化学工業に関する動向調査
[プロセス産業] 保全・点検部門の人材不足に関する意識調査
保全・点検部門の人材不足、業務に「影響がある」は全体の68.3%に。人材不足の影響上位は「業務知識・ノウハウの技術継承の不足」で52.7%
化学工業などプロセス産業分野では、今後、保安・保全人材の高齢化や退職や、若手後任者の人材確保が難しいなどの理由により、工場・プラントの保全・保安人材が不足するといわれています。
保安・保全人材が不足した場合、結果として工場やプラントの維持コストの上昇、操業継続のリスク、事故の発生、製品品質の維持などに影響がでてくる可能性があります。
今回の調査では、保全・点検部門の人材不足が業務に及ぼす影響について、「深刻な影響がある」と回答が全体の13.2%、「影響がある」が55.1%となりました。
この「保全・点検部門の人材不足に関する意識調査」は食品製造業、化学工業、パルプ・紙・紙加工品、石油製品などプロセス産業関連業種に勤務し、かつ、保全・点検部門に所属する回答者を対象としたインターネット調査の結果です。保全・点検部門の人材不足の状況、具体的に実施している対策、問題・課題などについてまとめています。
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[プロセス産業]保全・点検部門の人材不足に関する意識調査の結果
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調査項目
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保全・点検部門の人材不足の状況
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保全部門で人材が不足している理由
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人材不足が保全業務に及ぼす影響
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保全部門の人材不足が業務に与えている影響
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保全・点検部門の人材不足への対応方法・取り組み状況
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多様な人材の活用
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教育訓練・能力開発の強化
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業務フロー・業務プロセスの改善・見直し
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業務の外部委託(アウトソーシング)
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ロボット・自動機等の活用による自動化・省力化
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多様な働き方実現
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従業員間における業務の平準化
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IoT/IT活用による省力・効率化
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既存設備の更新による省力・効率化
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AIによる自動化・省力化
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保全・点検部門の人材不足に関する問題・課題(FA)
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調査結果ダウンロード
IoTやAIを活用して設備のデータ収集と分析を行い、保安・保全管理業務の最適化を支援。富士電機の優れた診断技術で、省人化・リモート化・コスト削減などの課題を解決します。
[プロセス産業]保全・点検部門の人材不足に関する意識調査の結果
対象エリア:全国
調査対象者:対象者:プロセス産業(化学・食品製造他)従事者で、かつ、所属部門が保全・点検部門
有効回答数:170人
調査方法:インターネット調査
調査期間:2023年5月30~5月31日
[左:業種]
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製造業(食料品・飲料・飼料) 36.5%
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製造業(化学工業) 25.9%
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製造業(パルプ・紙・紙加工品) 12.4%
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製造業(石油製品) 8.2%
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その他製造業 17.1%
[右:従業員規模]
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300人未満 36.5%
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300人~999人 26.5%
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1000人以上 37.1%
調査項目
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保全・点検部門の人材不足状況
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保全・点検部門で人材が不足している理由
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保全・点検部門の人材不足が業務及ぼす影響の有無
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保全・点検部門の人材不足が業務に与えている影響(懸念される影響)
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保全・点検部門の人材不足への対応方法・取り組み状況について
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多様な人材の活用
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教育訓練・能力開発の強化
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業務フロー・業務プロセスの改善・見直し
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業務の外部委託(アウトソーシング)
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ロボット・自動機等の活用による自動化・省力化
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多様な働き方実現
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従業員間における業務の平準化
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IoT/IT活用による省力・効率化
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既存設備の更新による省力・効率化
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AIによる自動化・省力化
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保全・点検部門の人材不足に関する問題・課題について(FA)
以下、動向調査の内容を抜粋してご紹介いたします。
保全・点検部門の人材不足の状況
「非常に不足している」と回答したのは全体の17.1%
