鋳造業界・鋳造工場の動向調査
鋳造工場におけるカーボンニュートラルに関する意識調査

カーボンニュートラルへの取組み、「取り組んでいる」「取り組む予定がある」の合計で78.7%。取り組む理由のトップは「エネルギーコストの削減」。

鋳造工場にとってカーボンニュートラルに取り組みは、SDGs(持続可能な開発目標)への取組みや低炭素化社会の実現だけでなく、技術革新の機会としても注目されています。

カーボンニュートラルを実現するための、鋳造工場内の省エネ化、エネルギー効率の改善、エネルギー源の転換などを進めることは、エネルギーコストを削減させ、環境への負荷を減少させつつ、新しい技術を取り込む機会にもなり、品質と生産性を向上させるなどの可能性を持っています。

今回の調査における鋳造工場におけるカーボンニュートラルに向けた取り組みについてのアンケート項目では、「現在取り組んでいる」「今後取り組む予定がある」の合計は78.7%となりました。

今回、富士電機の鋳造工場ソリューションサイトでは製造業かつ鋳造工場に勤務している回答者を対象に、カーボンニュートラルに関する取り組み状況、具体的に実施していること、 問題・課題についてのインターネット調査を実施し、「鋳造工場におけるカーボンニュートラルに関する意識調査」としてまとめました。

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鋳造工場におけるカーボンニュートラルに関する意識調査結果

対象エリア

:全国

調査対象者

:製造業従事者で、かつ、事業所形態が鋳造工場

有効回答数

:370人

調査方法

:インターネット調査

調査期間

:2023年6月13日~6月19日

属性データ

[左:所属部門]

  • 製造・生産 60.3%

  • 生産管理 9.5%

  • 品質管理 8.6%

  • 保全・点検 5.9%

  • 技術・研究開発 5.1%

  • その他 10.5%

[右:従業員規模]

  • 300人未満 51.9%

  • 300人~999人 16.5%

  • 1000人~2999人 11.9%

  • 3000人以上 19.7%

調査項目

  • 鋳造工場における「カーボンニュートラル」とう言葉の認知

  • 鋳造工場におけるカーボンニュートラルに向けた取り組み

  • 鋳造工場でカーボンニュートラルに取り組む理由

  • 鋳造工場のカーボンニュートラルに向けた取り組み

    • 未利用エネルギーの活用(排熱など)

    • 太陽光発電設備の導入

    • エネルギー使用量の見える化

    • 高効率・省エネ設備への切り替え

    • 発電設備の高効率化

    • エネルギー・熱源の転換

    • 歩留りの向上によるエネルギー使用量削減

    • 不良品削減によるエネルギー使用量削減

    • 従業員に対する環境教育・啓発活動

    • CO2排出量の計測・分析

    • IoT・AI技術の活用

  • 鋳造工場でカーボンニュートラルに向けた取り組みを推進していく上での問題・課題

以下、動向調査の内容を抜粋してご紹介いたします。

鋳造工場における「カーボンニュートラル」とう言葉の認知

「知っており、内容を理解している」と回答したのは全体の21.6%

鋳造工場における「カーボンニュートラル」とう言葉の認知について、「知っており、内容を理解している」と回答したのは全体の21.6%、「知っており、ある程度内容を理解している」が34.1%、「知っているが、内容は理解していない」が26.5%となった(図1)。

図1 「カーボンニュートラル」とう言葉の認知

「カーボンニュートラル」とう言葉の認知の調査結果
図1:データ
  • 知っており、内容を理解している 21.6%

  • 知っており、ある程度内容を理解している 34.1%

  • 知っているが、内容は理解していない 26.5%

  • 知らない 17.8%

鋳造工場におけるカーボンニュートラルに向けた取り組み

「現在取り組んでいる」と回答したのは全体の54.9%

鋳造工場におけるカーボンニュートラルに向けた取り組みについて、「現在取り組んでいる」と回答したのは全体の54.9%、「今後取り組む予定がある」が23.8%となった(図2)。

