電子行政ソリューション コラム
行政文書電子化(電子決裁導入)で失敗しないために、 絶対に外せない2つのポイントとは?

国が推し進める電子政府と歩みを揃え、自治体においても電子行政に向けての取り組みが進んでいる。2010年前後から、自治体においても文書の電子化をともなう電子決裁や電子的文書管理が導入されてきたが、まだまだ紙の文書が主役というのが実情だ。一方で、かつて導入した電子決裁システムが現場で使われず眠っている…という実に“もったいない”話もよく耳にする。ここでは、こうした事態に陥らないためのポイントについて解説する。

文書管理システムの導入が進んだが、紙ベースの管理が主流

2001年公布の「e- Japan戦略」では、「超高速ネットワーク」「電子商取引」「電子政府」の3つが重点政策分野として掲げられ、2009年、国(政府)レベルで「公文書等の管理に関する法律(以下、公文書管理法)」が公布された。一方、地方自治体においても、各種行政サービスの電子化や、行政文書(公文書)の管理ルールを規定する条例の制定などの動きが見られる。2010年前後から、自治体において文書の電子化とあわせ電子決裁を含む文書管理システムの導入が進んだが、いまだ圧倒的に多くの自治体において紙の文書管理が主流となっている。実際、「平成28年度における公文書等の管理等の状況について(内閣府)」によると、府省における公文書のうち電子文書の割合はわずか6.1%で、93.6%を紙が占めている。

行政文書に占める紙文書の割合のグラフ

なぜ、導入した電子決裁が使われないのか?

せっかく電子決裁を含む文書管理システムを導入したにもかかわらず、電子決裁の利用が低迷し、紙での管理が主流となっているケースも少なからずあるようだが、こうした自治体には、いくつかのパターンがある。

◆電子化率100%(紙0%)を目指して頓挫

1つは、電子化率100%(紙0%)を目指してシステムを導入したものの、様々なハードルが立ちはだかり、あきらめてしまうパターンだ。電子化率100%(紙0%)を目指すとなれば、インターネットで申請・届出できるシステムの開発や紙の申請書のデータ化、紙文書のスキャニングなどの工数が発生する。余計に時間やコストがかかるだけでなく、入力ミスなどのリスクも懸念される。また、決裁のために添付される文書についても、一般的なWordやExcel以外に、設計図面や枚数の多い紙資料など、紙で回付したほうが視認性の良いものも多い。このような文書に限り、紙で回付するという対応も可能だが、その際、電子決裁中の文書との紐づけ処理が難しく、完全電子決裁と紙文書添付の電子決裁が混在して複雑になるため、従来どおりの紙決裁での運用に戻ってしまうケースも。

◆ユーザビリティが低くて利用が低迷

もう1つが、導入したシステムのユーザビリティが低く、電子化することによって、かえって業務効率が低下してしまうパターン。特に、文書管理システムを導入した自治体の多くで課題とされるのが、電子決裁に添付される文書が大量にある場合の、参照・チェック作業の煩雑さだ。ソフトウェアを起動する時間や、いちいち文書を開かなければならない手間などの負荷を考えると、紙をパラパラめくって参照・チェックしたほうが、よっぽど効率が高く、ストレスも少ない!という評価になりかねない。

電子化の先にある現場の“働き方改革”を目指すべき

一筋縄ではいかない自治体の文書管理システム導入だが、行政文書の電子化は「透明・公正な管理」「ペーパーレスによる保管スペース削減」など、数多くのメリットをもたらす。文書管理業務の効率化によって、最終的に“現場の働き方改革”や“行政サービスの品質向上”への道が開けることを考えるならば、自治体における取り組みは必須と言える。
電子化に向けた取り組みでは、現場との目的共有も重要だ。電子化率そのものを目標に掲げるアプローチでは、誰のために、何のために取り組むのかがわからず、現場のモチベーションが上がらない可能性がある。そうではなく、文書管理業務にかかる時間を短縮して「その分、時間外労働を減らして早く帰ろう!」「住民が喜ぶ新しいサービスをはじめよう!」といった、現場も共感できる目標を設定・共有してアプローチするべきだ。

行政文書電子化&電子決裁導入のメリット

行政文書の電子化(電子決裁導入)で失敗しないためのポイント(まとめ)

行政文書の電子化(電子決裁導入)に際しては、目標設定のほか、下記2つのポイントに留意して取り組むべきだ。

1.電子化しやすいところからスモールスタート

最初からエンドツーエンドで100%電子化の目標を掲げてプロジェクトを開始するのは、途中で壁にあたって頓挫する可能性が高い。部署や対象業務を絞り、やりやすいところから電子化(電子決裁導入)を進め、少しずつ部署や対象業務を拡大していく“スモールスタート”をおすすめする。

2.ユーザビリティに優れる文書管理システムを選定

新規導入、またはリプレイス導入を問わず、文書管理システム導入に際しては、ユーザビリティに注目して製品(サービス)選定いただきたい。大量の添付文書を1つのPDFブックにまとめることで、1つひとつ文書を開くことなく、スクロールしてすべて参照できるものもあるので、こうした細かな機能面もチェックが必要だ。

文書管理システム事例のご紹介

神奈川県庁様

神奈川県庁様事例

機能改善と現場の働きかけで電子決裁率80%超を達成
引き続き完全電子化による紙文書からの脱却を目指す

RECOMMENDED COLUMN
おすすめコラム

RELATED SERVICES
関連サービス