士電機は他社を差別化できる技術で,お客様に満足していただける製品とサービスを提供していく。

IPP 向けコンバインドサイクル発電設備

山形 通史,武田淳一郎,山本 隆夫

1995 年の電気事業法の改正により電力卸供給入札制度が導入され,さらに2000 年7 月の改正により電力小売り事業が自由化された。これにより,IPP (Independent Power Producer :独立系発電事業者)と電力会社間で売電をめぐる競争が始まった。本稿では,IPP のニーズに対応する富士電機とドイツ・シーメンス社のコンバインドサイクル発電設備に関する技術を紹介する。

富士・シーメンスの大容量高温・高圧蒸気タービン

酒井 吉弘,中村 憲司,和泉  栄

富士電機とドイツ・シーメンス社は大容量蒸気タービンの技術開発に絶え間なく着実に取り組んできた。開発の重点課題としては,大容量タンデムコンパウンド機の開発,蒸気条件の高温・高圧化,およびタービン内部効率の向上を大きな柱として推進してきた。近年それぞれの成果を取り入れた最新鋭のマシンが運転開始されてお り,これまで長年にわたって積み重ねられてきた運転実績をベースとして,性能・信頼性・運転・保守性の各評価項目に対して,一段と向上が認められ,良好な結果が得られている。

中容量再熱蒸気タービン

浅野 誠一,高橋 陽一,森山 高志

環境問題の深刻化と電力自由化の世界的な動きは,ガスタービンコンバインドサイクルの再熱プラント化と併せて,中容量再熱蒸気タービンの市場ニーズを増加させている。この市場ニーズにこたえるべく開発した新型機は,タービン基本構造,弁配置,保安装置を含む最適設計によるコンパクト化と,高効率新型プロフィルの採用 による高効率化を実現し,近年のディジタル制御技術を取り入れた良好な運用性,操作性をも併せ持つ高性能機である。

地熱タービン

加藤 佳史

2000 年に運転開始したワヤンウィンド(インドネシア)向け110MW 機およびソルトンシー(米国)向け58.32 MW 機には,CFDの進歩によって開発可能となった新技術や,地熱タービン特有の技術が採用されている。ワヤンウィンド機は,単気筒の地熱用としては世界最大容量であり,ソルトンシー機は,世界でもほとんど例がない,トリプルフラッシュ方式を採用している。富士反動式地熱タービンは,井戸が減衰した場合,第一段翼を削除することにより発電端出力の回復が可能である。

電源開発(株)磯子火力発電所新1号発電機

鈴木 忠雄,長谷  徹,新倉 仁之

1998 年に製作に着手した電源開発(株)磯子火力発電所新1 号発電機(670 MVA )は,2000 年7 月に工場試験を完了させた。本発電機の重点要求項目((1)効率:99 %以上,(2)水素純度:98.5 %)をクリアした。発電機効率向上対策として風損低減を図るため,適切な風量配分を行った。水素純度向上対策として従来技術による簡便かつ安価な方式を採用した。

大容量全含浸2極空気冷却タービン発電機

木村  誠,日和佐寛道,阿久津信雄

空気冷却タービン発電機は初期コストが低い,メンテナンスが容易であるなどの利点を有し,近年のガスタービンおよびコンバインドサイクルプラントの出力増大,IPP (独立系発電事業者)の台頭などの状況変化から特に大容量機の需要が伸長している。このような背景から,さまざまな新技術を投入して開発された富士電機の大容量全含浸2 極空気冷却タービン発電機について,その特徴を紹介する。

コンバインドサイクル発電所用昇圧変圧器

安部 正彰,松瀬 圭介,大野 佳雄

コンバインドサイクル発電所用昇圧変圧器に適用している最近の技術を紹介する。新しい低騒音化技術を適用して防音壁を省略し,すべての外装部品を本体にマウントして工場完成状態のまま現地に搬入する全装輸送式変圧器を実現して,トータルコストの低減に大きく寄与していること,また,コンバインドサイクル発電の出力特性と設置場所の気温変化を考慮した寿命損失を計算して変圧器容量を決定していること,さらに,発電機2 台に変圧器1 台で対応するスプリット巻線形変圧器の設計例などである。

タービン・発電機用統合制御装置

小島 広司,高村 隆太

最近の電力自由化の動きから,火力発電機器に対しては,価格低減と高信頼性確保の両立が求められている。蒸気タービン・発電機の主制御装置としてはタービンの回転速度を制御するガバナと発電機の電圧を制御するAVR があり,これらを一体化した統合制御装置(TGR )を開発・製作し,十数年にわたって供給してきた。本稿では,TGR の制御機能やシステム構成,最近の開放形コントローラ間ネットワーク(FL - net )を用いたオープン統合化分散監視制御システムとの連携システムについて紹介する。

火力発電所向け総合運転支援・設備保全管理システム

横瀬 主税,奈良  悟

火力発電所の設備監視業務においては,各現場機器の定期的な状態監視および異常発生時の迅速な検知,対処は大きなウエートを占める作業である。電力業界では規制緩和の流れのなかで発電設備の運用コスト低減の必要にせまられており,設備保全管理業務についても作業効率向上による省力化が求められている。本稿では,そのような要求に対して,富士電機の提案する「総合運転支援・設備保全管理システム」について紹介する。

発電機の余寿命診断と更新技術

日下  肇,中山 昭伸,白石  明

既設経年火力発電設備に対する安定運用・信頼性確保をいかに図っていくかが昨今の課題である。その課題を克服するうえで,設備の劣化度を十分に把握し,投資効果の高い修繕・更新を図っていくことが肝要である。
本稿では発電機の余寿命診断と更新技術を紹介する。

蒸気タービンの予防保全技術

加藤 雅喜,中村 憲司,住廣 敦夫

経年火力発電設備は,今後も主力電源設備として重要な役割を担っていかなければならない反面,過酷な運用により従来にも増してその劣化傾向が加速されており,早急に適切な耐力強化が必要な状態になっている。
本稿では,これらの経年蒸気タービンの代表的な不具合事例を紹介するとともに,最近富士電機が実施している劣化度診断や設備補修改良・新技術適用などの予防保全技術例を紹介する。

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