IR資料室富士電機レポート/統合報告書
セグメント別概況
発電プラント
再生可能エネルギー、サービス、
原子力関連事業の拡大により、
ポートフォリオの変革、収益力の強化を図ります。
執行役員
発電プラント事業本部長
堀江 理夫


主な向け先 | 発電事業者 |
---|---|
強み | プラント全体を取りまとめるエンジニアリング力 地熱発電におけるワンストップ提案力 水力発電における豊富な納入実績 太陽光、風力発電における蓄電制御の技術と経済性 |
市場動向と事業機会
気候変動問題の深刻化を受け、「脱炭素化」の流れが加速するとともに再生可能エネルギーの市場が拡大しています。
地熱発電は、新型コロナウイルス感染症の影響により海外の一部で商談が停滞しているものの、国内で開発が進みつつあり、小容量案件の具体化が進んでいます。
水力発電は、安定的な電力源として、国内で老朽化した発電設備の更新需要や出力アップの需要が継続しています。
太陽光発電は、国内で分散型電源として地域のマイクログリッド構築に向けた需要が徐々に拡大するとともに、東南アジアではODA(政府開発援助)案件などの具体化が進んでいます。
原子力関連分野は、安全確保を最優先に廃止措置、廃棄物処理分野の需要が拡大しています。
サービス分野は、太陽光・風力発電などの出力が変動する再生可能エネルギー拡大に対し、既存の火力・地熱発電設備の出力調整力向上のニーズが高まっています。
2021年度実績・2022年度計画
再生可能エネルギーとサービス事業を軸とするポートフォリオの変革を推進するとともに、収益力の向上に注力しています。
2021年度は、再生可能エネルギーの前年度大口案件の影響による売上減少があったものの、案件差および原価低減の推進などにより営業利益率は改善し4.0%となりました。
2022年度は、売上高は地熱発電を中心とした再生可能エネルギーおよびサービス事業の売上増を主因に対前年度34億円増加の820億円、営業利益は10億円増加の41億円、営業利益率は5.0%を計画しています。

重点施策
加速する脱炭素の潮流をふまえ、事業ポートフォリオの変革を推進しています。コアとなる再生可能エネルギーとサービス事業に加え、原子力関連設備において廃止措置、廃棄物処理分野の事業を拡大し、CO2非排出分野の売上を拡大します。

再生可能エネルギーの受注拡大
地熱発電
業界トップシェアの地熱発電では、国内やアジア、アフリカを中心に事業拡大を進めています。富士電機は高温の熱源に適したフラッシュサイクルと、低温の熱源でも発電可能なORC※を一社で対応できる強みを持っています。この強みを生かし、国内ではリードタイムの短い5MW以下の小規模な熱源の受注拡大に向け、提案を強化します。海外では、引き続きアジアやアフリカなどの地熱開発国において受注活動を推進します。
※ORC(有機ランキンサイクル):水・蒸気の代わりに蒸発温度の低い低沸点媒体を使って発電する方式
水力発電
高い水準で推移する発電所のS&B※需要に対し、環境負荷低減や信頼性・保守性の向上を実現するハイブリッドサーボシステムなどの差別化商材や、さまざまな流量の水源に対し高効率な発電を可能にする水車技術を強みに、受注を拡大しています。2022年度期初の受注残は直近の4年間で3.1倍に拡大しており、人財の育成、拡充による高負荷への対応を図るとともに、更なる受注・売上の拡大を図ります。
※S&B(スクラップアンドビルド):老朽化して非効率な設備を廃棄・廃止して新しいものに置き換えることにより効率化を実現すること
太陽光・風力発電
太陽光発電は高効率なパワーコンディショナ、ならびに蓄電池を活用した電力の安定化やピークシフトに寄与するソリューションを強みに、国内では地域のマイクログリッド構築や産業分野の自家消費発電設備などの分散型電源のニーズに対し、受注拡大を推進しています。海外においては、東南アジアを中心に地熱発電などで構築したサプライチェーンを生かして受注拡大を図ります。
風力発電では、進行中の大型の自家消費風力発電設備のプロジェクトを確実に遂行するとともに、この案件で培ったノウハウと電力安定化技術などの強みを生かし、国内における提案を強化します。
原子力関連設備事業の拡大
原子力関連施設の安全性向上に向けた取り組みが進むなか、遠隔ハンドリング(核燃料の取り出し・貯蔵など)や放射線計測、放射性廃棄物の切断や固化などの富士電機が強みとする技術を活用し、安心・安全な廃止措置・廃棄物処理に貢献しています。
サービス事業の拡大
保守・更新サービスの売上拡大に向け、燃種変更のソリューションなど脱炭素のニーズに対応した新商材を開発、提案していきます。国内では発電設備の高効率化に加え、再生可能エネルギーと組み合わせた際の電力の安定化に寄与する既存発電設備の調整力向上などソリューション提案を強化します。海外では東南アジアなどの既設発電設備のメンテナンスニーズを確実に取り込むべく提案を強化します。