富士電機が貢献する環境・社会課題
蓄電池システムで宇宙開発の現場を支える

現在、日本ではカーボンニュートラルの実現に向けて、再生可能エネルギーの転換などが進められています。しかし、電力は必要な時に必要な分だけ供給し消費する「同時同量」が原則であるため、発電量が天候や風に左右される再生可能エネルギーの導入が拡大することで、需給バランスが崩れやすくなり、電力の品質に影響を及ぼすリスクが高まります。
こうしたことから、需給バランスの調整役として「蓄電池システム」への期待が高まっています。

JAXA種子島宇宙センターの電力安定化に貢献

JAXA種子島宇宙センターは、「世界一美しいロケット発射場」と呼ばれる日本最大のロケット発射場です。鹿児島県種子島東南端の海岸線に面し、日本の人工衛星打ち上げの中心的な役割を担っています。
同センターでは、落雷や台風などの自然災害時に備えて、停電などのリスクがロケットの打ち上げなどに影響を及ぼすことがないよう、主な電力を自家用発電機で賄っています。その電力供給を安定化させ、かつ最適化する「大容量電力貯蔵システム」に、富士電機の蓄電池制御技術が使われています。例えば、複数ある自家用発電機のうち1台が故障停止した際には、蓄電池の充放電により瞬時に電力供給を行い、需給バランスを調整します。また平時においても、蓄電池の活用によって発電機を最適に稼働させることで、発電効率の向上に貢献。富士電機製の蓄電池用PCS(パワーコンディショナ)と制御装置によって、システムの要となる高度で統合的な制御を実現しています。

当社製自家用発電機
(左)当社製自家用発電機
大容量電力貯蔵システム(当社製蓄電池用PCS・制御装置内蔵)
(右)大容量電力貯蔵システム(当社製蓄電池用PCS・制御装置内蔵)

豊富な納入実績で培った蓄電池制御技術

富士電機は、2000年代のはじめから「蓄電池システム」への取り組みを強化しました。当社の蓄電池システムの最大の特長は、パワエレや制御・情報処理など富士電機が持つ数々の技術を結集し、お客様の設備やニーズに最適なソリューションを提供できることです。離島において電力安定化を図った「マイクログリッド」や、地域の電力平準化やエネルギーの地産地消を行う「スマートコミュニティ用蓄電システム」など、さまざまな地域・用途で納入実績があり、こうした豊富な実績で培った蓄電池制御技術で、電力インフラを支えてきました。

JAXA種子島宇宙センターにおける技術的なポイントは、高速かつ精密な充放電制御。電力の需給バランスの乱れは電力品質の低下につながり、自家用発電機の停止は構内停電を引き起こす原因となります。この課題解決には蓄電池システムによる高速かつ適切なバックアップ放電制御、及び自家用発電機との協調を図るための精密な充放電制御が求められました。こうした高い技術的なハードルをクリアできたのは、既設の発電機(富士電機製)の仕様や動作特性を熟知した上で、関係する技術部門が密に連携を取り、妥協のない検証を重ねたことが決め手となりました。

富士電機の技術力で、再エネの未来を切り拓く

将来的に、JAXA種子島宇宙センターでは、クリーンエネルギー等による電源の多様化と環境負荷軽減を目指しています。富士電機は、50年以上にわたってJAXAの電力設備を支えてきました。JAXAが描く将来像を共に見据え、その技術のすべてを駆使して、エネルギー・環境課題への最適なソリューションを提供していきたいと考えています。

貢献するSDGs目標

産業と技術革新の基盤をつくろう

富士電機は、お客様や地域社会への電力の安定供給を担う蓄電池システムを通じて、SDGs重点目標「9.レジリエントなインフラを構築し、だれもが参画できる持続可能な産業化を促進し、イノベーションを推進する」を実現します。