IR資料室富士電機レポート/統合報告書
セグメント別概況
パワエレ エネルギー
競争力ある製品開発の促進、
エンジニアリング・サービス体制の強化、
カーボンニュートラル関連の提案強化により事業拡大を図ります。
執行役員常務
パワエレ エネルギー事業本部長
河野 正志


事業内容 | 環境規制に対応した受変電設備・機器を展開し、エネルギーの安定供給に貢献 お客様設備において、エネルギーマネジメントシステムにより最適なエネルギー需給制御を実現 電気設備の一括提供による設備の安定稼働に貢献 |
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主な向け先 | 電力会社、素材プラント(鉄鋼、化学など)、データセンター、半導体工場、機械セットメーカ |
強み | 電力の安定供給と最適化に貢献する幅広い製品・システムから保守サービスまでの一括提案 電力の安定供給と最適化に係る豊富な納入実績、エンジニアリング経験 国内外自社工場で磨き上げた省エネのノウハウ |
市場動向と事業機会
脱炭素社会の実現に向けたエネルギーの安定供給、最適化に関連する需要が、グローバルで急速に拡大しています。
サブセグメント | 市場動向と事業機会 |
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エネルギーマネジメント | 受変電分野で継続している老朽化設備の更新需要に加え、政府による次世代エネルギー政策の補助金制度も後押しとなり、太陽光・風力発電・蓄電システム用パワーコンディショナなどカーボンニュートラル関連需要が拡大しています。 |
施設・電源システム | デジタル化や5Gの活用などを背景としたデータセンター(IDC)事業者の設備投資拡大が継続しています。 さらに先端半導体分野の工場新設・増設の投資も拡大により、電気設備まるごとビジネスの需要は継続的に増加しています。 |
器具 | 機械セットメーカの生産や需要の減少、および中国市況減速による需要低調が見込まれるものの、電気自動車(EV)投資や5G需要の投資回復などにより市況は緩やかに回復していく見通しです。 |
2022年度実績・2023年度計画
2022年度は、施設・電源システム分野の国内外でのデータセンターおよび半導体メーカ向け案件の需要拡大、器具分野の国内を中心としたセットメーカ向け需要の拡大およびこれまでの固定費削減をはじめとする事業構造改革の抽出により、営業利益率は10.2%にまで高まりました。
2023年度は、器具分野の需要減少が見込まれるものの、電気設備まるごとビジネスの継続的な拡大などにより、売上高は対前年度109億円増加の2,750億円、営業利益は前年度並みの270億円、営業利益率は9.8%を計画しています。

重点施策
カーボンニュートラル関連ビジネスの受注拡大強化
中長期的な市場成長が期待されるカーボンニュートラル分野では、エネルギー需給バランスを維持するための系統蓄電池の導入、自家消費を目的とした需要家の再エネ導入などの引き合いが増加しています。エネルギーマネジメントシステム、電力安定化システムなどのコア商材に、自社におけるカーボンニュートラルに向けた取り組みで得たノウハウをあわせ、新規市場への受注活動を強化します。

受変電分野のグローバル新製品投入
受変電分野では、差別化商材の新規開発、市場投入による海外を中心とした売上拡大を計画しています。データセンターや化学プラントなどの防災性や環境規制が要求される分野に、天然エステル油を適用したグローバル変圧器、温暖化ガス発生を極小化し、縮小型受変電設備であるガス絶縁開閉装置(GIS)などの新製品を市場展開します。
データセンター向け電気施設まるごとビジネスの拡大
電気設備まるごとビジネスは、お客様の工期短縮と設備管理要員の削減に貢献し、高評価を獲得しています。日本での実績をベースに、海外ではワンストップ窓口の体制づくり、ローカルサービス人員の育成により、データセンター・半導体工場向け物量の増大に応じたサービス体制を強化し、韓国・東南アジアを中心に事業を拡大しています。
データセンター市場は、大容量化が進んでいます。当社の大容量UPS7500WXシリーズは、業界最小クラスの設置面積と業界最高クラスの電力変換効率を併せ持ち、限られたサーバーの設置スペースのなかで高効率な省エネが可能です。2023年度は容量系列を拡大した2400kVAを新規に展開し、大容量化ニーズに対応します。


器具の新製品の展開
主力製品である電磁開閉器では、小型化、高信頼化、配線性向上など市場ニーズへの対応とともに省エネ、再生可能材料の使用などによりカーボンニュートラルへ貢献する新製品を展開します。さらに中長期的に成長が見込まれる半導体製造装置、工作機械、データセンターなどの顧客に対するスペックイン活動を強化します。