食品工場の基礎知識
人工知能(AI)・機械学習・深層学習

人工知能とは

人工知能(AI:Artificial Intelligence)には明確な定義がありません。一般的にはコンピュータテクノロジーを活用して人間の知能を人工的に再現したもの、人間が知的と感じる情報処理・技術という意味合いで利用されています。

人工知能の代表的な分析手法では機械学習(別名:マシーンラーニング)、深層学習(別名:ディープラーニング)があります。

様々な分野で活用が進んでおり、製造現場への応用や生産性向上、作業効率化やモノづくり革新などをもたらすテクノロジーだと考えられています。

人工知能(AI)・機械学習・深層学習の関係

出典:「令和元年版情報通信白書」(総務省)AIと機械学習・深層学習の関係をもとに作成

機械学習(マシーンラーニング)

機械学習(ML:Machine Learning)とは、大量のデータから規則性や判断基準を学習し、これに基づき未知のものを予測判断するという人工知能の分析技術の一つです。とくに統計学を応用する機械学習を統計的機械学習と呼ぶことがあります。

機械学習は、統計を使用し大量のデータ(音声・画像・テキストなど)のパターンを抽出することで、分類や予測などを実行するアルゴリズムを構築します。機械学習は利用できるデータにより「教師あり学習」「教師なし学習」「強化学習」の3種に分類されます。

機械学習の学習方法の分類

出典:「令和元年版情報通信白書」(総務省)AIと機械学習・深層学習の関係をもとに作成

例えば教師あり学習の応用例としては製造業では不良品の発見、医療分野では人間では気づかない病気の早期発見などがあります。機械学習により、ラベル付けされたトレーニングデータを大量に読み込んで、人間では不可能な画像データの相関関係やパターンを分析、それらを利用して将来の状態を予測することを可能にしています。

関連:AI・機械学習導入に向けたデータ統合基盤の構築

データ活用基盤を構築することで、レポーティングの自動化、製造データ解析による品質改善、AI・機械学習の導入も容易になり、食品工場の経営課題の解決や生産性向上を可能にします。

深層学習(ディープラーニング)

深層学習(DL:Deep Learning)は機械学習の一つでニューラルネットワークを用いた分析技術です。ニューラルネットワークとは、脳の神経回路の仕組みを模した分析モデルのことで、高度な情報処理を可能にします。

このニューラルネットワークを多段階で用いることで、学習データからの情報抽出をより高度に行うことができるようになり、結果として高度な抽象化・学習が可能になります。

従来の機械学習では学習対象となる変数(特長量)を、人が準備しておく必要がありました。特長量とは分析対象となるモノの特長などを、数値で定量的に表したもののことです。一方で深層学習では、この変数そのものを大量データから自動的に学習することができるという特長があります。

深層学習は、画像認識、音声認識、音声合成、テキスト処理、翻訳などの商用サービスで実用化が進んでいます。

食品工場の基礎知識

関連:予知保全によるコスト削減・IoT活用事例

予知保全によるコスト削減・IoT活用事例。予防保全から予知保全へ保全方式を切り替えることで、メンテナンスコストの低減やいままで対応が難しかった異常値の検知ができるようになります。