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インフラ・産業用製品を担う
責務のために
国内でも希少な
大電流遮断試験設備

ものづくりには試験が欠かせません。富士電機機器制御(以下FCS)では、高い品質や信頼性を実現するためにさまざまな試験を自社内で完結させていますが、中には他ではあまり見かけないレアな試験設備もあります。今回は遮断器・開閉機器等の遮断試験に欠かせない大電流遮断試験設備をご紹介。短絡試験用発電機を併設し、大容量出力試験が可能です。国内では数少ないこの試験設備の大切な機能や役割について開発本部技術開発部の宮沢部長に聞いてみました。

開発本部 技術開発部 部長 宮沢 秀和 開発本部 技術開発部 部長 宮沢 秀和
2018年3月取材。所属、役職は取材当時のものです。

─── 大容量の試験と言いますが、具体的にどれくらいなのでしょうか。

宮沢:当社の主要製品は遮断器や開閉機器です。これらは何らかのアクシデントがあって危険な大電流が流れた際、瞬時にしかも確実に回路を切って大電流を止めるのが役割です。ですからそれらの試験のためには、事故を再現した大電流を発生させて、それをちゃんと止められるか確認しなければなりません。具体的な数字で言うと、短絡容量520MVA(メガ・ブイエイ)の短絡試験設備を使用します。

─── 数字を聞いても実感としてピンとこないのですが…

宮沢:そうですね、わかりやすくいえば短絡というのは電気のショートのことです。一般住宅でもたまに電気の使い過ぎや雷なんかでブレーカが落ちたりしますね。そのもっともっと大きな規模のショートが工場内で起きることがある。それを再現していると考えてください。この520MVAというのは、一瞬ですがざっと約10万世帯ほどをまかなえるくらいの大きさです。それだけの大電流を一気に流して試験をします。一瞬とはいえこんな大電流を発電所からの電気でまかなおうとしたら辺り一帯停電してしまうので、自前で発電機を回して電気を作るのです。日本では高圧から低圧までの試験をできる試験設備は数えるくらいしか存在していない特殊試験設備だと思います。それを自社の事業所敷地内に保有しています。

520MVAの短絡事故を再現できる大電流の試験装置

─── どうしてそんな大電流が必要なのでしょうか?

宮沢:我々の製品は、鉄道や太陽光発電などのインフラや大規模プラントなどにも使われていますから、遮断器には完璧な遮断性能が求められます。そのためには現実に起き得る事故を想定した大電流を、実際に遮断や通電が可能かを検証する必要があります。ざっくばらんに言うと試験設備の中で短絡状態を作って、事故電流を繰り返し流しているようなものです。そうした厳しい試験を行って製品の安全性を確認することで、インフラを担う信頼性や耐久性が担保されるのです。

─── 大容量短絡発電機を自社で保有するメリットは?

宮沢:一番のメリットは試験したい時にいつでも実施でき自社の都合で試験スケジュールを決められることです。試験を外部委託することもできますが1~2か月も待たなければいけません。もう一つは試験費用です。こういう特殊な試験を外注すると国内ならおそらく数百万円程度かかるでしょう。また、自社で試験を実施すれば規格に適合した試験はもちろん、試験の条件を自由に決められることから、開発品の規格に対する性能裕度を検証することもできます。

─── この発電機を導入する前はどのように試験をしていたのでしょうか?

宮沢:現在の短絡発電機を導入する前は、短絡容量で現状の3分の1程度の発電機で試験を行っていましたが壊れてしまいまして…、当時富士電機グループ内の別事業所で保有していた試験設備を借り、評価対象の製品と試験員を送り込み試験を行っていました。しかし、運搬や移動に時間がかかり、やはり自前で一貫性のある評価ができるようにもしたかったため、吹上事業所への新規導入を決断しました。新しく50Hz、60Hzの両方の周波数で試験実施が可能になったこともメリットです。ちなみにこれ以外にも、商用電源で試験可能な10kA(キロアンペア)の大電流試験設備も2ヶ所保有しており、一つは「テクノラボの中にあります。

─── 今後についてですが、どう進化させていきたいとお考えですか?

宮沢:現状、この短絡発電機は富士電機グループとしても唯一の設備です。現状生産している製品群であれば、いまの試験設備は容量的に今後も十分であると考えています。しかし我々の製品が搭載される受配電盤や、さらに高電圧の製品群の評価を考えると、その先のお客様のニーズを見越して発電機の増強を検討し始めてもいい時期かもしれません。

ブレーカの大電流遮断試験

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