保全・点検部門の人材不足の状況について、「非常に不足している」と回答したのは全体の17.1%、「不足している」が34.1%となった(図1)。
「非常に不足している」「不足している」との回答は全体の51.2%となった。
図1 保全・点検部門の人材不足の状況
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非常に不足している 17.1%
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不足している 34.1%
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やや不足している 28.8%
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特に不足していない 10.0%
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わからない 10.0%
保全部門で人材が不足している理由
もっとも回答が多かったのは「退職による欠員」で46.3%
保全部門で人材が不足している理由について、もっとも回答が多かったのは「退職による欠員」で46.3%,、次いで「離職率が高い」で45.6%、「採用数の不足」で36.8%の順に続く結果となった(図2)。
図2 保全部門で人材が不足している理由
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退職による欠員 46.3%
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離職率が高い 45.6%
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採用数の不足 36.8%
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過去の採用抑制の影響 19.9%
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人材獲得競争の激化 19.9%
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既存業務範囲の拡大 13.2%
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労働生産性が低い 13.2%
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景気回復による業務量の増加 8.1%
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休職による欠員 8.1%
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その他 3.7%
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わからない 5.1%
人材不足が保全業務に及ぼす影響
「深刻な影響がある」と回答したのは全体の13.2%
人材不足が保全業務に及ぼす影響について、「深刻な影響がある」と回答したのは全体の13.2%、「影響がある」が55.1%となった(図3)。
図3 人材不足が保全業務に及ぼす影響
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深刻な影響がある 13.2%
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影響がある 55.1%
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今のところ影響はないが、今後の影響が懸念される 27.9%
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影響はない 2.2%
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わからない 1.5%
保全部門の人材不足が業務に与えている影響
もっとも回答が多かったのは「業務知識・ノウハウの技術継承の不足」で52.7%
保全部門の人材不足が業務に与えている影響について、もっとも回答が多かったのは「業務知識・ノウハウの技術継承の不足」で52.7%,、次いで「作業の属人化・個人依存が解消されない」で46.6%、「時間外労働の増加や休暇取得の減少」で42.0%の順に続く結果となった(図4)。
従業員規模別では1000人以上で「業務知識・ノウハウの技術継承の不足」が全体と比べ高くなっている。
図4 保全部門の人材不足が業務に与えている影響
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業務知識・ノウハウの技術継承の不足 52.7%
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作業の属人化・個人依存が解消されない 46.6%
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時間外労働の増加や休暇取得の減少 42.0%
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職場の雰囲気の悪化 33.6%
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業務の見直しや改善活動の停滞 32.1%
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業務品質の低下 29.8%
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トラブル対応できず機会損失が発生 28.2%
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外部委託費用や採用コストの増加 9.9%
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その他 2.3%
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わからない 2.3%
保全・点検部門の人材不足への対応方法・取り組み状況
「取り組んで効果があった」の回答が最も多かったのは「既存設備の更新による省力・効率化」で14.0%
保全・点検部門の人材不足への対応方法・取り組み状況について、「取り組んで効果があった」の回答が最も多かったのは「既存設備の更新による省力・効率化」で14.0%、次いで「ロボット・自動機等の活用による自動化・省力化」が12.5%、「業務の外部委託(アウトソーシング)」が11.8%の順に続く結果となった(図5)。
図5 保全・点検部門の人材不足への対応方法・取り組み状況
[「取り組んで効果があった」との回答比率]
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多様な人材の活用 5.9%
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教育訓練・能力開発の強化 4.4%
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業務フロー・業務プロセスの改善・見直し 10.3%
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業務の外部委託(アウトソーシング) 11.8%
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ロボット・自動機等の活用による自動化・省力化 12.5%
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多様な働き方実現 4.4%
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従業員間における業務の平準化 3.7%
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IoT/IT活用による省力・効率化 1.5%
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既存設備の更新による省力・効率化 14.0%
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AIによる自動化・省力化 2.2%
多様な人材の活用
「取り組んで効果があった」と回答したのは全体の5.9%
