次世代パワー半導体として期待される縦型GaNデバイスにおいて世界トップレベルの短絡耐量を実証しました
2026年10月29日
富士電機株式会社
富士電機株式会社は、次世代パワー半導体として開発を進めているGaN(窒化ガリウム)を用いた縦型MOSFET(注1)において、電気自動車(EV)や産業用インバーターなど、搭載製品の安全性を大きく向上させる世界トップレベルの短絡耐量(注2)を達成しました。
本成果は、パワー半導体分野の最高峰とされる国際会議 International Symposium on Power Semiconductor Devices and ICs (ISPSD)2026にて発表済(注3)です。
GaNは、従来のシリコン(Si)や炭化ケイ素(SiC)と比較して高速なスイッチングが可能で、高周波駆動時の電力損失を大幅に低減できる次世代の半導体材料です。このGaNを用いたパワー半導体(MOSFET)は、EVや産業用インバーターなどの小型・軽量化と省エネ化を推進するキーデバイスとして期待される一方、社会実装に向けては万が一の故障(短絡)時に素子焼損を防ぐ安全性(短絡耐量)の確保が大きな課題となっていました。
当社は、低損失と安全性を両立するデバイスの実現を目指し、量産性に優れたイオン注入技術を用いて縦型MOSFETの開発を進めています。これまでに、実用サイズである2mm角チップにおいて低オン抵抗化を進め、優れた低損失動作を実証しました。
今回、同デバイス(2mm角)をベースに、高品質基板の採用により、主要用途(EVや産業用インバーター)で求められる耐圧1200V以上の高耐圧を実現するとともに、独自の構造設計(JFET領域の寸法制御)により、既存のSiC-MOSFET(3μs程度)の概ね10倍にあたる約30μsの優れた短絡耐量を達成しました。この長時間の耐量は、短絡時に保護回路が作動するまでの十分な猶予を生み、機器の損傷を防ぐ高い安全性をもたらします。今後も社会実装に向け、GaNデバイスのさらなる高効率化と高信頼性化を推進してまいります。
本研究は、つくばパワーエレクトロニクスコンステレーション(TPEC)との共同研究プロジェクトとして実施されました。
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注1)
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スイッチングデバイスの一種でMetal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistorの略
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注2)
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短絡耐量:回路が短絡(ショート)したときにデバイスが破壊せずに耐えられる強度を示す指標。
安全装置が動作するまで持ちこたえる必要があるため、高耐量が望まれます。
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注3)
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ISPSD2026:2026年5月24日~28日 アメリカ・ラスベガスにて開催
タイトル :1.2 kV-Class All Ion-Implanted Vertical GaN-DMOSFETs with Superior Short-Circuit Ruggedness
発表者 :Nao Suganuma
共著者 :Katsunori Ueno、Ryo Tanaka、Shinya Takashima 富士電機株式会社
Hirohisa Hirai、Akira Nakajima、Shinsuke Harada 国立研究開発法人産業技術総合研究所


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