UPSバッテリの基礎知識
UPSバッテリの基礎知識についてご紹介します。
"UPS"と"バッテリ"の関係
無停電電源装置(UPS)は、停電時にバッテリから電力を供給できる機器です。
■通常運転時
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![]() 電力供給中 |
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![]() 電力供給中 |
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![]() 充電中 |
■停電時
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![]() 停電 |
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![]() 電力供給中 |
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![]() 電力供給中 |
バッテリの重要性
いつでも安心して使う電源の仕組みとしてUPSがあります。UPSは交流電源の無停電電源を供給するため、電力会社からの電力供給が無くなった時のエネルギーとしてバッテリを使っています。そのため、バッテリを常に使用できる状態に維持する事が必要となります。
バッテリの交換時期
バッテリの種類と期待寿命時期 | 経過年数 | バッテリ型式の例 | |||||||||||||||
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0 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | ||
M-UPS搭載のバッテリ 3年~4年 |
○ | ○ | バッテリユニット単位で交換 | ||||||||||||||
600-C搭載の標準バッテリ 4年~5年 |
○ | ○ | 古河電池型式 : HHS | ||||||||||||||
HSEタイプのバッテリ 4年~5年 |
○ | ○ | HSE50-12,HSE100-6等 | ||||||||||||||
650/660搭載の標準バッテリ 4年~5年 |
○ | ○ | ○ | 古河電池型式 : FPX バッテリユニット単位で交換 | |||||||||||||
HSタイプのバッテリ 5~7年 |
○ | ○ | ○ | 古河電池型式 : HS | |||||||||||||
MSEタイプのバッテリ 7~9年 |
○ | ○ | ○ | 古河電池型式 : MSE / FVH | |||||||||||||
長寿命MSEタイプのバッテリ 13年~15年 |
○ | ○ | ○ | 古河電池型式 : FVL | |||||||||||||
アルカリ電池タイプのバッテリ 12年~14年 |
○ | ○ | ○ | AHH等 |
(使用環境 at20℃として)
- バッテリ寿命とは、定格容量の80%以下に達したときがバッテリ寿命となります。
(M-UPS使用バッテリ/FPX形バッテリ等の一部小型制御弁式バッテリは、50%以下を寿命としている場合があります。) - UPSに使用されるバッテリの品質は、UPSによる電力供給で稼働しているコンピュータの運用品質に直接影響します。
- コンピュータの運用品質を低下させないためにUPS用バッテリについては、他のバッテリと区別してUPS独自の品質維持管理を行う事が必要です。
- 寿命となったバッテリを使用していると、UPS装置が正常に動作していても停電の時に電力供給ができません。
UPSの無停電運転時間について
「初期値」と「保守率」の違いについて
UPSを使用していると、気になるのが「停電補償時間」である。この停電補償時間の表示のしかたに、大きく分けて2通りの表示がある。「初期値」と「保守率=0.8」の表記があり、それぞれ停電補償時間としては違いがあるので注意が必要である。
初期値 | 「初期値」でUPSを導入された場合、導入時は仕様書通りの停電補償時間の運転が可能である。 使用年数が増え経年劣化したバッテリでは、仕様書の停電補償時間よりは短い時間しか運転できないので注意が必要である。 |
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保守率 | MSE形バッテリでは、保守率=0.8としてバッテリを選定されているケースが多い。 保守率とは、バッテリが経年劣化により低下する容量を導入時に折り込む数値である。 保守率=0.8とは、バッテリの期待寿命時点での容量低下分20%を低減させる事となる。 MSE形バッテリであっても、初期値にて記載されているカタログ、仕様書等もあります |
バッテリの種類と寿命
10KVA以下のUPSでは、制御弁式小型シール型鉛蓄電池(バッテリ)が使用されています
- 1. バッテリ寿命 : 3~4年程度(設置環境により異なります。)
- 2. 寿命診断方法
- パソコン等のUPSに接続されている物を停止しても被害が及ばない状況として、UPSの入力ブレーカーを切って(またはコンセントを抜く)模擬停電を発生させます。UPSが模擬停電で5分以上運転できれば使用が可能です。(長時間バッテリを選定している場合は、選定時間まで)
- 停電試験を実施した場合、バッテリを放電させ残存容量が少なくなってしまいます。放電試験後に充電期間を取れない時は、放電時間をバッテリ仕様(停電保証時間)の1/2時間程度として、運用時の停電に備えたチェックを行ってください。
- 3. 重要設備に使用されているUPSでは、多少早めのバッテリ交換を行う事が必要です。寿命末期では、徐々にバッテリ容量が低下するのではなく、突然バッテリが使用できなくなります。