図2 鋳造工場におけるカーボンニュートラルに向けた取り組み

鋳造工場におけるカーボンニュートラルに向けた取り組みの調査結果
図2:データ
  • 現在取り組んでいる 54.9%

  • 今後取り組む予定がある 23.8%

  • 取り組んでいない 15.5%

  • わからない 5.8%

鋳造工場でカーボンニュートラルに取り組む理由

もっとも回答が多かったのは「エネルギーコストの削減」で57.4%

鋳造工場でカーボンニュートラルに取り組む理由について、もっとも回答が多かったのは「エネルギーコストの削減」で57.4%、次いで「SDGsの推進」で56.8%、「企業の社会的責任(CSR)の一環」で53.7%の順に続く結果となった(図3)。

図3 鋳造工場でカーボンニュートラルに取り組む理由

鋳造工場でカーボンニュートラルに取り組む理由の調査結果
図3:データ
  • エネルギーコストの削減 57.4%

  • SDGsの推進 56.8%

  • 企業の社会的責任(CSR)の一環 53.7%

  • 企業イメージの向上 49.4%

  • 環境規制・法令遵守 49.4%

  • 事業継続性の強化 40.7%

  • ビジネス機会の拡大 20.4%

  • その他 2.5%

  • わからない 1.9%

鋳造工場のカーボンニュートラルに向けた取り組み

「取り組んでいる」の回答が最も多かったのは「不良品削減によるエネルギー使用量削減」で62.3%

鋳造工場のカーボンニュートラルに向けた取り組みについて、「取り組んでいる」の回答が最も多かったのは「不良品削減によるエネルギー使用量削減」で62.3%、次いで「従業員に対する環境教育・啓発活動」が59.9%、「歩留りの向上によるエネルギー使用量削減」が56.8%の順に続く結果となった(図4)。"&J1

図 4 鋳造工場のカーボンニュートラルに向けた取り組み

省エネルギー対策に対する具体的な取り組みの調査結果
図4 データ

[「取り組んでいる」との回答比率]

  • 未利用エネルギーの活用(排熱など) 37.0%

  • 太陽光発電設備の導入 32.7%

  • エネルギー使用量の見える化 54.9%

  • 高効率・省エネ設備への切り替え 53.1%

  • 発電設備の高効率化 36.4%

  • エネルギー・熱源の転換 41.4%

  • 歩留りの向上によるエネルギー使用量削減 56.8%

  • 不良品削減によるエネルギー使用量削減 62.3%

  • 従業員に対する環境教育・啓発活動 59.9%

  • CO2排出量の計測・分析 54.3%

  • IoT・AI技術の活用 37.0%

未利用エネルギーの活用(排熱など)

「取り組んでいる」と回答したのは全体の37.0%

未利用エネルギーの活用(排熱など)について、「取り組んでいる」と回答したのは全体の37.0%、「取り組んでいないが、取り組む予定がある」が27.8%となった(図5)。

図5 未利用エネルギーの活用(排熱など)

未利用エネルギーの活用(排熱など)の調査結果
図5:データ
  • 取り組んでいる 37.0%

  • 取り組んでいないが、取り組む予定がある 27.8%

  • 取り組んでおらず、予定もない 19.1%

  • わからない 16.0%

太陽光発電設備の導入

「取り組んでいる」と回答したのは全体の32.7%

太陽光発電設備の導入について、「取り組んでいる」と回答したのは全体の32.7%、「取り組んでいないが、取り組む予定がある」が20.4%となった(図6)。

図6 太陽光発電設備の導入

太陽光発電設備の導入の調査結果
図6:データ
  • 取り組んでいる 32.7%

  • 取り組んでいないが、取り組む予定がある 20.4%

  • 取り組んでおらず、予定もない 27.2%

  • わからない 19.8%

エネルギー使用量の見える化

「取り組んでいる」と回答したのは全体の54.9%

エネルギー使用量の見える化について、「取り組んでいる」と回答したのは全体の54.9%、「取り組んでいないが、取り組む予定がある」が24.1%となった(図7)。

図7 エネルギー使用量の見える化

エネルギー使用量の見える化の調査結果
図7:データ
  • 取り組んでいる 54.9%

  • 取り組んでいないが、取り組む予定がある 24.1%

  • 取り組んでおらず、予定もない 11.1%

  • わからない 9.9%

高効率・省エネ設備への切り替え

「取り組んでいる」と回答したのは全体の53.1%

高効率・省エネ設備への切り替えについて、「取り組んでいる」と回答したのは全体の53.1%、「取り組んでいないが、取り組む予定がある」が24.7%となった(図8)。

