高速回転する地熱タービン動翼表面の液滴挙動可視化技術を確立しました

2026年8月28日
富士電機株式会社



 富士電機株式会社は、国立大学法人東北大学、国立研究開発法人海洋研究開発機構と共同で、地熱タービン動翼表面において液滴の挙動を可視化する技術を確立しました。

 地熱発電では、地下深くのマグマによって加熱された蒸気を動力としてタービンを回転させます。この際に蒸気中の液滴が高速回転する動翼に衝突すると、湿り損失(注1)による発電効率の低下や翼損傷を引き起こします。発電効率の低下を抑制するには翼面上での液滴の挙動の把握が必要ですが、タービン翼列はケーシングで覆われ、内部は高速回転・低圧条件であるため直接観察することは困難でした。

 今回、NEDO委託事業において、実際の地熱タービンにおける運転速度相当の、動翼先端の周速が最大430 m/sに達する条件で液滴挙動をハイスピードカメラにより可視化する技術を確立しました。本技術を活用して翼面上の液滴を観察した結果、液滴が飛散しないと想定されていた1 kPaの低圧条件においても液滴の飛散が生じることを確認しました。また、翼面に付着した液滴が、(a)液膜、(b)液滴群、(c)液糸・液滴列の形態をとり(図1)、遠心力とコリオリ力により翼先端へと輸送され、微粒化して飛散することも明らかにし、この観測結果から飛散予測モデルを構築しました。

図1. 動翼表面上を移動する液滴の様子


 今後は、本研究で解明された液滴挙動をもとに、ドレン(注2)排出機構の最適設計を進め、地熱発電の信頼性向上に貢献してまいります。なお、本研究の成果は、流体実験の専門誌『Experiments in Fluids』に掲載されました。

タイトル

:Visualization of Droplet Splashing and Droplet Trajectory and Theoretical Prediction of a Droplet Motion on the Geothermal Turbine Bucket

著者

:Ippei Oshima, Mikito Furuichi, Yuya Nakashima, Masahiro Sato
 東北大学流体科学研究所 大島逸平助教
 海洋研究開発機構数理科学・先端技術研究開発センター 古市幹人上席研究員
 富士電機株式会社 中島悠也、佐藤雅浩

また、本研究は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)委託事業(JPNP13009)、JSPS科研費(JP24K17202)の支援を受けて実施されました。

【お問い合わせ先】
 技術開発本部 技術戦略室 研究管理部
 TEL:03-5435-7181

注1)

湿り損失:蒸気中の液滴や翼面上の液体によって、タービンが取り出せるエネルギーが低下する現象。蒸気流が液滴を加速したり、液体が翼面上を移動したりすることで、発電に使えるエネルギーの一部が失われます。

注2)

ドレン:タービン内部で発生し、翼や壁面に付着して集まった液体。湿り損失や翼の損傷をもたらす原因になります。