化学工業に関する動向調査
[化学工業、紙・パルプ、石油製品] 工場・プラントにおけるDXに関する意識調査

DX推進の課題は人材不足が最多、次いで知識・ノウハウ不足、組織・体制不足

デジタル技術の発展により、化学工業など製造業を取り巻く環境が大きく変化しています。市場ニーズの多様化、製品のライフサイクルの短期化への対応、国際競争力の強化などさまざまな課題への対応が求められています。

これら課題の解決するために各業界ではDX(デジタルトランスフォーメーション)への取り組みが進められています。DXを進めることで、例えば、製造プロセスの最適化、生産ラインの効率化や品質向上、省エネやCO2削減や、事故防止や安全管理を強化することが可能になります。このように、DXは製造業において非常に重要な役割を担っています。

実際に今回のDXに関する調査では、DXに取り組むことの重要性について、「重要」と回答したのは全体の35.6%、「やや重要」が46.1%となり、重要であるとの回答が8割を上回りました。

この「工場・プラントにおけるDXに関する意識調査」は化学工業、紙・パルプ、石油製品の工場・プラントに勤務する回答者を対象としたインターネット調査の結果です。業種別のDXに関する認識、取り組み状況、具体的に実施していること、問題・課題、成功要因などについてまとめています。

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[化学工業、紙・パルプ、石油製品]工場・プラントにおけるDXに関する意識調査の結果

対象エリア:全国
調査対象者:対象者:化学工業、紙・パルプ、石油製品業種従事者で、かつ、事業所形態が工場・プラント
有効回答数:271人
調査方法:インターネット調査
調査期間:2023年6月28~6月30日

属性データのイメージ
属性データ

[左:業種]

  • 製造業(化学工業) 54.2%

  • 製造業(パルプ・紙・紙加工品) 25.8%

  • 製造業(石油製品) 19.9%

[右:所属部門]

  • 製造・生産 50.0%

  • 品質管理 15.0%

  • 技術・研究開発 11.4%

  • 生産管理 10.6%

  • その他 13.0%

調査項目

  • DXという言葉の普及状況

  • DXという言葉の普及状況(業種別)

  • DXに取り組むことの重要性

  • DXに取り組むことの重要性(業種別)

  • DXの取り組み・実施状況

  • DXの取り組み・実施状況(業種別)

  • DXやデジタル化を推進している組織

  • DXを推進することによる期待効果

  • DXを推進する上での問題・課題

  • DXの成果有無について

  • DXより得られた効果

  • DXにより得られた効果

  • DXの成功要因のうち最も重要だと考えられるもの

  • DXを推進していく上での問題・課題について(FA

以下、動向調査の内容を抜粋してご紹介いたします。

DXという言葉の普及状況

「全社的に利用されている」と回答したのは全体の23.2%

DXという言葉の普及状況について、「全社的に利用されている」と回答したのは全体の23.2%、「経営層でのみ使われている」が1.1%、「一部の部門・部署で使われている」が27.3%となった(図1)。

図1 DXという言葉の普及状況

DXという言葉の普及状況の調査結果
図1:データ
  • 全社的に利用されている 23.2%

  • 経営層でのみ使われている 1.1%

  • 一部の部門・部署で使われている 27.3%

  • あまり使われていない 14.8%

  • 全く使われていない 12.9%

  • DXを知らない 13.7%

DXという言葉の業種別の普及状況(業種別)

「全社的に利用されている」の回答が最も多かったのは「製造業(化学工業)」で31.9%

DXという言葉の業種別の普及状況について、「全社的に利用されている」の回答が最も多かったのは「製造業(化学工業)」で31.9%、次いで「製造業(石油製品)」が27.5%、「製造業(パルプ・紙・紙加工品)」が7.8%の順に続く結果となった(図2)。

図2 業種別のDXという言葉の業種別の普及状況

DXという言葉の業種別の普及状況の調査結果
図2:データ

[「全社的に利用されている」との回答比率]

  • 製造業(パルプ・紙・紙加工品) 7.8%

  • 製造業(化学工業) 31.9%

  • 製造業(石油製品) 27.5%

DXに取り組むことの重要性

「重要」と回答したのは全体の35.6%

DXに取り組むことの重要性について、「重要」と回答したのは全体の35.6%、「やや重要」が46.1%となった(図3)。

図3 DXに取り組むことの重要性

DXに取り組むことの重要性の調査結果
図3:データ
  • 重要 35.6%

  • やや重要 46.1%

  • あまり重要ではない 11.1%

  • 重要ではない 3.3%

  • わからない 3.9%

DXに取り組むことの重要性(業種別)