図8 高効率・省エネ設備への切り替え

高効率・省エネ設備への切り替えの調査結果
図8:データ
  • 取り組んでいる 53.1%

  • 取り組んでいないが、取り組む予定がある 24.7%

  • 取り組んでおらず、予定もない 14.2%

  • わからない 8.0%

発電設備の高効率化

「取り組んでいる」と回答したのは全体の36.4%

発電設備の高効率化について、「取り組んでいる」と回答したのは全体の36.4%、「取り組んでいないが、取り組む予定がある」が23.5%となった(図9)。

図9 発電設備の高効率化

発電設備の高効率化の調査結果
図9:データ
  • 取り組んでいる 36.4%

  • 取り組んでいないが、取り組む予定がある 23.5%

  • 取り組んでおらず、予定もない 25.9%

  • わからない 14.2%

エネルギー・熱源の転換

「取り組んでいる」と回答したのは全体の41.4%

エネルギー・熱源の転換について、「取り組んでいる」と回答したのは全体の41.4%、「取り組んでいないが、取り組む予定がある」が27.2%となった(図10)。

図10 エネルギー・熱源の転換

エネルギー・熱源の転換の調査結果
図10:データ
  • 取り組んでいる 41.4%

  • 取り組んでいないが、取り組む予定がある 27.2%

  • 取り組んでおらず、予定もない 20.4%

  • わからない 11.1%

歩留りの向上によるエネルギー使用量削減

「取り組んでいる」と回答したのは全体の56.8%

歩留りの向上によるエネルギー使用量削減について、「取り組んでいる」と回答したのは全体の56.8%、「取り組んでいないが、取り組む予定がある」が22.8%となった(図11)。

図11 歩留りの向上によるエネルギー使用量削減

歩留りの向上によるエネルギー使用量削減の調査結果
図11:データ
  • 取り組んでいる 56.8%

  • 取り組んでいないが、取り組む予定がある 22.8%

  • 取り組んでおらず、予定もない 10.5%

  • わからない 9.9%

不良品削減によるエネルギー使用量削減

「取り組んでいる」と回答したのは全体の62.4%

不良品削減によるエネルギー使用量削減について、「取り組んでいる」と回答したのは全体の62.4%、「取り組んでいないが、取り組む予定がある」が14.2%となった(図12)。

図12 不良品削減によるエネルギー使用量削減

不良品削減によるエネルギー使用量削減の調査結果
図12:データ
  • 取り組んでいる 62.4%

  • 取り組んでいないが、取り組む予定がある 14.2%

  • 取り組んでおらず、予定もない 12.3%

  • わからない 11.1%

従業員に対する環境教育・啓発活動

「取り組んでいる」と回答したのは全体の59.9%

従業員に対する環境教育・啓発活動について、「取り組んでいる」と回答したのは全体の59.9%、「取り組んでいないが、取り組む予定がある」が22.8%となった(図13)。

