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「一見さんの関係ではできない」飼料工場の設備運営を支える密な協力体制に迫る。 「一見さんの関係ではできない」飼料工場の設備運営を支える密な協力体制に迫る。

飼料業界の老舗2社がひとつになって生まれた大手飼料メーカーであるフィード・ワン株式会社。
1910年からの長い歴史を誇るプラントエンジニアリング会社のOMC株式会社。
配電盤メーカーとして様々な現場の盤制作を行っている、株式会社別川製作所。

一般的な縦割りの体制とは異なり、3社が対等なパートナーとして協力しながら
多くの議論を重ねることで、新たなフィード・ワン様の新工場を竣工されました。
飼料業界ならではの工場運営のあり方や、3社の工場運営に携わる想いなどを伺います。

3社の協力体制とご担当者様
  • 瀬尾晃平 様

    瀬尾晃平 様

    フィード・ワン株式会社
    畜産事業本部 北九州事業部
    北九州畜産工場 生産課 生産課長

    飼料メーカー「フィード・ワン株式会社」の北九州事業部生産課生産課長。今回の新工場設立では先々も見据え、最新の技術やシステムを積極的に導入。

  • 成田弘 様 / 松下亨 様

    成田弘 様 / 松下亨 様

    OMC株式会社執行役員
    執行役員 システム事業部 部長 /
    システム事業部一課 課長代理

    工場設備の設計やシステムのエンジニアリングを行う「OMC株式会社」のシステム事業部部長成田様。同じくシステム事業部一課課長代理松下様。飼料業界を専門的に長く取り扱い、設備運営にも精通している。

  • 北川真佐人 様

    北川真佐人 様

    株式会社別川製作所
    設計部 副部長
    ソリューション営業担当

    さまざまな設備の制御盤を製作する老舗盤メーカー「株式会社別川製作所」の設計部副部長。飼料業界との関係も長く、ニーズを細かく汲み取りながら常に最適なプラントシステムを製作する。

※記事中の部署および役職名は取材当時のものとなっております。

何十年も稼働した古い工場のリニューアル。
どうせなら、最新の工場をつくろうという想い。

フィード・ワン株式会社の新工場

今回、新しい工場を建てられたということですが、その経緯についてお聞かせください。
その時、どんな課題を抱えておられたのでしょうか。

フィード・ワン瀬尾:それまで動かしていた工場の建て替えが目的でした。昭和35年スタートし60年経った工場でした。古くなってしまい、人手もかかるし、自動化が進んでいないという課題はありました。そんな工場のリニューアルなので、一気に自動化を進めた最新の工場を作ろうと思ったんです。自動化や省力化というあたりは今回の工場の大きな特徴になります。

OMC成田:「最新の工場をつくろう」ということがあったので、新しい技術のことや最新の機械の情報などは、お互いに投げかけて。

フィード・ワン瀬尾:成田さんや北川さんに「こういうのないですか?」と聞くこともありますし、逆に「こういうのありますよ」と提案を受けたり、大体そんな感じですね。

フィード・ワン株式会社の新工場

北九州市にある、今回竣工されたフィード・ワン株式会社の新工場。少人数化、省エネ化の課題を解決するため、生産を一元管理できるシステムなど最新の技術が導入されている。

多品種小ロット化や、土地による違い。
飼料業界ならではのニーズをクリアするために。

フレークロール ホッパースケール

飼料工場を作るうえでは、
どのような課題やニーズがあるのでしょうか。

フィード・ワン瀬尾:こだわりの畜産物を作るため、畜産農家さんこだわりの餌を使うことが多くいろいろな原料を混ぜた製品があるため自ずと多品種になる。

別川製作所 北川:多品種小ロットになると、それに合わせた工場にしていかなければならない。

OMC成田:今回の工場は大きいのでいいんですが、狭い工場になると制御盤をどこに置こうか困るので、盤は小さい方がいいですね。

別川製作所 北川:盤を置いちゃうと通路が狭くなったり、機械によってスペースが限られたりということはあるので。

フィード・ワン瀬尾:畜産農家さんは、こだわりの畜産物を作るためこだわりの原料を持ち込んだりします。そうなると、似ている原料が増えどう区分けをしようかとOMCさんに相談したりとか。

OMC成田:なので、我々としては、ニーズは全部汲み取ろうというスタンスです。紙の発注書には書かれていないようなニュアンスとかそういうことも全部こたえられるように。

フィード・ワン瀬尾:工場の場所によって原料も変わりますからね。たとえば、ひとつの飼料に求める栄養価が同じだとしても、地域によって発生する副産物が違うから、中身が結構変わるんですよ。

盤の9割にスプリング端子を採用。
そのきっかけは、盤メーカーの提案。

工場内の様子

今回の工場において、新しく取り入れたシステムや機械部品などについて、お聞かせいただけますか。

別川製作所 北川:今回は、制御盤の約9割にスプリング端子を採用しました。以前、富士電機さんの吹上工場の製品発表会に招かれました。そこで、ネジのない仕組みがこれからは主流になるというお話を伺ったので、私の方からフィード・ワン様に提案をして。

OMC成田:新しい製品を導入する時ってどうしても抵抗勢力みたいなのが出てくるもので、今回のケースでもなかったと言えばウソになりますが、今回はコスト面がよかったですよね。

