安定操業・操業支援・保守の省力化に貢献
鉄鋼プロセスライン制御システム
鉄鋼プロセスラインの安定操業・操業支援・保守の省力化に貢献

鉄鋼プラントでは安定操業・操業支援・保守の省力化を実現するため、最新のパワーエレクトロニクス技術、IoT、AI、ビッグデータ高度解析技術などの活用が求められます。
富士電機は、これらの革新的な技術要素を集結したシステム構築とノウハウの蓄積、制御技術の研鑽に努めてきました。私たちは様々なお客様のニーズに応え、制御・情報技術からシステム開発まで、革新的な技術を駆使し鉄鋼プロセスラインの安定操業・操業支援・保守の省力化に貢献します。
鉄鋼プロセスラインの安定操業・操業支援・保守の省力化
製品品質向上、プラント稼働率向上、安全性強化に貢献
安定操業
・モータ、ドライブ装置、プログラマブルコントローラ(PLC)の高速化、高機能化による電気設備の信頼性向上、制御精度向上
・制御装置ごとの合理的な機能分担によるシステム構築
・新規コンポーネントへの簡単置き換えをサポート
オペレーションの容易化・均質化で安定操業をサポート
操業支援
・操業運転条件や故障発生状況のビジュアル化、オペレータ案内機能の充実化
・充実した操業支援ツール
・ビッグデータ高度解析技術による最適な操業判断支援(ディープラーニング技術利用)
・改造箇所や新規オペレータの習熟運転を支援するオフライン操業支援環境を提供(適用開発中)
予知保全・見える化で安定操業、安定生産を支える
保守の省力化
・設備の操業監視、データ利活用によるメンテナンスの容易化
・生産性の向上、ダウンタイム削減に貢献する予知保全
・リモートメンテナンス環境をサポート
安定操業:通板制御(速度制御)
鉄鋼プロセスラインでは速度変動により通板材に振動が起こるとむらが生じ、製品品質の劣化につながります。富士電機の鉄鋼プロセスライン制御システムでは、高精度な速度制御により高品質な製品を安定的に生産できます。
安定したASR系の高速応答を実現
モータ・ロール間の軸共振、ユニバーサルジョイントによるトルク脈動および材料を通した張力系の振動などは、ASR(Automatic Speed Regulator)系の高速応答を低下させます。その対策としてドライブ装置に軸振動抑制オブザーバを搭載。プログラマブルコンローラ(PLC)に、張力振動抑制オブザーバ機能を具備させた駆動システムとし、ASR系の応答速度 20rad/s を達成しています。
ヘルパーロールドループ速度制御時の負荷状態での、ロール揃速性を乱す要因となる機械軸慣性モーメント。その対策として、加減速トルク補償機能およびASR自動ゲイン補償機能を制御システムに備え、より高精度な揃速制御精度を実現しています。
機械軸共振の抑制によりASR系の高速応答を維持
従来はヘルパー駆動系に軸共振が発生すると、その共振周波数がASR系のカットオフ周波数に近い場合、ASR系の応答を犠牲としてゲインを下げなければなりませんでした。そこで、最小次元軸トルクオブザーバをインバータに搭載。これにより軸振動の抑制を可能としました。



モータ速度変動を抑制し、安定操業・品質向上に貢献

圧延機に通板材がかみ込んだ時、圧延機のロールを駆動しているモータに速度変動が起こり、通板材の形状が悪化することがあります。
これを最小限に抑えるため、オブザーバにより負荷トルクを推定し、その推定値を電流指定として制御装置へフィードフォワードで与え、モータの速度変動を抑制。操業の安定と、品質向上に貢献します。
各種制御機能を標準搭載
リールの巻取り・巻戻し制御機能等、以下の機能が標準ソフトウェア化されています。これらの機能は、操作画面で簡単に設定・監視でき、安定操業に貢献します。
・コイル外形演算
・リール速度演算
・板厚演算(最小二乗法)
・ライン速度演算
・加減速補償トルク演算
・無負荷損補償演算
・巻き太り補償演算
・残長演算
・尾端停止制御演算 等
ライン速度指令
ライン速度はライン速度指令のブロック図のソフトウェアで制御します。本システムは、多数のドライブ装置やモータを高速制御するため、高速ドライブ制御装置パッケージ(DMC)を始めとする各種制御機能を標準搭載。これにより、安定操業を実現しています。