多様な人材の活用について、「取り組んで効果があった」と回答したのは全体の5.9%、「取り組んだが効果がでていない」が8.8%となった(図6)。
図6 多様な人材の活用
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取り組んで効果があった 5.9%
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取り組んだが効果がでていない 8.8%
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取り組んでいるが、効果はまだわからない 27.2%
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取り組んでいないが、取り組む予定がある 8.8%
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取り組んでおらず、予定もない 27.2%
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あてはまるものはない/わからない 22.1%
教育訓練・能力開発の強化
「取り組んで効果があった」と回答したのは全体の4.4%
教育訓練・能力開発の強化について、「取り組んで効果があった」と回答したのは全体の4.4%、「取り組んだが効果がでていない」が10.3%となった(図7)。
図7 教育訓練・能力開発の強化
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取り組んで効果があった 4.4%
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取り組んだが効果がでていない 10.3%
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取り組んでいるが、効果はまだわからない 41.2%
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取り組んでいないが、取り組む予定がある 8.1%
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取り組んでおらず、予定もない 20.6%
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あてはまるものはない/わからない 15.4%
業務フロー・業務プロセスの改善・見直し
「取り組んで効果があった」と回答したのは全体の10.3%
業務フロー・業務プロセスの改善・見直しについて、「取り組んで効果があった」と回答したのは全体の10.3%、「取り組んだが効果がでていない」が13.2%となった(図8)。
従業員規模別では300人未満で「取り組んで効果があった」が全体と比べ高くなっている。
図8 業務フロー・業務プロセスの改善・見直し
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取り組んで効果があった 10.3%
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取り組んだが効果がでていない 13.2%
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取り組んでいるが、効果はまだわからない 31.6%
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取り組んでいないが、取り組む予定がある 11.0%
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取り組んでおらず、予定もない 19.1%
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あてはまるものはない/わからない 14.7%
業務の外部委託(アウトソーシング)
「取り組んで効果があった」と回答したのは全体の11.8%
業務の外部委託(アウトソーシング)について、「取り組んで効果があった」と回答したのは全体の11.8%、「取り組んだが効果がでていない」が12.5%となった(図9)。
従業員規模別では300人未満で「取り組んで効果があった」が全体と比べ高くなっている。
図9 業務の外部委託(アウトソーシング)
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取り組んで効果があった 11.8%
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取り組んだが効果がでていない 12.5%
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取り組んでいるが、効果はまだわからない 20.6%
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取り組んでいないが、取り組む予定がある 11.8%
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取り組んでおらず、予定もない 29.4%
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あてはまるものはない/わからない 14.0%
ロボット・自動機等の活用による自動化・省力化
「取り組んで効果があった」と回答したのは全体の12.5%
ロボット・自動機等の活用による自動化・省力化について、「取り組んで効果があった」と回答したのは全体の12.5%、「取り組んだが効果がでていない」が6.6%となった(図10)。
従業員規模別では300人未満で「取り組んで効果があった」が全体と比べ高くなっている。
図10 ロボット・自動機等の活用による自動化・省力化
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取り組んで効果があった 12.5%
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取り組んだが効果がでていない 6.6%
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取り組んでいるが、効果はまだわからない 21.3%
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取り組んでいないが、取り組む予定がある 15.4%
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取り組んでおらず、予定もない 29.4%
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あてはまるものはない/わからない 14.7%
多様な働き方実現
「取り組んで効果があった」と回答したのは全体の4.4%
多様な働き方実現について、「取り組んで効果があった」と回答したのは全体の4.4%、「取り組んだが効果がでていない」が11.0%となった(図11)。
従業員規模別では300人未満で「取り組んで効果があった」が全体と比べ高くなっている。
図11 多様な働き方実現
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取り組んで効果があった 4.4%
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取り組んだが効果がでていない 11.0%
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取り組んでいるが、効果はまだわからない 22.8%
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取り組んでいないが、取り組む予定がある 9.6%
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取り組んでおらず、予定もない 31.6%
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あてはまるものはない/わからない 20.6%
従業員間における業務の平準化
「取り組んで効果があった」と回答したのは全体の3.7%
従業員間における業務の平準化について、「取り組んで効果があった」と回答したのは全体の3.7%、「取り組んだが効果がでていない」が12.5%となった(図12)。
従業員規模別では300人未満で「取り組んで効果があった」が全体と比べ高くなっている。
図12 従業員間における業務の平準化