別川製作所 北川:小形化もされていたので、盤自体が小さくなるのと、作業工数が下がったことでトータルで2割くらいコストを下げられました。

フィード・ワン瀬尾:省力化という点では、稼働の人数も今回の工場では半分くらいになったので・・・。

OMC成田:今回の工場には中央監視室があって、全行程の状況を大型ディスプレイでモニタリングできるようになっています。装置のON/OFFもここでできるので、生産の管理はほぼできる形です。

フィード・ワン瀬尾:新しい工場では1日に100t以上もの飼料を生産するのですが、実際一度に稼働するのは4人だけなんです。たった4人で全工程を管理できる。

別川製作所 北川:システムというか設計はOMCさんで、実際中身を作るのは私たちになるんですが、今回のケースでも早い段階からフィード・ワン様の方から「大型ディスプレイを入れたい」という話があったので、4Kのディスプレイを提案しながらとかそういうことも製作期間中にフレキシブルに行いました。そういうところが他社の案件と違うところですね。

北九州工場の中央監視室

北九州工場の中央監視室。中央のディスプレイで目標に対する生産状況や使用電力量などが常時モニタリングできる。その情報を元に機械のON/OFFなども一元管理できる仕組みとなっており、この規模の工場に対したった4人で稼働の管理を行うことができる。

増し締めの必要がなく、
輸送時にも品質が保てるのがメリット

スプリング端子を導入

実際スプリング端子を導入されてみて、メリットはどう言ったところに感じていますか?

別川製作所 北川:コスト面の話も先ほどありましたが、作業の工数的にも、一緒に製作に携わってくれた業者さんから「ラクになった」という声を聞きました。九州という立地上、盤を長距離輸送している間にネジが緩むことはあるので、そう言った意味でもネジがないのはメリットがあります。ある程度技術がなくても手順さえしっかり守って作れば、製品として品質を保てるので。

フィード・ワン瀬尾:ネジがないから締めに行かなくていいんですもんね。

OMC成田:ちゃんとハマってるかは引っ張るだけで分かりますし。

フィード・ワン瀬尾:大きい機械の近くに設置した盤は振動も大きいので、よくネジが緩んでいましたよ。一回緩むと同じ場所が緩むんですよね。

別川製作所 北川:私なんかも納品先を回ったりしましたけど、盤の立ち上げで行くと大体暇を見つけては増し締めしてましたね。

OMC成田:鉄骨の建屋だとどうしても揺れやすい場所も出てきますし。設置場所に左右されないですね。

F-QuiQ

工場内の盤の9割に導入された、富士電機機器制御のスプリング端子「F-QuiQ」。ネジが緩むリスクがないことは、盤を使うユーザー側も、盤を作って納品するメーカー側にもメリットを生む。

作って終わりではなく、竣工後こそ
受注・発注を超えた協力関係が活きる。

フィード・ワン株式会社の新工場 フィード・ワン株式会社の皆様

フィード・ワン様は横浜本社、OMC様は名古屋、別川製作所様が石川と、離れた拠点の皆さんですが、どのような結びつきで現在に至っているのでしょうか?

OMC成田:弊社はもともとフィード・ワン様の前身である2社と関係がありました。

フィード・ワン瀬尾:うちとの関係というのもそうだけど、OMCさんは飼料業界の機械屋、メンテナンス屋さんとしてプロフェッショナル。

別川製作所 北川:OMCさんとうちも長いですね。もう50年くらいのお付き合い。飼料業界の昔から、単なる餌工場みたいな頃からの関係なので、業界の流れとか感覚みたいなのはお互い全部分かっていますね。

OMC成田:少ないメーカーの中で長いお付き合いをさせてもらっています。一般の建築物ではなくプラントとなると、一見さんの関係性じゃできなくて、長い関係性がないと成り立たないんですよね。

別川製作所 北川:作って終わりというわけではなくて、毎年なんらかの変更がでてくるので、その度にやりとりはしますね。

フィード・ワン瀬尾:変更というのは、大きくは増産。あとは計画変更もあるんで、いかに工場を効率的に無駄なく動かすかということはいつも考えます。

OMC成田:これからITとかもどんどん入ってくるでしょうしね。

別川製作所 北川:他の業界だとある程度やり方が決まっていたりもするんですが、飼料業界はいろんな考え方とかお客様によってニーズが本当に異なるので、それに合わせてシステムを変えなければいけなくなってきますし。

OMC成田:デジタル化というと大上段に構えちゃいますけど、たとえば現場の声を吸い上げてひとつひとつ反映していくとか、そういう考え方も必要なのかもしれませんね。

フィード・ワン瀬尾:我々は導入してもらったものは、それが正しいと思って使う立場。それでパーツなどを交換して行くという作業なので、これからも信頼できるものを維持してほしいですね。富士電機機器制御さんにも期待しています。

取材を終えて
 

取材を終えて

最新の工場を作りたいという飼料メーカーの想い。業界に精通したプラントエンジニアリング会社の知見と設計手腕。ソフトウェアから制御盤まで一手に製造を担い、部品の提案まで行う盤メーカーの対応力。そして、なによりも3社が対等な立場で設備の管理を考えている関係性がとても印象的だった。それぞれ業界を知り尽くした同士の長い付き合いだからこそ、その年ごとの変化にきめ細かく対応ができるというひとつの理想的な関係がそこにはあった。我々もさまざまな業界の一歩踏み込んだ実態を見つめながら、日々変わっていくニーズに応えていきたいと思う。

- 今回の取材にご協力いただいた企業様 -