トラフィーと絶縁トランス、シールドトランスは、どのように違うのですか?
一般的に絶縁トランスは、一次側巻線と二次側巻線が電気的に絶縁され、商用周波数の電源用に作られております。そのため、低周波のコモンモードノイズは防止できますが、高周波のノーマルモードノイズが入ってきた場合には、電磁誘導や静電誘導により一次側から二次側に移行してしまいます。
この対策として、一次側巻線と二次側巻線の間にシールド(遮へい)板を入れノイズの移行を少なくしたのがシールドトランスです。
トラフィーは、さらに一次側巻線、二次側巻線そして全体をシールド(三重のシールド構造)して、広い周波数帯にわたってノイズの減衰性能をもたせたノイズ対策専用の絶縁トランスです。比較表に纏めると次の通りとなります。
トランスの種類 | 絶縁トランス | シールドトランス | トラフィー(TRAFY) |
---|---|---|---|
コモンモードノイズ | △(低周波のみ) | ○(低周波と高周波の近帯域) | ◎ |
ノーマルモードノイズ | × | × | ◎ |
構造 | 一次、二次コイル間を絶縁し、一次側のノイズが直接二次側へ伝導するのを防止する構造。 | 絶縁トランスの構造に加えコイル間に静電遮へい板を設け、一次側の高周波ノイズが二次側へ伝導するのを防止する構造。 |
三重シールド構造。一次、二次各巻線のシールドおよび一次、二次間のシールド 巻線交互配置。一次、二次間の漏れリアクタンスを大きくする。 |
ノイズ防止効果 | 低周波のコモンモードノイズを防止する。 | 低周波と高周波の低帯域のコモンモードノイズを防止する。(一次側のコモンモードノイズは、一次コイルと遮へい板間の分布静電容量を通じて大地に流れる。 |
ノーマルモードノイズおよびコモンモードノイズ共に防止する。 ・ノーマルモードノイズ 主として巻線交互配置構造による。 ・コモンモードノイズ 主として三重シールド構造による。 |
問題点 |
高周波ノイズは、一次、二次間のわずかな浮遊静電容量で低インピーダンスとなって、二次側へ伝導してしまう。 ノーマルモードノイズは、ほとんどそのまま二次側に伝導する。 |
一次コイルからみた誘導係数や遮へい板、鉄心に対する分布静電容量などが不平衡であるためコモンモードノイズの不平衡分が、二次側でノーマルモードノイズとなる。 ノーマルモードノイズは、ほとんどそのまま二次側へ伝導する。 |
(注) ◎:非常に効果あり ○:効果あり △:少し効果あり ×:効果なし