富士電機のSDGs
次世代育成支援 - 環境・社会・ガバナンス

ESG 環境・社会・ガバナンス

子どもたちに理科の楽しさを伝えよう。
~富士電機の次世代育成支援~

2023年6月公開。所属・業務内容は取材当時のものです

富士電機は、地域貢献活動の一環として、小学生を対象にした「理科教室」を各拠点で開催しています。子どもたちの理科ばなれが進む中、理科の楽しさを知ってもらい、科学的な思考を身につけてもらう。川崎工場が実施する「理科教室」の取り組みを紹介します。

理科教室の様子

子どもたちのワクワクが、未来を切り拓く力になる。

川崎工場 技能継承センター 後藤瞳
川崎工場 技能継承センター 後藤瞳

製造拠点を置く地域の理解や信頼がなければ、ものつくりを行うことはできない。その地域にとって、富士電機はどのような存在であるべきなのか。そして、地域に何をもたらせるのか。富士電機が開催する「理科教室」は、そうした想いが結実したものだ。富士電機のことをもっと知ってもらいたい。地域で暮らす子どもたちに人生を輝かせるきっかけを提供したい。川崎工場の取り組みには、そんな願いが込められている。「理科教室」の立ち上げを任された技能継承センター・後藤瞳は、当時の心境をこう語る。

「私自身、ものつくりの道に進もうと決めたのは、子どものころに参加した『ロボット教室』がきっかけでした。子どもたちに、理科の楽しさを知ってもらいたい。あの日、私が感じたワクワクやドキドキを今度は私の手で届けたい。そんな想いを抱いてこの取り組みに向き合っていました」しかし、「理科教室」の立ち上げは、さまざまな苦労が伴うものだった。メンバーたちにとって、こうした教育プログラムの策定は初めての経験。面白いだけのプログラムではなく、「水力発電」「風力発電」といった富士電機の事業に親しみを感じてもらえるものを企画することにも苦心した。とりわけ、難航したのは実施先の小学校を探すことだったという。「学校にもそれぞれの授業スケジュールがあるため、なかなか了解してくれる学校が見つからない。そうした状況を打破するきっかけは、同じ拠点で働く上司のネットワークでした。お子さんが通っている学校で『理科教室』を開催できることになり、その取り組みが評判となり、他の学校からも問い合わせをいただくようになったんです」(後藤)

理科教室の企画・運営を通じて、新人のプロジェクト力を育む。

川崎工場 技能継承センター 島村祐毅
川崎工場 技能継承センター 島村祐毅

川崎工場の「理科教室」には、もうひとつ大きな特徴がある。それは、この取り組みを新人教育プログラムの一環として組み込み、イベントの企画・運営のすべてを新卒1年目の社員に任せていることだ。「理科教室」の推進メンバーである技能継承センター・島村祐毅は、その目的をこう話す。

「川崎工場は、発電プラントの事業を行っている拠点です。企画・設計・施工・保守までを大規模なプロジェクトとして進めていく仕事は、私たちの大きな特徴になります。プロジェクトにおいては、チーム力と推進力が求められることになりますので、新入社員たちには、この『理科教室』における企画、計画(スケジュール作成、管理)、実施、振り返りまでのPDCAを体験してもらい、各々が役割を持ったチームとして仕事をすることを学んでほしいと考えています」
新入社員たちに与えられるのは、実験テーマのみ。どのようなプログラムを企画し、子どもたちに楽しんでもらう工夫をするかは、すべてメンバーに委ねられている。だからこそ、子どもたちの笑顔を見たときの喜びは格別なものとなる。  「私たちは、常に最高の品質を実現していますが、目の前で喜んでもらったり、『ありがとう』と言われたりする機会はそう多くありません。この取り組みのもうひとつのメリットは、『お客様』の笑顔や驚きを目の前で感じられることにあります。ここで得られた喜びは、業務の先にいるお客様を想像する力につながり、仕事へのモチベーションを高めてくれるものだと思っています」(島村)