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取り組んで効果があった 3.7%
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取り組んだが効果がでていない 12.5%
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取り組んでいるが、効果はまだわからない 24.3%
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取り組んでいないが、取り組む予定がある 16.2%
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取り組んでおらず、予定もない 27.2%
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あてはまるものはない/わからない 16.2%
IoT/IT活用による省力・効率化
「取り組んで効果があった」と回答したのは全体の1.5%
IoT/IT活用による省力・効率化について、「取り組んで効果があった」と回答したのは全体の1.5%、「取り組んだが効果がでていない」が7.4%となった(図13)。
図13 IoT/IT活用による省力・効率化
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取り組んで効果があった 1.5%
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取り組んだが効果がでていない 7.4%
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取り組んでいるが、効果はまだわからない 25.7%
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取り組んでいないが、取り組む予定がある 19.1%
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取り組んでおらず、予定もない 25.7%
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あてはまるものはない/わからない 20.6%
既存設備の更新による省力・効率化
「取り組んで効果があった」と回答したのは全体の14.0%
既存設備の更新による省力・効率化について、「取り組んで効果があった」と回答したのは全体の14.0%、「取り組んだが効果がでていない」が8.1%となった(図14)。
図14 既存設備の更新による省力・効率化
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取り組んで効果があった 14.0%
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取り組んだが効果がでていない 8.1%
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取り組んでいるが、効果はまだわからない 25.7%
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取り組んでいないが、取り組む予定がある 17.6%
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取り組んでおらず、予定もない 22.1%
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あてはまるものはない/わからない 12.5%
AIによる自動化・省力化
「取り組んで効果があった」と回答したのは全体の2.2%
AIによる自動化・省力化について、「取り組んで効果があった」と回答したのは全体の2.2%、「取り組んだが効果がでていない」が6.6%となった(図15)。
図15 AIによる自動化・省力化
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取り組んで効果があった 2.2%
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取り組んだが効果がでていない 6.6%
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取り組んでいるが、効果はまだわからない 21.3%
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取り組んでいないが、取り組む予定がある 11.8%
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取り組んでおらず、予定もない 38.2%
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あてはまるものはない/わからない 19.9%
保全・点検部門の人材不足に関する問題・課題(FA)
保全・点検部門の人材不足に関する問題・課題についてのFA(フリーアンサー)では、「技術・ノウハウの継承」「人材育成関連」「離職率」に関連する問題・課題が多くみられた(以下FA回答の抜粋)。
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新人教育に時間がかかる。
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人材不足に加え、入社してきた新人を教育・訓練する人材も不足している。
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業務の一極集中で負担が増加している。
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人手不足は感じないが、もう少し若い人材がほしい気がする。
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外注先から人手不足が深刻化している現業系の高齢化は深刻と感じる。
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技術の伝承が出来ていない。
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離職率が年々増加している。
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離職者のノウハウ継承できない。
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人材不足の解消の為に業務量の平準化に取り組もうとするがその結果、業務量が増加する見込みの部署から反対意見が出る。
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設備投資時に人材が不足する。
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教育してもすぐに辞めてしまう募集しても立地の問題から集まらない。
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技術を習得する意欲を出させるのが難しい。
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過不足より仕事量の問題仕事量が多い人と少ない人がいて均衡されていない。
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ノウハウ継承不足による人材育成の遅れが顕著になっている。
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募集を掛けても集まらない。専門職の為、育つ迄時間が掛かる。
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技術・知識の伝承。昔、10年以上かけて育てていた若い人を4-5年で一人前にしなければならない。
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離職の割合が一定数あるため、継続的な雇用が必要。
調査結果ダウンロード
本調査結果については以下よりダウンロードすることができます。
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[2023年調査]
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