サイリスタ制御装置は電源波形を乱すというがなぜか?
サイリスタは優れたスイッチング特性により急峻な電流の立上りを生じさせます。
この電流の立上りと電源のインダクタンス分により,電源電圧波形に落込みや立上りのスパイク電圧が重畳します。
\( e = -L・\frac{di}{dt} \)
また,サイリスタのON時とOFF時で電源電圧に変動を生じます。単相APRの位相制御方式を例にとると,図Aに示すように電源電圧波形eiはスパイク電圧と電源電圧変動により正弦波esに歪を生じた波形となります。
位相制御方式に対して,サイクル制御方式はゼロクロス〈位相角α= 0〉によりサイリスタがONするため,図Aに示す出力電圧eOは正弦波形となり,esより電源電圧変動だけ低下した電圧となります。
このサイクル制御方式だと位相制御方式のような電源電圧の歪みは生じませんが,図Bに示すようにON期間とOFF期間の一定周期〈スキャニングインターバル〉 の中で電源電圧変動が繰り返し生じる現象となります。これをフリッカ現象といいます。

図A

図B