国内にはJISがあるように海外には海外の規格が存在します。
輸出の際に関わってくる海外規格を知っていただくために、
富士電機機器制御では「出張技術サポート」を行っています。
海外規格とは?
─ 電気機器の海外規格にはどのようなものがありますか?
小山:ブレーカやスイッチなどの機器ごとに、IECのような電気の国際規格やヨーロッパ向けのEN規格、米国向けのUL規格、中国向けのGB規格など地域・国別の規格があります。これは日本のJIS規格に相当するものです。規格の内容はJISと同じものもありますが、国によっては日本のものとは異なる内容のものもあります。また、制御盤のように、様々な機器を集めた機械装置の規格も存在しています。
─ 海外規格への適合の証明はどのように取得するのでしょうか?
小山:ULのように、第三者機関に承認を依頼しなければならないものもあります。一方、JIS規格のように自己適合宣言といって、自分たちで「基準を満たしている」と宣言することができるものもあります。規格の種類や輸出しようとする機器によって、承認の取り方は変化します。
─ 万一、その規格にそぐわなかった場合、どのようなリスクやペナルティがありますか?
小山:規格にそぐわない場合、「輸出ができない」「輸出できたとしても通電して機械として使うことができない」ということになります。
お客様でもそれらの規格を認識はされていますが、内容が高度になってくるとやはり難しい部分もありますので、図面をいただいて添削を行ったり勉強会を開いたりしています。
出張技術サポートの内容とは
─ 海外規格の出張技術サポートの内容はどのようなものでしょうか?
小山:図面の添削などと同じように、技術面のサポート(勉強会)を行っています。お客様の元に伺って開く場合もありますし、逆に我々の元へお越しいただいて勉強会を開くこともあります。
基本的には、当社の製品をご購入いただく方へのサポートとして行っておりますので、費用はいただいておりません。繰り返しご購入いただいている既存のお客様についても、継続的なサポートを行わせていただいております。
─ どれくらいの頻度で開催されているのですか?
小山:実積としては、セミナーが年に20回、図面の添削が年に40回くらいとなっています。
「出張技術サポート」は、お客さまのどんな課題の解決につながるのでしょうか?
小山:制御盤の海外規格の認定取得をお考えのお客様については、専門のコンサルティング会社や、第3者認証機関に相談していただいていると思います。我々がお手伝いしているのは、そこに至る前のお客様です。最初の「どうすればいいの?」という部分をサポートする目的で出張技術サポートを行っています。
─ 「出張技術サポート」を開催するメリットは何でしょうか?
小山:お客様にとって、すでにある機械について設計を変えるというのは大きなエネルギーを必要とするものです。その部分について、規格という切り口からサポートをすることができると思っています。また当社にとっても、お客様の購買担当だけでなく、ベテランや若手技術者と交流を持てることで、お客様の生の声に触れることができるメリットがあります。
「出張技術サポート」を
取り巻く状況
─ 「出張技術サポート」は、いつ頃から行われていますか?
小山:技術サポートそのものが始まったのは14年ほど前からです。今のような形で行うようになったのは3年ほど前です。
─ 出張技術サポートでの工夫や苦労、エピソードなどがありましたら、教えてください。
小山:米国の規格は3年おきに改定されるので、その度に英語の文書を読み込まなくてはなりません。日本語訳も販売はされているのですが、出てくるまでに時間がかかることや、専門用語や電気の専門性の部分でやや信頼性が落ちる場合がありますので、やはり原典にあたる必要があるのが大変なところです。
─ 競合社も「出張技術サポート」は、行われているのでしょうか?その場合、他社に比べた御社の特徴や優位性は何ですか?
小山:我々は米国にあるシュナイダー・エレクトリック社と繋がりがあります。シュナイダー・エレクトリック社は、ULなどの米国の規格づくりにも参画していますので、その部分の情報が早い段階から我々のほうに入ってくるという強みがあります。
制御盤を作っているメーカーでは、制御盤を必要とする工作機械メーカーなどに対して、海外規格や承認に適合した商品を売り出しているところもあります。
─ 実際に「出張技術サポート」を依頼されたお客さまからは、どのような声がありますか?
小山:「分からない部分でサポートを受けることができて助かった」という言葉をいただくことが多いですね。
「出張技術サポート」の
今後について
─ 「出張技術サポート」について、今後どのような展開を考えていますか?
小山:人員を増やしていきたいです。またeラーニングなど、ウェブコンテンツでの展開も考えています。
さらに、部品の選定方法をアプリケーションという形で、勉強会のサポートツールとして作るような構想もあります。
何かお困り事があれば、営業担当に問い合わせていただければ、フレキシブルなサポートを提供することも可能です。どうぞお気軽にお問い合わせください。
こんなお客さまにおすすめ
- 制御盤を海外輸出することになったが
対象となる海外規格が分からない - 制御盤の最新の海外規格の
チェックが追いつかない - 制御盤に搭載する機器を
自社で採用検討したが、そのコンポーネントが海外規格に適合しているか分からない
課題や背景
- ◎制御盤の海外規格は、各国、地域の事情を反映し、共通化されていない部分も多い。規格に適合しないまま輸出してしまうと現地監査により通電許可が下りないことや、現地改造が必要になることがある。
- ◎海外規格は数年ごとに改訂が行われ、日本語翻訳版が出回るまでタイムラグもある。また翻訳が正確でないケースもあり、理解には相応のコストや労力がかかる。
成果・改善
- ◎制御盤の最新の海外規格に通じたプロが設計図をチェック、規格に適合しない場合は具体的な製品の置き換え提案により規格を満たした設計図にブラッシュアップ。
- ◎制御盤の海外規格に精通していなくても輸出向け制御盤の設計ができる。
- ・制御盤の設計図をお預かりして、ターゲット規格への適合を確認。適合していない場合は、設計改善や規格にマッチする代替品の提案を行います。
- ・JIS、IEC規格はもちろん、UL/CSA規格、CEマーキング、中国CCC認証など、それぞれの要求項目に準拠した各種製品をご用意していますので、仕向地、用途に合わせた製品が必ず見つかります。
富士電機機器制御はココが違う
- 専門の担当員が、海外規格の更新を常にチェック。最新の規格にあわせたサポートを行います。
- 当社は、受配電・制御機器のリーディングカンパニー富士電機と世界的な電機メーカー、
シュナイダー・エレクトリック社との合弁会社です。両社の持つ幅広い製品群の中から、解決策となる製品を具体的にご提案します。 - 富士電機グループ、シュナイダー・エレクトリック社などとも情報を交換し、いちはやく海外規格の最新の動向を入手しています。