サステナビリティ
化学物質管理
化学物質の中には優れた機能がある一方で、使い方を誤ると人の健康や環境に悪影響を及ぼすものがあります。
富士電機は「環境ビジョン2050」において「自然共生社会の実現」をビジョンとして掲げています。その中で、化学物質を適正に管理することで、環境への悪影響をなくすことを目指しています。
化学物質の管理・削減
富士電機は、国内で、大気汚染防止法に基づいた電機・電子4団体(注1)の自主行動計画に基づき、PRTR法(注2)制度対象物質の環境への排出量と、揮発性有機化合物(VOC)の大気排出量の抑制に継続して取り組んでいます。
2012年からは海外拠点でも排出量調査を開始し、以降はグローバルでの排出抑制を進めています。
2023年度のPRTR法対象物質の大気排出量実績は368トンで、排出量目標(グローバル)1,505トン未満を達成しました。またVOCの大気排出量実績は480トンで、こちらも排出量目標(グローバル)1,694トン未満を達成しました。
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(注1)
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(一社)電子情報技術産業協会/(一社)情報通信ネットワーク産業協会/(一社)ビジネス機械・情報システム産業協会/(一社)日本電機工業会
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(注2)
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特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律
グローバルのPRTR法対象物質排出量・VOC大気排出量の推移
PRTR法対象物質マテリアルバランス(2023年度国内)
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注)
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全ての生産拠点の排水は排水処理施設にて適切な処理が行われ、排水基準を満たしています。そのため、水域への基準値を超える重金属等の流出はありません。
製品含有化学物質の管理
富士電機は、半導体、発電・電力、産業・社会インフラ、食品流通、など幅広い製品を世界各地に提供しています。
当社製品には様々な化学物質が使用されるため、お客様に安全・安心にお使いいただくためには、世界各地における化学物質に関わる法規制に対して、以下の方針に従った対応を進めています。
■富士電機の製品含有規制物質の方針
「全ての製品は、関係する環境規制の全てに適合する」
このため、製品に含有、及び、工程で使用される規制物質は(可能な範囲で規制期限を前倒しして)計画的に全廃・代替化を進め、化学物質のリスクの最小化を目指しています。
この方針に従い対応を進めている主な規制・法(注)及び地域・国の例を以下に示します。
■管理ツール:グリーン調達ガイドラインと部品データベース
富士電機の製品に含有する環境規制物質を適正に管理するため、グリーン調達ガイドラインを制定し、サプライチェーンの方々の協力のもと、製品の化学物質含有情報を入手しています。2023年12月グリーン調達ガイドラインを改訂し、新規の規制物質の情報を反映しました。
入手した情報は社内に構築した部品データベースにより管理しています。
■規制物質対応の活動組織
富士電機における製品含有化学物質の管理と情報共有を行うため、2003年から全社横断組織として各製品ユニットの設計メンバーで構成する対応WG活動を設置し、現在も活動を継続しています。(年2回の定期会議を開催)
■これまでの富士電機の取り組みの成果
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1.
RoHS1,2指令の対応として
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鉛フリーはんだの開発、製品への適用(~2006年に完了)
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鉛、カドミウム、水銀の代替:塗料、合金、電子材料を対象(~2006年までに完了)
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六価クロムフリー技術の開発、鋼板、めっき、塗料(~2006年に完了)
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特定の臭素系難燃剤の代替(~2006年に完了)
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特定のフタル酸エステル類4種の代替:ケーブル、コンデンサ、ゴム部品など(2019年および2021年の規制開始前に完了)
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蛍光X線分析装置による定期確認:国内外のコンポーネント系全工場に蛍光X線分析装置計35台(2003~2004年)を導入し、部品の受け入れ検査で活用を継続中
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2.
REACH規則への対応として
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REACHで要求される製品に含有される化学物質の情報提供を担保するため、グリーン調達ガイドラインの制定・改定と部品データベースの構築を行い、上流企業(部品部材の調達先)からの情報入手と下流企業等(弊社製品の納入先)への情報提供を継続している。
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3.
フロン法(モントリオール議定書)対応として
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自販機において、地球温暖化係数が1以下の代替フロン冷媒R1234yfの実用化と製品適用(業界に先駆けて2011年に完了)
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4.
TSCA PIP(3:1)PBT規制への対応として
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現在、当社製品での使用状況の把握を終了し、お客様への情報提供を行うとともに、規制日(2024年10月31日)に向けて代替完了した。
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5.
EU-PFAS規制(案)への対応として
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2023年2月に公開されたEU-PFAS規制(案)では、パブリックコメント(2023年9月締め切り)が求められたため、当社は全ての対象となる製品及び部材についてコメントの提出を行いました。
当社独自部材については材料メーカーと共同で行い、共通的な部品・部材については業界団体の活動を通じて行いました。
今後、本規制はREACH規則に追加されるため、動向を注視して行きます。
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6.
デクロランプラス(化審法)対応として
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デクロランプラスは、ストックホルム条約の中で2024年2月26日に正式に「付属書A,廃絶」に追加され、各国は1年以内に国内法への適用が求められることとなった。
日本でも化審法への追加が2024年秋から2025年初頭を見込むため、当社でのデクロランプラスの使用部品・部材の代替を進めている。
現時点の代替計画では2024年7月から順次開始し、2024年末までの代替完了を見込む。
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■海外工場の管理
海外工場では、国内マザー工場の設計仕様を基にした部品・部材の調達および製造管理を行っているので、製品含有規制物質の適正な管理が維持されています。
(補足)
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化審法:日本国法 「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律」
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J-MOSS:日本 工業規格 「JISC0950電気・電子機器の特定の化学物質の含有表示方法」
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フロン法:日本国法 「フロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律」
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モントリオール議定書:国際条約 「オゾン層破壊物質を指定し、製造・消費・貿易を規制する議定書」
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RoHS指令:EU指令 「電気・電子機器における特定有害物質の使用制限に関する 2011年6月8日付け欧州議会・理事会司令 2011/65/EU」およびその追補指令「(EU)2015/863」
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REACH規則:EU規則 「化学物質の登録、評価、認可、及び制限に関する規則(欧州議会・理事会規則 1907/2006)」
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TSCA:米国法 「有害物質規制法(Toxic Substances Control Act)」
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プロポジション65:米国カリフォルニア州法 「安全飲料水及び有害物質施行法」
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中国RoHS:中国法 「電器電子製品有害物質使用制限管理弁法」