IR資料室富士電機レポート/統合報告書
セグメント別概況
パワエレ インダストリー
地設・地産・地消体制の構築、グローバル新商材の投入により、海外事業の拡大に取り組みます。
執行役員常務
パワエレ インダストリー事業本部長
鉄谷 裕司


主な向け先 | 空調・水処理設備、機械セットメーカー、電力会社、素材プラント(鉄鋼、化学など)、鉄道会社、造船会社、官公庁・自治体 |
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強み | パワー半導体を搭載したパワエレ機器の早期開発 顧客用途に応じた幅広い製品ラインアップ 豊富な納入実績により蓄積したエンジニアリング力 |
市場動向と事業機会
グローバルで脱炭素化に係る環境対策、自動化、DXなどへの設備投資が今後一層期待されます。
オートメーションは、新型コロナウイルス感染症拡大による中国ロックダウン影響、半導体をはじめとする世界的な部材調達難影響などにより、コンポーネントの需要は不透明な状況が継続していますが、東南アジア・インドの市況は、コロナ禍から緩やかな回復基調が続くと予測しています。プラント・システムは、鉄鋼や化学分野において生産性向上に向けた更新需要や高機能化、電動化、カーボンニュートラル関連の戦略投資が期待されます。
社会ソリューションは、鉄道分野は更新需要に伴う投資が継続、船舶分野は、電動化、港湾の脱炭素化に向けた取り組みが各国で動き始めており、環境対応商材のマーケットが拡がり始めています。
ITソリューションは、行政や自治体、オフィスでのデジタル化、テレワークに伴う需要増が見込まれ、今後は産業におけるDX市場での新規需要も見込んでいます。
2021年度実績・2022年度計画
2021年度は、ITソリューションの前年度大口案件の影響による売上減少があったものの、低圧インバータやFAコンポーネントを中心にオートメーションの需要が拡大し、営業利益率は7.3%に高まりました。
2022年度は、中国ロックダウンや部材調達難の影響が想定されますが、工作機械や半導体製造装置、鉄鋼・化学などの素材メーカーでは設備投資が堅調に推移すると見込んでいます。加えて、DXニーズの高まりによるオートメーションおよびITソリューションの需要増を主因に、売上高は対前年度249億円増加の3,490億円、営業利益は30億円増加の268億円、営業利益率は7.7%を計画しています。

重点施策
コンポーネント製品のプラットフォーム化
コスト競争力を強化し、着実に収益を上げられる体制を構築するため、コンポーネントのグローバルでの「地設・地産・地消」体制を強化しています。2022年度は、インドと欧州で生産機種を拡大し、2023年度に米州で低圧インバータのノックダウン生産を新規に立ち上げ、グローバル6極生産体制(日本、中国、東南アジア、インド、欧州、米州)を構築し、収益力の強化を図ります。
また、製品の主要構成部品を共通化するプラットフォーム化を進めており、適用製品を拡大しています。プラットフォーム化により、大幅な部品点数の削減、調達・生産コストの低減、材料在庫の圧縮などを実現し、収益性の改善に貢献します。加えて、部品を共通化しているため、代替部品への置き換え対応を容易にし、部材調達難対策にもつなげていきます。
中国・東南アジア・インド市場での新製品展開による海外事業拡大
これまで海外での生産、エンジニアリング体制を整備し、パートナー強化などの取り組みを進めてきましたが、海外で競争力あるグローバル製品の展開により事業拡大を図ります。
中国では、コンポーネントを中心に注力分野である機械セットメーカーや素材プラントなどへの開拓を進めるなか、環境対策の一つとして誘導炉の需要が高まっています。国内シェア No.1の実績とパワエレ技術、解析・制御技術を活用した高効率のグローバル誘導炉により、売上拡大を図ります。
東南アジアやインド向けには、鉄鋼や化学などの素材プラント向けに使いやすさを追求したエンジニアリング支援ツールとしてグローバル制御システムの開発に取り組んできましたが、2022年度の市場展開を計画しています。

差別化商材による鉄道・船舶分野の事業拡大
鉄道分野では電気式ドアシステムが公共交通機関からメンテナンスの容易性、安全性・信頼性で高い評価をいただいています。プラットフォーム化した信頼性の高い電気式ドアシステムでグローバルに事業拡大を図ります。
船舶・港湾分野では、国内で国土交通省主導による港湾の脱炭素化を目指すカーボンニュートラルポート形成に向けた具体的な検討が始まっています。これまでの実績や総合的な提案力・製品群を強みに、船舶の電動化、陸上から船舶への給電システムなどにより事業拡大を図ります。