安定操業:通板制御(張力制御)
鉄鋼プロセスラインでは、温度による通板材の伸縮や各装置の負荷変動などにより、ヒートバックル(しわ)や通板材の蛇行が発生します。この問題を抑制し、安定操業に重要なのが「張力制御」です。富士電機の鉄鋼プロセスライン制御システムなら、高精度な張力制御により高品質な製品を安定的に生産できます。
操業と品質の安定化を実現する高精度トルク制御PWMインバータ制御装置
トルク制御の高精度化と高応答化のためには、電流制御系の高応答化が必要です。望ましいトルクを得るには電流は過渡的にも、定常的にも、その指令値に良好に追従することが求められるため、本システムでは「高精度トルク制御PWMインバータ制御装置」を採用しています。
これは交流電流を直接制御する のではなく、定常的に直流量である磁化電流・トルク電流を調節。電圧形PWMの特長を利用して、インバータのオンオフ信号と電流極性から前述の電圧モデルを電圧検出する方法です。

張力振動を制御し外乱を防ぐ、現代制御理論を適用
巻取機ロール偏心や巻付段差による張力振動は、中央セクションやスキンパスミルへの外乱の要因となります。それらを阻止するため、オブザーバの張力推定値による閉ループ張力制御、ACRへのオブザーバ出力のフィードフォワードによる張力振動抑制制御を導入しています。



様々な炉内での障害要因を防止する炉内張力制御
通板材の蛇行防止、ヒートバックルや板幅変動および板破断を防止するためには、高精度な炉内の張力制御が必要です。本システムでは、ラインマスタ駆動装置を中心に、各テンションコントローラの出力値をフィードフォワード的に後方のラインヘルパー駆動装置に対して、サクセシブループの形態で補正を与えるカスケード制御を採用しています。
さらに、負荷変動対策としてのインパクトドロップ補償オブザーバを、ルーパからの張力変動の炉内への影響を軽減するため、炉セクション入側と出側のブライドルに適用しています。

複数ロールのトルクを一定比に保つ負荷バランス制御
ブライドルロールのように、n本のロール前後の張力を負荷として通板材を搬送する設備において、各々のロールを駆動するモータのトルクを制御し、一定比に保つことにより品質の安定化を実現します。タイトなラインに2つ以上のASR(Drooping=0%)が存在する場合には、必ずどちらかのASRにOuter loopが必要です。
ここでは、LBR(Load Balance Regurator:負荷バランス調整器)がOuter loopとなっています。この負荷分担比は、モータの容量比や張力拡大比を基準に決定します。

操業支援
技術伝承と生産性の向上が課題となっている、プラント操業。富士電機ではこれらの課題を解決するため、プラントのビッグデータを有効に利活用しながら、充実したソフトウェア資産を活用し、高品質でお客様の使いやすい鉄鋼プロセスライン制御システムを提供します。
容易なオペレーションで、生産性向上に貢献するHMIシステム
鉄鋼プロセスラインの運転室や、電気室に設置される操業/保守用のマンマシンインタフェースに、鉄鋼プロセスライン特有のオリジナルな専用画面のほか、鉄鋼プロセスライン用として豊富で信頼性の高い操業支援画面や機能を用意。また、ビッグデータ高度解析技術による最適な操業判断を支援。お客様のイージーオペレーションや、生産性向上に貢献します。




