こんなところに富士電機#3
インドの港湾にクレーン制御用インバータ

蓄電池と回生エネルギーの活用で脱炭素化に貢献

経済成長著しいインドでは、輸出入の増加を受け、港湾で貨物コンテナの荷捌さばきや保管を行うコンテナフレートステーションの設置が拡大している。ここで貨物コンテナの運搬に使われるのが移動式クレーン「ラバータイヤガントリークレーン(以下、RTG)」だ。
従来のRTGはディーゼルエンジンを動力源として駆動するが、脱炭素化を背景に、近年、蓄電池を搭載したハイブリッドRTGの普及が進んでいる。コンテナの巻き下げやブレーキ時に発生したエネルギー(回生エネルギー)を電気に変え、蓄電池に貯めてクレーンの動力に利用する仕組みで、ハイブリッド化により、ディーゼルエンジンだけで駆動する場合と比べて、CO2排出量を約7 割削減できる。
富士電機インド社(以下、FEI)は2024年に、ムンバイのコンテナフレートステーションのRTGアップグレード工事で、富士電機製の低圧インバータ「FRENIC-VG」、「PWMコンバータ」、ならびに蓄電池を納入した。本RTGハイブリッドシステムは、回生エネルギーの活用とディーゼルエンジンの小型化を実現するもので、これにより港湾の脱炭素化に貢献した。
FEIの港湾向けクレーンビジネスのマーケティング責任者アジェイ・ボサレさんは、「カーボンニュートラルポートの実現に貢献することができる。富士電機グループにとってエキサイティングな新規事業だ」と取り組みの意義を語る。
FEIは、インド国内のほか、中東など周辺国で広く港湾向けソリューションを展開している。現在、ディーゼル燃料の代替として水素燃料電池の活用が期待されるなど、世界はカーボンニュートラルポートに向けて年々加速している。FEIはこうした動きも視野に入れ、事業を拡大していく計画だ。
「持続可能な社会の実現に向けて、世界の港湾運送会社やクレーンメーカーと協力し、脱炭素化に貢献する富士電機のRTGハイブリッドシステムを広く展開していきたい」。営業担当のムトゥ・ビジャパンディアンさんは今後への意気込みをそう語る。
