一般的にAPRは、温度調節計と組合せてどのようにヒータの温度制御をしているのですか?
APRと温度調節計による温度制御の組合せは、図1に示す回路で構成されます。
図1

この回路において、APRは温度調節計からの出力信号を受け、その信号に比例した出力電圧を負荷に供給します。
温度調節計からの出力信号は、APRと組合せて用いる場合、次のように大きく分けて2つあります。
このうち連続信号は4~20mAが一般的ですが、1~5Vの電圧信号もあります。
温度調節計の出力信号 | ON-OFF信号 | 有接点信号 (リレー接点) |
---|---|---|
連続信号 | 4~20mA | |
1~5V |
1. ON-OFF信号とAPRを組合せた温度制御例(H-L制御)
図2において、電気炉が冷えているときには温度調節計の出力はON状態となっており、APRの“H”設定の出力電圧がヒータに供給されます。
電気炉の温度が上昇し、42℃に近づくと温度調節計の出力はONとOFFを繰り返すようになります。温度調節計の出力がOFFのときはAPRの“L”設定の出力電圧がヒータに供給されることになります。
図2 H-L制御の温度制御

図3 APRによるH-L制御の温度特性

APRの“H”と“L”の設定値は出力電圧調整範囲の任意の値に設定できます。 これは可変抵抗器(ボリューム)を2個使用し、それぞれ“H”と“L”を決め、例えば図4に示すように“H”のときは95%出力、“L”のとき40%出力としておきます。
図4 H-L設定

図2に示すように設定された温度の比例帯域において、42℃よりも低い領域(①)ではON時間が長く、OFF時間は短くなります。温度が上昇し設定値42℃付近(②)になると、ほぼ50%ON、50%OFFとなります。さらに温度が上昇し、比例帯域を越えた領域(③)では、ON時間が短く、OFF時間が長くなります。そしてさらに温度が上昇し、比例帯域を越えたところではOFFとなります。以上のような制御が行われ、温度が42℃を目標として一定に保たれます。
この中でAPRは温度調節計からのON-OFF信号を“H”-“L”信号に変え、APRの出力電圧を任意の値に設定します。
これにより電磁接触器やSSCのON-OFF制御に比べ、より高い精度の温度制御が行えます。
2. 4~20mA信号とAPRを組合せた温度制御例
図5において、電気炉が冷えているときには、温度調節計の出力は20mAとなっておりAPRの最大出力電圧(勾配設定があるときはその比率分)がヒータに供給されます。 電気炉が温度上昇し、設定された比例帯域に近づくと温度調節計の出力は20mAから除々に減少し、100℃付近では12mAとなります。 さらに温度が上昇するに従い温度調節計の出力は減少し、比例帯域の上限では4mAとなります。この比例帯域を越えた範囲では4mAのままです。

図5 4~20mA信号の温度制御
APRは、温度調節計からの4~20mAの信号に比例した出力をヒータに供給します。この電流信号は連続した値ですから、 APRもこの値に比例した(機種によりその特性は異なります)出力がヒータに供給されます。
この電流信号による電気炉の制御では、
1)のON-OFF信号に比較し、 さらに精度の高い制御が可能となります。

図6 APRによる連続制御の温度特性