鋳造工場の基礎知識
鋳造工場とオートメーション技術

鋳造工場とは

鋳造工場のプロセスオートメーションイメージ

鋳造工場とは、金属や合金を溶かし、鋳型に注入して製品を作り出す工場です。金属を溶かした後、溶融金属を鋳型に流し込んで冷却固化させることで製品を形成します。

鋳造工場ではバッチ処理や高度なプロセス制御が行われており、また溶解炉や冷却装置などの設備に多くのエネルギーを消費します。このため、エネルギー利用の効率化・設備稼働の最適化は重要な経営課題となります。

近年では、鋳造工場は環境負荷軽減などを目的にカーボンニュートラル化を目指す動きが広まっています。カーボンニュートラルとは、排出した二酸化炭素の排出量と吸収量を相殺する状態を指します。

これら課題を解決するために、鋳造工場ではIoTによる効率化や、省エネルギー化や再生可能エネルギーの導入、効率的なプロセス改善、熱源転換などの取り組みが進められています。

プロセス産業とオートメーション

プロセスオートメーションのイメージ

プラント・工場などで、人が行っていた作業をロボットや機械などに置きかえ、無人化・自動化を実現する技術・自動化形態を、産業用オートメーション、オートメーション技術と呼ぶことがあります。

また、素材産業・プロセス産業の製造工程・生産ラインや工場の制御・自動化は、プロセスオートメーション(PA:Process Automation)と呼ばれています。

プロセス産業は原料に熱や圧力などを加え、他産業の加工素材となる製品を製造します。例えば牛乳からチーズをつくる、石油からナフサ、ナフサから基礎化学品をつくる、鉄鉱石から鉄をつくるなどがあり、これらの製造プロセスを自動制御する技術がプロセスオートメーションに該当します。

プロセスオートメーションの主な目的はプラント・工場の生産性向上にあります。ロボット化・機械化を進めることで、労働人口減少・人材不足の解消、ヒューマンエラーの最小化、プラントの自動制御システムによる24時間稼働、作業員の安全性確保などが可能になります。

プロセスオートメーションの特長

プロセス産業は製造工程で化学反応を利用するため、プロセスオートメーションでは生産設備からえられるデータだけでなく、計測器等を用いてアナログデータ(温度・圧力・流量など)を監視し、適切に制御していくことが必須となります。 このような制御を一般に「プロセス制御」を呼びます。

プロセス制御の身近な例として、「お風呂のお湯の温度調整」がよく利用されます。お風呂のお湯の温度調整は、実際のお湯の状態(湯加減)を確認しながら、給湯量や給温度を調整して、目標とするお風呂の状態に近づけていき、夏場と冬場で目標温度を変えたりしますが、これが代表的なプロセス制御のイメージなります。

一方で、自動車業界や電機業界など部品を組み立てて製品を作る工場の自動化を、一般にファクトリーオートメーション(FA:Factory Automation)と呼びます。

PAと比較すると、製造ラインにおいて高速かつ精度高い機械設備の制御が重要視されます。また、製造ラインにトラブルがあった場合、機械を停止させ、作業を中断することができ、その後再開するという違いがあります。

プロセス制御は化学反応などを監視しながら目標値に向けた制御をしていくため、高速な制御を必ずしも必要としません。また、製造機械を強制的に停止させたとしても、始まってしまった化学反応を停止させることはできず、再開も容易ではないという特長があります。

プロセスオートメーションが適用される業界と特長

プロセスオートメーションの適用される業界には食品製造業の他、石油・化学業界、鉄鋼業界、セメント・ガラス、製紙・パルプ、清掃工場などがあります。

化学プラント

化学プラントはさまざまな装置が利用されており、生産プロセスも複雑で、製品も原料品、中間財、最終製品など多岐にわたります。化学工業は装置産業といわれ、自動化・機械化が進めやすく、生産設備・装置の大型化によりスケールメリットを得やすいという特長があります。

化学プラントでは安全・安定運転が必須であり、高効率稼働が求められ、いかに製品品質を向上させるかが重要視されます。

関連:化学プラント・工場の生産性向上・スマート化を支援

富士電機では化学、石油・ガスパイプライン、紙・パルプなどのさまざまなプラント・工場向けに、最新のテクノロジーやIoT活用・スマート工場化を支援するためのシステム&ソリューションを提供しています。

食品工場

食品工場の特長の一つは労働集約型の産業で、他の産業と比較して人の作業が必要となる製造工程が多く存在することです。

統計データ等では生産性が相対的に低い産業とされており、今後どのように自動化・機械化をすすめ、生産性・付加価値を向上させていくかが業界全体の課題となっています。

他のプラントと異なる点は、原料が生ものであり季節の影響を受けることや、原材料の長期保存がしにくいこと、異物混入対策・消費期限の管理、原料の調達から出荷までいわゆる食品の安全性を確保する必要があるという特長があります。

関連:食品工場の生産性向上・スマート化を支援

富士電機では製造業向けに設備機器、IoTシステムや制御システムを数多く提供、その実績をベースとし食品製造業にIoT活用・ 生産性向上・スマート工場化を支援するためのシステム&ソリューションを提供しています。

紙・パルププラント

紙・パルププラントは装置産業であり、24時間連続操業が基本となる産業です。製造技術が確立している一方で、設備要素も多いという特長があります。このため、自動化・機械化と、いかに安定操業させるか生産性向上に必要とされます。

原料が木材であるため種類・樹齢や伐採時期により特性がことなり、製造工程は複雑で、時間もかかり、品櫃管理が難しいという特長があります。

清掃工場

清掃工場では、社会のごみの増大、環境問題、エネルギー問題などの課題に対応するため高機能化・大型化・複合化といった特長があります。

他のプラント同様にプラント制御の自動化が進んでおり、かつ、環境保護対策に配慮した、高い運転性能と安全運転管理が必要とされます。

鋳造工場の基礎知識