サステナビリティ
TNFD提言に基づく自然関連情報開示

富士電機は「環境ビジョン2050」に基づき、「自然共生社会の実現」を目指し、エネルギー環境事業を通じて環境負荷低減に取り組み、生物多様性を含む自然資本の保全に貢献しています。2022年には「昆明・モントリオール生物多様性枠組」が採択されるなど、ネイチャーポジティブの実現に向けた社会の機運が高まっています。
このような状況を踏まえ、富士電機はTNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)の枠組みに基づき、自然資本への依存と自社の事業活動が自然資本に与える影響、および事業におけるリスク・機会を評価しました。引き続き、地球温暖化防止や資源循環、化学物質管理などの環境負荷低減活動を進めるとともに、生物多様性の保全に貢献する取り組みを進めてまいります。

ガバナンス

富士電機は、地球環境保護への取り組みを経営の重要課題の一つと位置づけています。
富士電機の各事業部門、営業部門、コーポレート部門の執行役員は年2回、サステナビリティ委員会(旧SDGs推進委員会)において自然資本対応を含む「環境ビジョン2050」の推進や、「人権・人財活躍」の推進などのサステナビリティに関する重要課題について議論し、評価を行っています。本委員会で議論された重要な案件は経営会議にて決定され、取締役会に報告されます。

戦略

当社は、自然関連のリスクおよび機会の評価を、TNFDが推奨している「LEAPアプローチ」に沿って実施しています。当社の主要事業である「エネルギー事業」「インダストリー事業」「半導体事業」「食品流通事業」を対象に、今年度は自社製造における自然への依存と影響およびリスクと機会を特定して評価しました。

LEAPアプローチに沿った評価プロセス

LEAPアプローチに沿った評価プロセスの図

優先地域の評価 【Locate】

TNFDが推奨する、物理的な水リスク、保全重要度、生態系の完全性など5つの基準に沿って、外部ツールなどで得られるデータを用いて国内外44か所の製造拠点を評価しました。

(注1)

生態系の完全性:生物多様性完全度指数と呼ばれる生物種の個体数の変化を示す指標。値が高いほど人の手が入っていない地域

(注2)

KBA:Key Biodiversity Aria:生物多様性の保全の鍵になる地域で、希少種や生態系保全に向けて世界的に統一した基準で選定

自社製造拠点の評価結果

「物理的な水リスク」「保全重要度」における自社製造拠点別評価

「物理的な水リスク」「保全重要度」における自社製造拠点別評価の図

依存・影響の評価 【Evaluate】

「電気機器製造事業」における自然への依存と影響を特定し、その大きさを評価しました。
評価にはTNFD推奨ツール「ENCORE」を使用し、ヒートマップで結果を整理しました。
その結果を踏まえ、当社の事業特性を踏まえた評価を実施しました。

リスクと機会の評価 【Assess】

依存・影響の評価結果を踏まえ、依存している自然資本の劣化によって発生するリスクを「物理リスク」、自然への負の影響の低減や生物多様性の保全を重視する方向へと社会が変わっていく際に発生するリスクを「移行リスク」と分類しました。また、環境ビジョン2050で掲げた「循環型社会の実現・自然共生社会の実現」に向けた当社の注力分野で生まれる機会を特定しました。
今後は、これらの重要なリスク・機会への対応策の検討を進めるとともに、今後は、バリューチェーン全体に評価範囲を広げていきます。

リスクの影響の管理

富士電機の各部門および関係会社は、「富士電機リスク管理規定」に基づきリスクを体系的、組織的に管理しており、事業活動に伴うリスクの把握と評価を毎年実施しています。評価項目の中には、「気候変動」および「環境汚染」を含めています。評価したリスクは第2四半期終了後に中間フォローを行い、年度末に最終評価を実施しています。

指標と目標

富士電機は、依存度の大きい「水資源」や与える影響の大きい「汚染」関連について指標を設け、モニタリングしています。
加えて、重要と考える指標には目標値を設定しています。

指標

目標