子どもたちの笑顔で、すべての苦労が報われる。

理科教室の様子
理科教室の様子

2022年度の「理科教室」は、川崎市内の小学校2校と児童センターの3か所で開催された。コロナ禍の影響も少なくなり、より多くの子どもたちが、理科の楽しさに触れ、笑顔を見せてくれたという。この取り組みを企画・運営した新卒1年目のメンバーたちも、それぞれに手応えと喜びを感じているようだ。チームリーダーを務めた第一製造部生産技術課・松倉由佳と電機設計部回転機設計一課・寺内奎悟は、当時をこう振り返る。

川崎工場 第一製造部 生産技術課 松倉由佳
川崎工場 第一製造部 生産技術課 松倉由佳

「子どもたちに何ができて、何ができないのか。安全に楽しんでもらうにはどんな工夫が必要か。さまざまな要素を学校の先生やメンバーと議論していくことに難しさを感じていました。さらに、『理科教室』に関わるメンバーもそれぞれに別の研修や業務を抱えており、リーダーとしてやるべきことを整理し、役割を分担していくことにはとくに苦戦した記憶があります。相手の立場になって、物事を考える。その大切さを学ぶ、貴重な機会になりました。ただ、そうした苦労も子どもたちの笑顔を見た瞬間に、すべて吹き飛んでしまいました。とくに嬉しかったのは、『理科が苦手』と言っていた子が楽しそうにしている様子を見られたこと。この経験が子どもたちにとって、実りあるものになってくれていたら、それ以上の喜びはありません」(松倉)

川崎工場 電機設計部 回転機設計一課 寺内奎悟
川崎工場 電機設計部 回転機設計一課 寺内奎悟

「参加する子どもたちに喜んでもらうために、工夫したこと。それは、『自由な余白』を持たせたことでした。たとえば、『風力発電』のテーマでは、風の力で回る羽根を思い思いのかたちにつくれるように配慮したんです。決められた手順で、決められたものをつくるだけなんて、面白くもなんともありません。ユニークな発想で、楽しそうに羽をつくり、『どうしたら、もっと発電量が上がるんだろう?』と頭を悩ませる子どもたちの姿は見ていて微笑ましいものでした。何より嬉しかったのは、開催後に『寺内先生、面白くて大好き!』という手紙をもらったこと。楽しんでもらえて何よりですし、私自身も子どもたちと触れ合える機会を楽しんでいましたから」(寺内)

この取り組みを通じて、メンバーたちが得たものは喜びや達成感だけではなかった。所属する部門は違っても、頻繁に連絡を取り合い、互いの近況などを話すようになったという。ここで育まれた「同期の絆」は、今後のキャリアを支える貴重な財産になっていくはずだ。

入社動機は、川崎工場の「理科教室」?

川崎工場 技能継承センター長 多田野賢二
川崎工場 技能継承センター長 多田野賢二

地域に暮らす子どもたちに、好奇心を育む「機会」を提供する。そして、地域の人々から大きな学びと喜びをいただく。「理科教室」を通じて生まれた好循環は、地域と企業のあるべき関係性を実現する第一歩となるものだと言える。技能継承センター・センター長の多田野賢二は、今後の展望を次のように話す。

「地域の人々の理解と信頼がなければ、私たちは事業活動を行うことはできません。コロナ禍によって教室が中止になってしまう時期もありましたが、川崎工場の『理科教室』も2023年で7年目を迎えることになります。メンバーたちの努力によって、この取り組みが発展・継続していることは何より喜ばしいこと。子どもたちの理系ばなれが問題視されて久しいですが、この『理科教室』を通じて、豊かな感性を引き出し、科学への好奇心・探求心、ものつくりの楽しみを伝え続けていきたいですね。もしかしたら、10数年後に『川崎工場の教室に参加したことがきっかけで、富士電機に入社しました』なんて人も出てくるかもしれません。そうなってくれれば、それ以上に幸せなことはありません」

川崎工場 技能継承センター メンバー

貢献するSDGs目標

質の高い教育をみんなに

当社は、企業行動基準に「社会への参画を大切にします」を掲げ、次世代育成支援を地域貢献活動の重点分野の一つとしています。これは当社のSDGs目標「4. 質の高い教育をみんなに」に貢献するものです。社会との信頼関係を一層深めるため、事業活動を通して培った「人」と「技術」を活用し、一人でも多くの社員の参加を地域貢献活動の基本方針とし、さまざまな取り組みを推進しています。