100KVA以下のバッテリでは、UPS専用バッテリが使用されています。(小型シール型鉛蓄電池)
- 1. バッテリ寿命 : 4~5年程度(設置環境により異なります。)
- 2. 寿命診断方法
- 専門技術者によるメンテナンスで、バッテリの内部抵抗を測定して規格以内であること。
- バッテリの放電を行い、規定以上の容量があること。
- BSC診断で全数のバッテリ放電試験が適用可能です。
- * BSC診断
は富士電機(株)の独自診断方法です。
- * ただし、ユニット化されたバッテリでは実施できない場合があります。
- 3. 重要設備に使用されているUPSでは、多少早めのバッテリ交換を行う事が必要です。寿命末期では、徐々にバッテリ容量が低下するのではなく、突然バッテリが使用できなくなります。


HSE形(制御弁式シール型鉛蓄電池)
- 1. バッテリ寿命 : 4~5年程度(設置環境により異なります。)
- 2. 寿命診断方法
- 専門技術者によるメンテナンスで、バッテリの内部抵抗を測定して規格以内であること。
- バッテリの放電を行い、規定以上の容量があること。
- BSC診断で全数のバッテリ放電試験が適用可能です。
- * BSC診断
は富士電機(株)の独自診断方法です。
- * 浮動充電中の測定のため、UPS運用中に実施可能です。
- 3. 重要設備に使用されているUPSでは、多少早めのバッテリ交換を行う事が必要です。寿命末期では、徐々にバッテリ容量が低下するのではなく、突然バッテリが使用できなくなります。

MSE形(制御弁式シール型鉛蓄電池)
- 1. バッテリ寿命 : 7~9年程度(設置環境により異なります。)
- 2. 寿命診断方法
- 専門技術者によるメンテナンスで、バッテリの内部抵抗を測定して規格以内であること。
- バッテリの放電を行い、規定以上の容量があること。
- BSC診断で全数のバッテリ放電試験が適用可能です。
- * BSC診断
は富士電機(株)の独自診断方法です。
- * 浮動充電中の測定のため、UPS運用中に実施可能です。浮動充電中の測定のため、UPS運用中に実施可能です。
- 3. 重要設備に使用されているUPSでは、多少早めのバッテリ交換を行う事が必要です。寿命末期では、徐々にバッテリ容量が低下するのではなく、突然バッテリが使用できなくなります。

HS形(※液入り鉛蓄電池)
- 1. バッテリ寿命 : 5~7年程度(設置環境により異なります。)
- 2. 寿命診断方法
- 専門技術者によるメンテナンスで、極柱、極板、等の劣化状況を判定する。
- バッテリの放電を行い、規定以上の容量があること。
- BSC診断で全数のバッテリ放電試験が適用可能です。
- * BSC診断
は富士電機(株)の独自診断方法です。
- * 浮動充電中の測定のため、UPS運用中に実施可能です。
- 3. 重要設備に使用されているUPSでは、多少早めのバッテリ交換を行う事が必要です。

長寿命MSE形(制御弁式シール型鉛蓄電池)
- 1. バッテリ寿命 : 13~15年程度(設置環境により異なります。)
- 2. 寿命診断方法
- UPSの期待寿命とほぼ等しい寿命となりますでの、定期メンテナンスによりバッテリの状態を監視することが重要です。
- 劣化の進行度管理の内部抵抗測定より、バッテリ状態管理するにはバッテリ放電を行い、規定以上の容量があることを把握することをおすすめします。
- BSC診断で全数のバッテリ放電試験が適用可能です。
- * BSC診断
は富士電機(株)の独自診断方法です。
- * 浮動充電中の測定のため、UPS運用中に実施可能です。
- 3. 重要設備に使用されているUPSでは、多少早めのバッテリ交換を行う事が必要です。寿命末期では、徐々にバッテリ容量が低下するのではなく、突然バッテリが使用できなくなります。
- 4. バッテリ更新をするか、UPSシステムリニューアルを計画するかを充分に検討する事が必要です。
