ノイズの被害を防止するには、どのようにすれば良いのですか?
ノイズの被害を防ぐには、ノイズに強い機器を選定することが必要ですが、それだけでは不充分で、ノイズを機器に侵入させない、およびノイズを流出させない対策が必要です。その基本的な方法について第4図により説明します。
第4図 ノイズ対策の基本

基本-1 ノイズ発生源からのノイズ流出を抑える
- ノイズ発生源の両側にノイズ防止機器を設置する。(パワーフィルタなど)(1)
- ノイズ発生源をシールド(電磁遮へい)する。(2)
基本-2 ノイズ侵入路の対策とノイズ転化の防止を図る
- 外部配線はできるだけ少なくする。(3)
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配線は太く、短くする。(4-1)
配線自身がR、L、Cを持つ。(4-2) -
異種配線相互間の距離を大きくする。
入力線と出力線(第5図)(5)
電源線と信号線(5-1)
異種信号線同士(5-2)
接地線と他の線(5-3)
- 配線はツイストペア線を使用する。(6)
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配線をシールドする。(7)
金属製配管(第6図)(7-1)
シールドケーブル(7-2)
同軸ケーブル(7-3)
光ファイバー・ケーブル(7-4)
- 共通インピーダンスを形成しない。(第7図)(8)


基本-3 機器の耐ノイズ性を向上させる
- 保護対象機器の入口にノイズ防止機器を設置する。(トラフィー、L負荷用サージキラーなど)(9)
- 保護対象機器をシールドする。(10)
基本-4 良い接地、良いグランドを設ける
- 〔解説〕
- 良いグランドとは、高周波においてもインピーダンスが低く、どの点を取っても同電位を示す導体のことである。
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グランドには次の二つがあり、大地に接続(接地)するとは限らない。
SG (Signal Ground, System Common Ground) : 回路の基準電位(零電位)を保持すべき導体
FG (Frame Ground) : 筺体、外箱などの金属製構造物で、ノイズに対してSGを保護するためのシールドを兼ねた導体
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接地線を太く、短くする。(11)
-インピーダンス、接地抵抗を小さくする。上記のSGとFGも最短で、一点で接続(接地)する。 - 〔解説〕
- 接地線を接地した所から離れた所まで配線したり、細い電線を使用した場合には、接地線が、長いアンテナとなる。また、電位が零であるはずの接地線に電位が発生する。
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「電気設備技術基準」の解釈 第19条〔接地工事の種類〕には、低圧機器の外箱に次の接地工事を施すことを規定している。
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多点接地を避け、一点接地とする。(12)
ただし、一点接地しても各接地線の長さが異なる場合は銅バーによる共通接地を施すこと。 - 〔解説〕
- 多点接地をした場合、接地線のインピーダンスによって各接地点の電位が違ってしまうことがあり、その間に電流が流れ、ノイズが発生する。
- 形だけ一点接地した場合も同様で、接地線のインピーダンスが違ってしまえば電位が発生し、多点接地と同等になる。
- このような場合は銅バーで共通接地を設置し、これに各機器を接続した上で、銅バーを一点で接地するのがよい。
