サステナビリティ
TCFD提言に基づいた気候関連情報開示
2020年6月にTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)への賛同を表明して以来、富士電機はTCFD提言に沿った情報開示を継続的に行っています。2025年6月には、「環境ビジョン2050」で掲げた2030年度目標の達成に向けた施策の見直しに伴い、1.5℃シナリオにおける「適応策」および「財務影響」を再評価しました。新たにサーキュラーエコノミーの推進を施策に加え、必要となる追加の環境投資計画も算定し、反映しています。
さらに、4℃シナリオでは異常気象による浸水リスクへの対応を進めています。従来からの棚資産配置の見直しや水害発生時の事業所ごとのタイムライン策定に加え、リスクがあると評価した生産拠点では、防水板設置などの物理的な対策も計画通り完了しました。

(「気候関連財務情報開示タスクフォースによる提言(最終版)」をもとに当社要約)
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2020年6月 TCFD提言への賛同表明。あわせて開示要求事項の「ガバナンス」について開示
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2021年6月 開示要求事項「戦略」のうち、「リスク・機会」(2℃/4℃目標ベース)を開示
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2022年3月 同「リスク・機会」(1.5℃/4℃目標)と「適応策」について開示
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2023年6月 重要な「リスク」を具体的に特定し、その対応策・財務影響について開示
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2024年6月 1.5℃シナリオの「リスク・機会・適応策・財務影響」を見直して開示
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2025年6月 1.5℃/4℃シナリオの「リスク・機会・適応策・財務影響」を見直して開示
ガバナンス
[2020年6月開示]
[2025年6月更新]
富士電機は地球環境保護への取り組みを、経営の重要課題の一つと位置付けています。気候変動をはじめとするサステナビリティ課題の審議や施策の評価を行うため、各事業部門・営業部門・コーポレート部門の責任者から構成される全社横断の「サステナビリティ委員会」を設置しています。
同委員会で審議・評価された事項は、経営会議(注)及び取締役会に報告され、必要に応じて更に審議します。「環境ビジョン2050」の推進を通じ、気候変動が事業およびサプライチェーンにもたらすリスクと機会、またそれに付随する財務的影響を分析し、経営戦略への反映および透明性の高い情報開示を継続していきます。
2024年度はサステナビリティ委員会を2回(5月・12月)開催し、その審議結果は経営会議および取締役会に報告されています。
[主なサステナビリティ委員会の協議事項(環境)]
- 脱炭素目標(2030年度)の達成施策および削減計画
- 環境配慮型製品への移行
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(注)
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社長の諮問機関として経営に関する重要事項の審議・報告を行う。
戦略
[2020年6月開示]
[2025年6月更新]
「4℃シナリオ」「1.5℃シナリオ」による「リスク・機会」のうち、両シナリオの重要なリスクを具体的に特定し、その対応策・財務影響について検討しました。
IEA: 国際エネルギー機関
IPCC: 国連気候変動に関する政府間パネル
赤太字部分は、事業へ及ぼす影響が特に大きいと認識しているリスクです。
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(注)
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浸水リスク評価は、東京海上ディーアール(株)に依頼し、社内で精査しました。
公的なハザード情報により0.5m以上の浸水ハザードを確認した拠点、およびハザード情報がない拠点については地形条件などにより浸水リスクが高いと判断された場合に、「浸水リスク有」と評価しました。

TOPICS
異常気象時の風水害対策を強化
富士電機では、異常気象多発に伴う風水害への対策を強化しています。
食品流通事業本部の主力工場である三重工場では、2024年3月に止水ゲートを設置、運用を開始しました。三重工場で非常時に想定される最大浸水レベルは0.5m未満ですが、場所によっては流れ込みによる浸水リスクがあるため、3つの門の内、リスクのある一ヵ所(南門)に止水ゲートを設置しています。また、ハード面だけでなく、ソフト面での対策も平行して進めており、その一環として「水害対策行動タイムライン」を策定しました。いざという時に必要な防災行動が手順通りに取れるよう、準備を整えています。


リスク管理
[2022年3月開示]
富士電機は、「富士電機リスク管理規程」に基づき、リスクを体系的かつ組織的に管理しています。「気候変動に関するリスク」についても、経営に影響を与える可能性のあるリスクとして2021年4月から同規程に追加し、対策を講じています。この規程のもと、「気候変動に関するリスク」を適切に管理・対応することで、リスクの顕在化を未然に防ぎ、その影響を最小限に抑えることを目指しています。
リスク管理プロセスは、次のとおりです。
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1.
毎年度初に、事業活動に伴うリスクについて以下を実行する
a. 当社の経営に影響を与える可能性があるリスクの把握
b. 各リスクの重要度評価、対策優先順位付け
c. 各リスクへの対応方針、対策実施計画の策定
d. リスク管理に関する体制整備 -
2.
半期経過時点で、1項の実施内容に関する「中間評価」を行う
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3.
年度末に「年度評価」を行うとともに、次年度のリスク対策を立案する(1項と同じ)
指標と目標
[2022年3月開示]
富士電機は「環境ビジョン2050」を策定し、その中間目標である「2030年度目標」を、TCFD提言に対応した「指標と目標」と位置付けています。
2022年3月には「2030年度目標」を改定し、新たに「サプライチェーン全体の温室効果ガス排出量(Scope1+2+3)」を指標として設定しました。これにより従来の「生産時の温室効果ガス排出量(Scope1+2)」と合わせて、TCFD提言が求める「Scope1、2、3のGHG」すべてについて指標と目標を設定しています。
また、同年には、国際的なイニシアチブであるSBTi(Science Based Targets initiative)より、「1.5℃水準」の温室効果ガス排出量削減目標の認証を取得しました。
富士電機の革新的クリーンエネルギー技術・省エネ製品の普及拡大を通じ「脱炭素社会」「循環型社会」「自然共生社会」の実現を目指します
脱炭素社会の実現 : サプライチェーン全体でカーボンニュートラルを目指します
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(注)
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2013年度比削減率 54%