富士電機製品コラム
環境試験室

環境試験室

設備メーカーとしての在り方

工業製品の性能は、色々な指標であらわされますが、中でも信頼性は無視できないカテゴリ。製品を、あらゆる環境で確実に動作させるか否かをテストする製品試験において、環境試験室/設備は大きな役割を果たします。
富士電機は環境試験室/設備を製造するメーカー。単に製品として提供するだけでなく、日本のモノづくりに携わる観点より、ユーザーさまのご要望に技術と信頼でお応えいたします。
このコンテンツでは、弊社の環境試験室/設備の特徴や製品の導入事例をご紹介するとともに、メーカーとしての考え方や在り方もお伝えしたいと思います。

富士電機の環境試験室/設備の特徴

重電メーカーならではのトータルエンジニアリングで対応
弊社の環境試験室/設備は、個別対応になりがちな「空調設備・制御ソフト・インフラ設備」をワンストップで対応できることが最大の特徴です。トータルエンジニアリングを得意とする重電メーカーならではの対応力で、お客さまの負担を大幅に軽減いたします。

環境試験室/設備の設計における特徴

個々の運用方法に合わせた設計で無駄のない環境試験室/設備に
ユーザーさま毎に研究や開発において、必要となる環境条件は様々です。富士電機では、お客さまの業態や業務フローを丁寧に把握。個々に異なる、環境試験室/設備の運用方法に合った最適な設計を行っています。

試験環境の再現性

精密な制御空調技術で負荷追従
自動車の走行モード試験では、負荷が掛かれば掛かるほど供試体である自動車やタイヤが熱を持ちます。このような特性上、低温環境での試験になるほど、正確なデータ収集が難しくなります。
富士電機は低温環境における供試体の負荷に、精密な制御空調技術で負荷追従。マイナス40℃の低温を±1℃の精度で、常に設定温度をキープします。この精密な制御空調技術を取り入れた環境試験室/設備で、正確なデータ計測を可能にします。

省エネ技術の活用

電気・熱エネルギーの無駄を削減
サスティナブルな対応が求められる昨今、製品の製造だけでなく開発/研究においても、電気・熱エネルギーの無駄を削減することが求められています。

富士電機は長年培った省エネに関するノウハウを、環境試験室/設備へも応用。

例えば…
外調機の導入による、外気処理で空調負荷を軽減。
設備負荷の事前調査と最適設計によるダウンサイジング。
設備のインバータ機への更新、設備の制御方法の変更による省エネ。
冬期のフリークーリング活用による省エネ など。
既存設備の、運用状況を踏まえた省エネ提案が可能です。

稼働状況管理

各システムの情報を集中・遠隔監視が可能
環境試験室/設備において、温度・湿度・風速などの各種環境条件を整えることは必要不可欠です。
富士電機は、エネルギー監視システム構築をはじめ、センサ技術や機器制御のノウハウを活かし、建屋インフラ設備から各試験室・各試験機や装置に至るまでトータルに対応。上位システムや各種インフラ設備と試験機のインターフェイスも構築いたします。

具体的には…

  • 設備毎/部屋毎/建屋毎等の電力監視

  • システムの稼働状況/警報表示/動作履歴/状態表示

  • トレンド監視や過去のトレンド表示 など。

その他、複数の試験設備の遠隔監視システムの構築にも対応。環境試験室/設備にかかわる各種制御機器も扱っています。

環境試験室/設備メーカーにもとめられるもの

環境試験室/設備メーカーにもとめられるもの

お客さまが環境試験室/設備に、要求条件の忠実な再現性を求めるのは当然のこと。しかし導入まで見据えた対応となると、それだけでは不十分です。
富士電機では求められる高品質な設備に対し、最適なシステムや設備を設計/提案。構成機器や制御ソフトでも、現地工事も含めトータルのエンジニアリングが可能です。
制御面においても、遠隔から装置を一括制御できる仕組みを構築します。

ユーザーニーズを汲みつつ設備運営まで見据えた対応を行う

ユーザーとなる各社研究員さまからの要求を踏まえつつ、特殊環境の安定性や導入/ランニングコストの削減にも注力。遠隔での操作やアウトプットの仕様も意識し、導入後のワークフローを考慮した提案を行います。