「重要」の回答が最も多かったのは「製造業(化学工業)」で39.1%

業種別のDXに取り組むことの重要性について、「重要」の回答が最も多かったのは「製造業(化学工業)」で39.1%、次いで「製造業(石油製品)」が31.6%、「製造業(パルプ・紙・紙加工品)」が28.1%の順に続く結果となった(図4)。

図4 業種別のDXに取り組むことの重要性

業種別のDXに取り組むことの重要性の調査結果
図4:データ

[「重要」との回答比率]

  • 製造業(パルプ・紙・紙加工品) 28.1%

  • 製造業(化学工業) 39.1%

  • 製造業(石油製品) 31.6%

DXへの取り組み状況

「現在取り組んでいる」と回答したのは全体の54.5%

DXへの取り組み状況について、「現在取り組んでいる」と回答したのは全体の54.5%、「今後取り組む予定がある」が20.6%となった(図5)。

図5 DXへの取り組み状況

DXへの取り組み状況の調査結果
図5:データ
  • 現在取り組んでいる 54.5%

  • 今後取り組む予定がある 20.6%

  • 必要性は感じているが、取り組んでいない 17.2%

  • 取り組んでおらず、必要性も感じていない 3.3%

  • わからない 4.4%

業種別DXへの取り組み状況(業種別)

「現在取り組んでいる」の回答が最も多かったのは「製造業(化学工業)」で61.8%

業種別DXへの取り組み状況について、「現在取り組んでいる」の回答が最も多かったのは「製造業(化学工業)」で61.8%、次いで「製造業(石油製品)」が50.0%、「製造業(パルプ・紙・紙加工品)」が34.4%の順に続く結果となった(図6)。

図6 業種別DXへの取り組み状況

業種別DXへの取り組み状況の調査結果
図6:データ

[「現在取り組んでいる」との回答比率]

  • 製造業(パルプ・紙・紙加工品) 34.4%

  • 製造業(化学工業) 61.8%

  • 製造業(石油製品) 50.0%

DXやデジタル化を推進している組織

「DXを推進する専門組織がある」と回答したのは全体の43.7%

DXやデジタル化を推進している組織について、「DXを推進する専門組織がある」と回答したのは全体の43.7%、「DXを推進する組織横断のプロジェクトチームがある」が31.1%、「既存の情報システム部門がDXを推進している」が26.7%となった(図7)。

業種別で、製造業(化学工業)は「DXを推進する専門組織がある」の回答は47.6%という結果になった。製造業(パルプ・紙・紙加工品)では23.8%となり、取り組み状況に23.8%の差が開いた。

図7 DXやデジタル化を推進している組織

DXやデジタル化を推進している組織の調査結果
図7:データ
  • DXを推進する専門組織がある 43.7%

  • DXを推進する組織横断のプロジェクトチームがある 31.1%

  • 既存の情報システム部門がDXを推進している 26.7%

  • その他部門でDXを推進している 8.1%

  • DXを推進する組織はない 7.4%

  • わからない

DXを推進することにより期待している効果

もっとも回答が多かったのは「労働生産性の向上」で63.7%

DXを推進することにより期待している効果について、もっとも回答が多かったのは「労働生産性の向上」で63.7%,、次いで「コスト削減」で57.8%、「既存業務の効率化」で57.0%の順に続く結果となった(図8)。

業種別で、製造業(パルプ・紙・紙加工品)は「労働生産性の向上」の回答は66.7%という結果になった。一方、製造業(石油製品)では56.7%となり、取り組み状況に10.0%の差が開いた。

図8 DXを推進することにより期待している効果

DXを推進することにより期待している効果の調査結果
図8:データ
  • 労働生産性の向上 63.7%

  • コスト削減 57.8%

  • 既存業務の効率化 57.0%

  • 人手不足の解消 45.9%

  • 競争力の強化 38.5%

  • 製品品質の向上

DXを推進する上での問題・課題

もっとも回答が多かったのは「推進できる人材不足」で48.1%

DXを推進する上での問題・課題について、もっとも回答が多かったのは「推進できる人材不足」で48.1%,、次いで「知識・ノウハウの不足」で40.0%、「推進できる組織・体制不足」で36.3%の順に続く結果となった(図9)。