条件の「見える化」で操作技術の平準化に貢献する「条件テーブル」
条件テーブル(Heart-Excite)とは、プラントの運転を支援する監視ソフトウェアです。運転条件や起動条件、遷移条件などの論理演算を表形式で表現します。これによりシステムの実行状態や、運転/起動インタロックなどをラインオペレータに分かりやすく表示することが可能です。本ソフトウェアの使用によってプラント運転時の条件を見える化し、より技術伝承や生産性向上に貢献します。

保守の省力化
数多くの機械設備やモータ、ドライブ装置の日々のメンテナンスは、ダウンタイム短縮によるライン設備の稼働率向上には必要不可欠。富士電機の鉄鋼プロセスライン制御システムは、様々なサービスやツールを準備し、お客様保守の省力化に貢献します。
目的・用途に応じたプログラミングが容易にプログラマブルコントローラ プログラミング支援ツールExpert(D300Win)
Expertは国際規格IEC61131-3(JIS B 3503)に準拠した、Windows対応のプログラミング支援ツール。POU、ワークシート単位のプログラミングにより、機能ごと、工程ごとに分割して作成する構造化設計が可能です。またST言語はC言語に類似した言語で、ラダー言語が苦手としている複雑な計算も、パソコンと同手法でプログラムが作成可能です。
特徴
・ 言語の混在記述
規格で規定されている5種類のプログラム表現(IL、LD、FBD、ST、SFC)を全てサポートしています。
・卓越したドキュメント機能
・シミュレーション機能
・機能モジュール支援機能/MONITOUCH連携機能

設備から操業監視、保守まで様々なシーンに対応。データ収集・解析支援パッケージソフト「 f(s)NISDAS7 」
f(s)NISDAS (呼称:fsニシダス)は、パソコン上で動作し、プログラマブルコントローラ(PLC)やインバータなどのデータを収集、解析するパッケージソフトです。
生産設備の立ち上げ・操業監視・メンテナンスなど、様々なシーンで活用できます。f(s)NISDASは、PLCでデータを収集(1ms)、データは収集と同時に記録装置へ保存され、リアルタイムにチャート画面に表示します。また、パソコンの記録装置を利用してデータを保存するので、データ容量の許す限り長期間にわたり連続データの保存が可能。収集データのトリガ信号によりデータ収取の実行・停止ができます。これにより必要なデータのみを収集でき、効率的な記録装置の利用を可能にします。
さらにf(s)NISDASで収集した設備のビッグデータと富士電機のアナリティクス・AI技術を活用し、インバータ装置、モータ、各部品の予知保全へつなげます。これにより生産性の向上、ダウンタイム低減などに貢献します。
特徴
・高度なシステム監視
複数台PLCやインバータなどのデータを1台のパソコンで収集します。
・豊富なシステム解析
データ収集しながら、その場でタイムリーにデータ解析が可能。また、後からデータ解析も可能です。
・簡単な操作
簡単かつ明瞭に操作できます。
・容易な導入・高い拡張性
オープンネットワーク対応、クライアント/サーバシステムに対応します。
・サポート&サービス
セットアップを強力にサポートします。