ユーザーさまからの要求意図を先読みした提案

製品開発の現場は、市場動向や法規制の変化にあわせた対応を常に求められます。
例えば、環境対応を迫られている自動車メーカーさまの場合。SDGs:Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)の観点からも、低炭素化(CO2排出削減)を求められています。
そこで弊社では、ユーザーさまから寄せられる要求意図や背景を汲んだ提案を行い、環境試験設備に反映。ユーザーさまが目指す、環境性能達成のお手伝いをいたします。

メンテナンス性にも配慮

運用という観点でみると、設備のメンテナンス性の高さとアフターサービスの充実度がポイントになります。
富士電機は重電メーカーならではのスケールメリットを活かし、長年蓄積された技術とノウハウで、これら環境試験室/設備に求められる課題にお応えします。

富士電機の環境試験室/設備の導入事例

ここからは、富士電機が実際に納入した環境試験室/設備と、ユーザーさまの設備導入の背景をご紹介したいと思います。

実車環境試験設備

実車環境試験設備

環境試験設備の概要

自動車など高速移動体の環境試験を目的に、実走行状態をシミュレートするための大型風洞装置を備えた環境試験装置です。

求められる内容

高温・耐熱・低温・降雨・降雪装置 他

提案内容

設備に求められる環境条件は、温度において-40℃から+60℃、湿度において20から90%RHというご要望をいただきました。
弊社としてはこの要件をクリアするのはもちろん、高い精度と負荷追従を実現するため、富士電機が得意とする『制御空調技術』を導入。
イニシャルコストを抑えた設備の提案を行い、省エネシステム導入によるランニングコスト削減にも貢献。各システムの情報を集中・遠隔監視可能できるように提案しました。

EV部品用温調試験装置

EV部品用温調試験装置

環境試験装置の概要

高いエネルギー効率とCO2の排出量に優れるEV(電気自動車)やHEV(Hybrid Electric Vehicle)は今後、自動車の主流となりつつあります。本設備は、EV・HEVで使用するモータ・インバータなどの機器向けの試験環境を整えることができます。

求められる内容

低温から高温下における、EVおよびHEVの走行モード試験の負荷追従。

提案内容

自動車メーカーさまから求められたのは、-40℃の低温環境下の試験です。弊社では、このような低温環境下の走行モード試験においても、例えば±1℃の制御精度を維持する負荷追従制御を行います。

エンジンベンチ室

エンジンベンチ室

環境試験設備の装置内容

自動車の心臓部である、エンジンの性能・耐久を調べるとともに、排ガス値など様々な試験を行う環境試験設備です。

求められる内容

温度・湿度等の制御と安全対策。

提案内容

ユーザーさまからは、環境試験設備における正確な温湿度制御とそれによる試験の安定性向上が求められていました。内燃機関であるエンジンは、試験において高温となる他、有毒な排気ガスを出します。これを受け、試験時の安全性を考慮、CO2冷却設備・排ガス濃度監視システム・排気ガス排気システム・室圧制御といった対策を実施。エンジン試験における、安全対策も提案しました。

シャーシベンチ室

シャーシベンチ室

自動車の実車に対し、風を車全体に当てる必要が無い試験を行う場合は、シャーシベンチ室を用います。この装置は、風洞装置よりも規模が少し小さくて済みます。

シャーシベンチ室の用途

  • 低温環境下でも確実に車が始動するか否かを試験する「低温始動試験」

  • エアコンが動いている際の騒音状態を調べる「エアコン作動音試験」

などがあげられます。

まとめ

モノづくりの根幹を支える環境試験室/設備は、より高度な開発・研究に適合した高機能化が求められています。しかし、ただ高機能化のニーズや求められる仕様に応えるだけでは、環境試験設備メーカーの対応としては不十分。

富士電機ではそのように考え、試験時間の短縮や、省エネルギーも追求しています。同時に、高いメンテナンス性とアフターサービス体制の充実も図り、ユーザーさまをトータルにサポートいたします。

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