業種別で、製造業(石油製品)は「推進できる人材不足」の回答は53.3%という結果になった。一方、製造業(パルプ・紙・紙加工品)では28.6%となり、取り組み状況に24.7%の差が開いた。

図9 DXを推進する上での問題・課題

デジタル・トランスフォーメーション(DX)を推進する上での問題・課題の調査結果
図9:データ
  • 推進できる人材不足 48.1%

  • 知識・ノウハウの不足 40.0%

  • 推進できる組織・体制不足 36.3%

  • 予算の確保・制約 30.4%

  • 従業員のITリテラシが十分ではない 29.6%

  • 費用対効果がわかりにくい

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DXの成果有無について

「DX推進の成果が出ている」と回答したのは全体の45.9%

DXの成果有無について、「DX推進の成果が出ている」と回答したのは全体の45.9%、「DX推進の成果がでていない」が34.7%となった(図10)。

業種別で、製造業(化学工業)は「DX推進の成果が出ている」の回答は51.5%という結果になった。一方、製造業(石油製品)では31.6%となり、取り組み状況に19.9%の差が開いた。

図10 DXの成果有無

DXの成果有無の調査結果
図10:データ
  • DX推進の成果が出ている 45.9%

  • DX推進の成果がでていない 34.7%

  • わからない 19.4%

DXにより得られた効果

もっとも回答が多かったのは「労働生産性の向上」で60.0%

DXにより得られた効果について、もっとも回答が多かったのは「労働生産性の向上」で60.0%,、次いで「既存業務の効率化」で51.1%、「コスト削減」で46.7%の順に続く結果となった(図11)。

この設問の回答数が少ないため参考データとなります。

図11 DXにより得られた効果

DXが成功した要因の調査結果
図11:データ
  • 労働生産性の向上 60.0%

  • 既存業務の効率化 51.1%

  • コスト削減 46.7%

  • 競争力の強化 37.8%

  • 製品品質の向上 31.1%

  • データに基づく意思決定

DXの成功要因のうち最も重要だと考えられるもの

もっとも回答が多かったのは「DX人材の確保・育成」で22.2%

DXの成功要因のうち最も重要だと考えられるものについて、もっとも回答が多かったのは「DX人材の確保・育成」で22.2%,、次いで「DX推進担当部門の設置」で15.6%、「DXへの早期着手」で13.3%の順に続く結果となった(図12)。

この設問の回答数が少ないため参考データとなります。

図12 DXの成功要因のうち最も重要だと考えられるもの

成功要因のうち最も重要だと考えられるものの調査結果
図12:データ
  • DX人材の確保・育成 22.2%

  • DX推進担当部門の設置 15.6%

  • DXへの早期着手 13.3%

  • 経営層のリーダーシップ 11.1%

  • 組織文化や意識の改革 11.1%

  • 従来の仕組み・制度の見直し

DXを推進していく上での問題・課題について(FA)

DXを推進していく上での問題・課題についてのFA(フリーアンサー)では、「推進する人材不足」「DXに対する知識不足」「費用対効果」に関連する問題・課題が多くみられた(以下FA回答の抜粋)。

  • 末端までなかなか浸透しない、或いは時間がかかる。

  • 各業務に対して適したDXが把握できていない。

  • 予算効果が分かりにくい。

  • 推進するプロジェクトの立ち上げ人員の知識不足。

  • 取り組む人員が不足している。

  • 導入コストがかかり困る。

  • 推進できる人材が不足している。

  • 従業員の意識改革が必要ではあるが始めから否定的な考えがありなかなか打破できていない。

  • テレワークが進んでいない。セキュリティという名目で、いまだにFaxが主流。

  • DXに対応する人材が不足している。

  • DXに取り組む人員不足。

  • 費用対効果が出ていない。

  • 知識、人材が不足している。

  • 知識がないため育成できる風土を作る必要がある。

  • DXに対する教育が全社的に必要。

  • どのような成果や効果が出ればDXに対する取り組みがうまくいっているのか、それに取り組んでいる従業員がはっきり理解できていない。

調査結果ダウンロード

本調査結果については以下よりダウンロードすることができます。

[化学工業、紙・パルプ、石油製品]工場・プラントにおけるDXに関する意識調査のイメージ

富士電機では化学工業・化学プラント・化学工場に関連する動向調査を不定期に実施し、お客様に役立つ情報を発信しています。本調査に関するお問い合わせは「お問い合せ・導入に関するご相談」ページよりお知らせください。

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