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富士電機製品コラム

上流から下流まで! 熱エネルギーの流れを利用できる主な蒸気設備を解説

蒸気は、食品・飲料、化学・石油、紙・パルプ、鉄鋼など、幅広い産業分野で欠かせないエネルギーとなっており、加熱・加湿、殺菌、空調、機械の動力など、幅広い目的で利用されています。事業所や工場内で蒸気を使う際には、様々な設備が活躍しています。ここでは熱エネルギー面から、蒸気設備の「基本の基本」と、これらの設備を効率よく利用するための省エネ対策について解説します。

では、蒸気を利用する際に必要な設備について、上流から下流に向けて見ていきましょう。

まず、ボイラで作られた蒸気が「ヘッダ」を通って、搬送配管から各建屋に分配されます。配管の途中では蒸気が冷えて、液体(温水)に戻った「ドレン水」が滞留する場合があります。そこで、配管内のドレン水を捨てるために「スチームトラップ」が一定間隔で置かれます。

建屋内の設備の近くまで運ばれて来た蒸気は、その間に圧力が変動するため、該当の加熱装置に入る前に「減圧弁」によって所定の圧力に減圧され、必要な温度になるよう安定させます。また故障などにより、配管や設備内の圧力が異常に高くなる場合に備えて、いつでも蒸気を逃がせるように「安全弁」も取り付けられます。

前出のスチームトラップは、上図のように「殺菌機など蒸気使用箇所」の近辺にも設置されることがあります。熱エネルギーの授受を担う熱交換器内には蒸気が充満していますが、それと同時に下側にドレン水が滞留するため、それを排出するスチームトラップを出口側に取り付け、排水溝に流すようにしています。

なぜ、いま蒸気設備において、省エネ対策が強く求められるのか?

このように多くの事業所や工場で使用される蒸気設備ですが、エネルギーの有効利用という点から、特に省エネ対策が強く求められるようになってきました。というのも、高い生産性で、高品質なモノづくりを進めるには、蒸気の熱を無駄なく使いたいという思いがあるからです。

また、最近では社会的にも省エネの要請が高まっています。例えば、2018年に「省エネ法」が改正されました。そのため、実際に多くの企業が積極的に省エネ対策を推進しています。まずはじめに手の付けやすい電気に関する省エネ対策が行われていますが、今後は、電気よりもエネルギー消費量の多い熱の省エネ対策が重視されるようになるでしょう。

折しも、持続可能な開発目標「SDGs」において、日本では温室効果ガス排出量を2030年までに26%も削減(2013年度比)する中期目標を掲げています。(https://www.env.go.jp/council/01chuo/y010-24b/mat03_3_1.pdf)そういう点でも、熱エネルギーの省エネ化がたいへん重要になっているのです。

蒸気設備で工夫できる省エネ対策~適切な蒸気供給、保温、熱再利用、蒸気漏れ防止

では、具体的に蒸気設備の省エネ対策を進めるために、どのような点に注意すればよいのでしょうか? 

実際に「蒸気設備のどこで、ロスが起きているのか」という点に注意する必要があります。例えば、一般的な蒸気ラインにおいて、ボイラでの燃焼ロスが約9%、配管での放熱や蒸気漏れのロスが約25%、ドレン水によるロスが約10%ほどあると言われています。(出典:富士電機技報2020 vol.93 no.1 P12)有効に使われない熱が実に合計44%もあり、これらを改善できれば、かなり省エネが進むはずです。

蒸気の有効利用率

最もロスが多い蒸気ラインでは、配管経路の最適化を図り、無駄な放熱を防止しましょう。配管が長く引き回されている場合は、改修時などに熱源(ボイラ)を近づけるなどの対策を施します。また、減圧弁によって、こまめに蒸気圧力を安定化させる制御も大切です。

さらに、配管のつなぎ目や古いスチームトラップから、蒸気が漏れている場合があります。このような漏れは、目につきにくく、検知が難しいケースがほとんどです。そのため蒸気の流量を見える化し、漏れ箇所を特定することが省エネ対策のキモになります。

このほか、配管以外での放熱ロスを防ぐために、簡単に取り付けられる保温ジャケットを導入して対策を施します。ジャケットの種類は、利用する場所によって「グローバル・バルブ用」「Yストレーナ用」「減圧弁用」「フランジ用」などが用意されています。

次にロスが多いのが、ドレン水です。熱効率の観点からドレン水を完全に排出するだけではなく、高圧温水の熱として再利用することも大切です。セパレータによってドレン水とフラッシュ蒸気に分けてから、使い切れなかった熱を再利用します。その際に、ヒートポンプの熱源として使うことも1つの手段となるでしょう。

また、ボイラ側のロス対策も重要です。足りない分だけボイラ側から蒸気を作り出すため、燃焼効率を向上させたり、蒸気を適切に供給できるようにする必要があります。そのためには、使用効率を把握しながら、ボイラの稼働台数を制御して、過剰な供給を抑制します。

まずは、原因究明のために、蒸気流量を正しく把握することから始めよう!

ここまで蒸気設備でできる省エネ対策について説明しました。いろいろな対策がありますが、最も重要な点は、蒸気流量の状態を把握する「見える化」でしょう。というのも、どこで蒸気の熱エネルギーが無駄になっているのか? ロスの原因を究明しなければ、適切な対策も打てないからです。

そこで現場では、蒸気流量を測定するための流量計がとても大切になります。ただし、蒸気流量計には、いろいろな計測方式があり、どれを選べばよいのか悩むかもしれません。

例えば、ポピュラーな蒸気流量計として「差圧式」や「渦式」などがありますが、最近では第三の選択肢となる「超音波式」も注目されています。その理由は、従来方式では低流量を測定できず、蒸気の微妙な漏れの検知が難しいためです。その点、超音波式ならば全レンジで不感帯がなく計測できます。

また運用面でも、超音波式にはメリットがあります。従来方式は、流量計を管内に設置する必要があり、工事も難しかったのです。もし装置が壊れても、すぐに取り換えることができず、改修時まで待つ必要がありました。超音波方式の流量計のなかには、外部配管にクランプオン式で手軽に取り付けられる製品があるため、工事の心配もいらず、測定箇所の変更もラクになります。

さらに、クランプオン式超音波流量計について詳細を知りたい場合は、こちらの記事をご覧いただけると理解が深まるでしょう。

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