こんなところに富士電機#2
日本の航空宇宙開発施設に「まるごとスマート保安サービス」

受変電設備の安定稼働と保全業務の省人・省力化に貢献

日本の航空宇宙開発を担う国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)。その本社がある調布航空宇宙センター(東京都)では、日本の次世代航空技術や将来の宇宙プロジェクトを先導する基礎・基盤技術の研究が進められている。
本センターには、こうした研究を支える各種試験設備や実験用の航空機、スーパーコンピュータなどが整備されており、動力となる電気を敷地内にある受変電設備が受電する。2025年4月、本受変電設備において、当社の「まるごとスマート保安サービス」の運用が本格的に開始した。
「まるごとスマート保安サービス」は、受変電設備の運転管理データと保全管理データを、IoT・AI技術の活用により統合・分析して見える化し、当社のサービスエンジニアが保全計画の立案などを支援するものだ。産業分野において設備の老朽化が進み、人手不足に伴うお客様の保全業務に係る負荷の軽減などが課題となる中、本サービスを導入することで、故障などによる設備の稼働停止を未然に防ぎ、安定的かつ効率的な稼働を実現する。

JAXAでは、2018年に設備の老朽化による停電事故が複数回発生したことや、同年9月に発生した北海道胆振東部地震による大規模停電などを教訓に、事業継続の観点から電力基盤インフラの強靭化を進めていた。こうした中で本サービスは、設備の状態に基づいた効果的な保守・サービスが可能となることが評価され受注に至った。
電気設備は、1年に1回、停電を伴う点検を行うことが電気事業法で義務付けられているが、信頼性が高く要件に適合した設備は、点検周期を3年に延長できる。点検頻度を減らすことは設備運用の効率化にもつながる。「今回、まるごとスマート保安サービスを導入し、JAXA、設備の保全を担う日本メックス㈱、および当社の3者が連携した管理体制とすることで、点検周期延長の要件に適合させることができました」と、本サービスを担当する福島は振り返る。
当社はJAXAと、本センターを含む国内2拠点について、今後15年間にわたる設備維持管理の契約を結んでいる。「設備管理のスマート化を推し進め、安定稼働はもちろん、お客様の保全コスト削減にも貢献するソリューションを提供していきたい」。営業担当の小池は意気込む。
