電子行政ソリューション コラム
自治体の公文書管理を成功に導く 文書管理システム選定のポイントとは?!

2011年の「公文書管理法」では、作成にはじまり保管・利用を経て最終的な廃棄に至るまで、適正な公文書管理のルールが定められた。これを厳格に順守するうえでは、“文書の電子化”が有効だが、国(政府)も地方自治体も、まだまだ紙の管理が主流なケースが多い。文書の電子化を進める上で、電子決裁を含む文書管理システムの導入という手段があるが、製品(サービス)選定に際してはいくつか留意すべきポイントがある。

地方自治体においても公文書管理条例など制定が進む

国・地域のあり方、個人の権利・義務を規定し、施策検証を可能にする貴重な資料である公文書(行政文書)の適切な管理は、国や地方自治体にとって重要な役割だ。2011年に施行された「公文書等の管理に関する法律(以下、公文書管理法)」では、歴史的に重要な公文書の永久保存が明記され、管理に関する統一ルールを定めているが、同法は国(政府)を対象としたもので、地方自治体については努力義務にとどまる。
国レベルでの公文書管理法施行の流れを受け、自治体においても新たに公文書管理に関する条例を定めたり、公文書館を開設したりするケースが徐々に増えている。総務省が平成30年度3月に公表した「公文書管理条例等の制定状況 調査結果」によれば、47都道府県および指定都市(20団体)のすべてが条例など制定済みで、市区町村(1,741団体)における制定率も93.3%に達する。

地方公共団体における公文書管理条例などの制定状況のグラフ

文書の電子化&電子決裁推進で実現する適切な公文書管理

「行政が適正かつ効率的に運営ができるようすること」を目的の1つとする公文書管理法だが、日々膨大な文書を取り扱う行政職員の間では、公文書管理業務の負担増を懸念する声も多い。 だが、紙文書を電子化し電子決裁を導入すれば、作成から廃棄までの公文書のライフサイクルがシステム上で全て管理でき、文書作成に始まり、決裁業務、保存、引継・廃棄まで、関連業務の大幅な効率化につながる。このほか、ライフサイクル全体をシステム管理することにより、下記様々なメリットの実現が可能になる。

  • 紙文書の保管スペースを削減

  • 保管文書の紛失を防止

  • 利用履歴の厳格管理で、不正な修正・廃棄を抑止

公文書管理業務の効率化は結果的に、公文書管理法のもう1つの目的である「国及び独立行政法人等の有するその諸活動を現在及び将来の国民に説明する責務が全うされるようにすること」の実現にも寄与する。

公文書における電子決裁のメリット

このため政府は、デジタル・ガバメント実行計画(平成30年1月16日のeガバメント閣僚会議にて決定)において、電子決裁移行加速化の方針を明確に打ち出し電子化を推進している。地方自治体においても、一部先進的な自治体では電子化率が90%を超え、ほぼペーパーレスを実現しているケースもある。しかし圧倒的多数の自治体はまだ紙のままが多く、電子化推進を模索している。

電子決裁が普及しない理由(ケース)

電子決裁を導入すれば様々な課題が解決できるのに、紙での決裁が続けられているのはなぜか?主な理由として、電子化することでかえって業務が複雑・非効率化となる下記4つのケースが想定される。
1つ目は、住民などからの収受文書が紙媒体となっているケース。この場合、紙媒体をスキャンして電子化したり、手作業でデータ入力するなど工数がかかるため、紙のまま決裁に回した方が迅速に処理でき、入力ミスによるトラブルも発生しないで済む。
2つ目は、膨大な文書(資料)や、CAD設計図など特殊なファイルが添付されているケース。前者の場合、1つずつ文書を開いて中身を確認するため、資料を電子化するのに大変な手間がかかる。一方、後者の場合は、PDFなどで電子化したとしても、普通のPCのディスプレイサイズでは確認しにくいことも。
3つ目は、柔軟な回議対応が難しいケース。回議中の承認者による申し送り事項や修正の伝達・差戻し/引戻しなど、回付の運用が紙媒体に比べ手間がかかるという問題がある。
最後は会計関連業務だ。すでに民間ではPDFなどで電子化された請求書での決裁が認められているが、国や自治体の場合は、会計検査院が紙の請求書を証拠書類として求めており、エンドツーエンドの電子化が難しい。
これらのうち一部特殊なケースについては、あきらめるしかないとして、現状の技術レベルで解決可能な問題の多くは、電子決裁時における決裁文書の視認性と回議の運用に耐え得る機能性/操作性に集約される。

ユーザビリティの高い文書管理システムで電子化推進を

前段で挙げた問題を解決し、文書管理システム導入で電子化推進を図るためには、電子決裁機能に下記のような要件が求められる。

  1. 1.

    添付資料(ファイル)を簡単な操作性で開くことができ、ディスプレイ上で閲覧しやすいこと

  2. 2.

    回議中の申し送り事項や修正を容易に行え、正しく回議者や起案者に内容を伝達できること

  3. 3.

    決裁文書の柔軟な回付の運用ができること

文書管理システム(電子決裁システム)のなかには、これらの要件をすべて満たすものもある。地方自治体が文書の電子化を検討するにあたっては、上記3つの要件に注目してユーザビリティにすぐれる文書管理システム(電子決裁システム)を選定いただきたい。

文書管理システム事例のご紹介

神奈川県庁様

神奈川県庁様事例

機能改善と現場の働きかけで電子決裁率80%超を達成
引き続き完全電子化による紙文書からの脱却を目指す

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