システム構成

ソフトウェア
鉄鋼プロセスラインの制御機能ソフトウェアに磨きをかけ、実績のある高品質なソフトウェアを提供。標準ソフトウェアをカスタマイズすることで、お客様ごとの多様なニーズに対応し、きめ細やかな制御を実現します。
分類 |
制御機能用途名 |
---|---|
主幹制御 |
1.速度・張力制御 2.径演算・径補正 3.自動減速・自動加速 4.負荷分担制御 5.伸び率制御 6.高速ドライブ制御 |
個別制御 |
7.ハンドリング 8.モード設定 9.付帯設備制御 10.連寸制御・単寸制御 |
全体制御 |
11.溶接点トラッキング 12.データ制御 |
HMI |
13.ライン情報表示・設定 14.ラインアラーム管理 |
L-2 |
15.ライン情報表示・設定 16.PDI/HMI管理 17.操業判断支援機能 18.予知保全機能(適用開発中) |
構成コンポーネント
大容量の監視・制御データの高速更新が可能電機高速コントローラ
MICREX-VieW XCS-3000 Type E
電動力応用プラント用途として、高速性と信頼性を追求した「MICREX XCS-3000 Type E」。生産設備の稼働状況を監視・制御し、高い信頼性を持たせながら、大容量の監視・制御データの高速更新が可能です。富士電機独自の大容量高速制御ネットワークと、高速I/Oネットワーク技術により、コントロールシステムから現場までをシームレスに繋ぐ監視制御システムを実現します。
特徴
・ループ構成対応でネットワークの高信頼化とSX-Net(高速制御ネットワーク通信)、E-SXバス(高速I/Oネットワーク通信)の冗長化を実現。高速性(1Gbps)と、ネットワークが遮断しても1ヵ所であれば運転を継続できる高信頼性を両立しました。
・接続端末の監視/制御データを高速更新伝送容量の増大により、設備の規模を問わずネットワーク上の全ての機器(最大128台)で、監視/制御データを一括かつ高速で更新できます。
・複数コントローラ間の多重同期制御を実現し、SX-Net上にある、異なる複数コントローラ配下のI/O局を同期制御させ、多軸同期制御を実現します。

高性能・高信頼性がさらに向上。共通電源方式多段積インバータ
FRENIC4000VM6/FM6
省スペース、高性能、高機能を追求したプラント用PWMインバータ。VM5R/FM5Rとの互換性を追求し、高性能・高信頼性をさらに向上させました。
特徴
・IEC規格/新JIS規格 ※ 対応により安全性を強化。海外プラントへの幅広い導入が可能。また産業標準化法の施行を受け、2019年7月に改正されたJIS規格にも準拠しています。
・超高速E-SXバスのネットワークグループ、各種伝送接続に対応(オプション)
・トレース機能を拡充。ユーザビリティを向上し、低速トレース機能により、故障前後の採取レンジが拡大。さらにチャートのExcel出力や、ローダ上での1msリアルタイムチャート表示など、多彩な機能も追加しています。
※IEC規格(近日対応):IEC 60204-1:2016、 IEC61800-3:2017、IEC61800-5-1:2007+A1/2016、新JIS規格:JIS B 9960-1:2019、 JIS C 61800-5-1:2016、JIS C 4421:2008



プラント用DDCサイリスタレオナード
LEONIC-M700/M Compact
鉄鋼プロセスラインを始めとする、あらゆる産業分野に適用できるDDC直流可変速制御装置です。
特徴
・全デジタル式による高精度速度制御および高速応答性能
・上位コントローラ(PLC)とのインタフェースが容易(Tリンク、SXバス、PROFIBUS等)
・パソコンローダシステム(オプション)の使用で保守性が大幅に向上
・現状のアナログインタフェースが流用可能
・用途に応じた制御方式をソフトスイッチで切換可能
・停電保護機能を装備

参考資料
本論文は、富士電機の高速コントローラ「MICREX-VieW XX XCS-3000 Type E」を用いたプラント駆動制御システムについて解説しています。このコントローラは、高速大容量制御ネットワーク「SX-Net」や高速I/Oネットワーク「E-SXバス」を搭載し、プラント全体を高速かつ高精度に制御できます。
鉄鋼プロセスラインへの適用事例では、数百台のモーターを制御する大規模システムにおいても、安定かつ高効率な運転を実現していることが示されています。
(出所:富士電機技報 Vol.93 No.01 (2020))
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本論文は、鉄鋼プラントにおける最新のデジタル化の取り組みを紹介しています。高速ドライブ制御システムをはじめとした先進的な技術の導入することで、生産性の向上、品質の安定化、エネルギー効率の改善などが実現できます。
具体的には、富士電機の監視制御システム「MICREX-VieW XX」を活用した段階的な更新方法や、ビッグデータによる運転支援システムの導入、ウェアラブル端末を用いた遠隔作業支援システムなど、多岐にわたる取り組みが紹介されています。
(出所:富士電機技報 Vol.89 No.3 p.146(2016)
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