図13 従業員に対する環境教育・啓発活動

従業員に対する環境教育・啓発活動の調査結果
図13:データ
  • 取り組んでいる 59.9%

  • 取り組んでいないが、取り組む予定がある 22.8%

  • 取り組んでおらず、予定もない 11.7%

  • わからない 5.6%

CO2排出量の計測・分析

「取り組んでいる」と回答したのは全体の54.3%

CO2排出量の計測・分析について、「取り組んでいる」と回答したのは全体の54.3%、「取り組んでいないが、取り組む予定がある」が21.6%となった(図14)。

図14 CO2排出量の計測・分析

CO2排出量の計測・分析の調査結果
図14:データ
  • 取り組んでいる 54.3%

  • 取り組んでいないが、取り組む予定がある 21.6%

  • 取り組んでおらず、予定もない 16.7%

  • わからない 7.4%

IoT・AI技術の活用

「取り組んでいる」と回答したのは全体の37.0%

IoT・AI技術の活用について、「取り組んでいる」と回答したのは全体の37.0%、「取り組んでいないが、取り組む予定がある」が30.2%となった(図15)。

図15 IoT・AI技術の活用

IoT・AI技術の活用の調査結果
図15:データ
  • 取り組んでいる 37.0%

  • 取り組んでいないが、取り組む予定がある 30.2%

  • 取り組んでおらず、予定もない 18.5%

  • わからない 14.2%

鋳造工場でカーボンニュートラルに向けた取り組みを推進していく上での問題・課題

もっとも回答が多かったのは「必要な予算の確保」で53.1%

鋳造工場でカーボンニュートラルに向けた取り組みを推進していく上での問題・課題について、もっとも回答が多かったのは「必要な予算の確保」で53.1%、次いで「知識・ノウハウの不足」で39.5%、「推進できる人材不足」で38.3%の順に続く結果となった(図16)。

図16 鋳造工場でカーボンニュートラルに向けた取り組みを推進していく上での問題・課題

鋳造工場でカーボンニュートラルに向けた取り組みを推進していく上での問題・課題の調査結果
図16:データ
  • 必要な予算の確保 53.1%

  • 知識・ノウハウの不足 39.5%

  • 推進できる人材不足 38.3%

  • 費用対効果がわかりにくい 35.2%

  • 推進できる組織・体制不足 30.2%

  • 従業員の取組みに対する理解 29.6%

  • 適切な相談相手がいない 10.5%

  • その他 0.6%

  • 特にない 5.6%

  • わからない 7.4%

鋳造工場のカーボンニュートラルに向けた取り組みに関する問題・課題について(FA)

鋳造工場のカーボンニュートラルに向けた取り組みに関する問題・課題についてのFA(フリーアンサー)では、「消費電力削減が困難」「カーボンニュートラルの進め方・方法」「予算確保」 に関連する回答が多くみられた(以下FA回答の抜粋)。

  • 電力使用量が高く改善が難しい、仕事を増やすと当然電力使用量が上がる。

  • 電気炉があるため消費電力がかなりあるため作りすぎ、無駄な不良の作り直しによるコストの削減に取り組んでく必要がある。

  • 設備の更新について担当者のマンパワーが不足している。

  • 言葉が難解で取り組みにくい。

  • 自部署の仕事をやりながら、カーボンニュートラルに取り組まなければならない為、活動する時間がほとんど取れないので、目標達成が難しい。

  • 水素還元による製造の技術開発。

  • 物価高で、経営が厳しい中、コストメリットのある、太陽光の導入を進めている。

  • 予算の関係で設備投資する余裕がない。

  • 設備投資が必要で、資金面や知識が足りていない。

  • どこから手を付けるかわからない。

  • どのような形で取り組むか、明確でない。

  • 稼働装置が多く償却もまだあるので使用しない選択は難しい。

  • 従業員の理解と啓発、あと企業全体で教育が繰り返し必要。意識が向上すれば取り組む意欲と目標達成への加速力が増すと思う。

  • 水素還元による製造の技術開発。

  • コピー用紙削減として給与明細、勤怠、医療費のお知らせなどの会社からの連絡等は紙からPCへと移行している。

  • FAXは紙で残すのでなくPCデータとして残しコピーとコピー用紙の削減に取り組んでいる。

調査結果ダウンロード

本調査結果については以下よりダウンロードすることができます。

鋳造工場におけるカーボンニュートラルに関する意識調査のイメージ

富士電機では鋳造業界・鋳造工場に関連する動向調査を不定期に実施し、お客様に役立つ情報を発信しています。本調査に関するお問い合わせは「お問い合せ・導入に関するご相談」ページよりお知らせください。

[2023年調査]